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AIあるのに、なんで英語勉強するの?

とても興味深いドキュメンタリーを見つけて視聴しました。
英語の教員として日々授業を行なっている中で、英語に深くアプローチしていけばいくほど英語を学ぶことへの矛盾を感じる場面も増えています。
デジタルネイティブである子ども達がAIを活用しながらどのように英語と付き合っていくべきなのか。英語を勉強する意味について考えることは非常に重要なトピックです。

AIは英会話の練習相手

英語の教育現場で活用されているAIといえば、Google翻訳やDeepLなど翻訳サービスがまず思い浮かびます。最近では、こうした翻訳以外にもChat GPTなど生成AIを相手に英会話をすることも少しずつ英語の学習現場に取り入れられています。
特に対面やオンラインで面と向かって英会話をすることに抵抗がある子ども達や、人件費をあまりかけずに英会話の機会を取り入れたい学校や自治体にはAI英会話はゲームチェンジャーで、実際に生身の人間と英会話をする前の壁打ちトレーニングとしてAI英会話は非常に優れているなと思います。
AIを使った英会話サービスは様々ありますが、個人的にはELSA Speakが授業に取り入れてよかったサービスのひとつだなと感じています。

AIを活用することで、今まで日本人の教師だけでは評価が難しかった子ども達の発音について、一人一人細やかにチェックすることが可能になりました。
例えば、教科書本文をELSAに放り込んで(本文をELSAに入力して認識させて)教科書の音読練習に活用したことで、子どもたちはAIによる即時フィードバックを受け取りながら正確な発音を楽しく身につけることができます。教科書本文の音読(発音)チェックや暗唱のテストをするために教室で長い列を作って待つ必要もなくなり、かつ精度が格段に上がります。
また、AI英会話では「先ほど学習した英語の助動詞をうまく使いながら、15歳の子どもになりきって、週末にある遠足の準備について英会話をして。」などと細かい設定を加えた上で会話を行うことも可能です。AIをうまく使えれば初級者から上級者まで全ての学年の子ども達たちが自分に合った英語学習を行うことができ、よりスムーズに全体的に英語力の底上げすることが期待できます。

翻訳するけど読めない子ども達

反面、AIに頼りきることが全て効率的かと言われればそうではないとも感じます。
授業をしていて最近増えているのが、翻訳を使ってそれっぽい英文は書けるけど全く発音ができない生徒達。あるいは、自分で何を書いているか理解していない生徒達。
翻訳やAIに頼り切ることで、自分で考えることがストップしてしまい、本人の意図とは全く異なるニュアンスの英文を書いていた。という悪循環にハマる生徒達と、「こんなことが言いたかったんだよね?じゃあ言い回しはこっちの方が適してるよね?」とアドバイスやフォローをしていくことができる大人(教師)が並走しながら、(日本語だけではなく)英語においても自分の言葉として責任を持って会話ができる子ども達を育てることは不可欠であると感じます。英語の授業は、文法や語法を教えるだけでは不十分であると同時に、AIやテクノロジーとのより良い付き合い方も含めてバランスよく扱っていくことが求められています。

言葉は自分を作る

英語だろうと日本語だろうと、何語であっても言葉はその人自身を作るもの。AIなどのテクノロジーも活用しながらより自分の思いを適切に相手へ伝えることの大切さはいつの時代も変わらないはず。英語の教師として「自分の言葉が自分自身を作る」ということを大切にできる子ども達を育てていきたいです。


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