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デジタル・トランスフォーメーションは、他人事ではなく、自分事である意識が重要

このことから、多くを学ぼう

 このセブンペイの話には、たくさん学ぶことがある。そして、そのことはすべての企業や事業に関係がある。このことを他人事と思っている企業の経営者がいたら、それは大きな間違いである。この事案を自分の企業だったら、どうしたのかをきちんと考えるべきである。

 ここでは、2つのポイントと、今すぐに行うことについて考えてみる。

Point1:デジタル技術をきちんと理解したリーダーがいるか?

 今回のセブンペイの事例は、まさにデジタル技術を使ったサービスの提供だった。キャッシュレス決済とは、通信をリアルタイムに使った決済であり、通信はインターネット回線という公衆回線を使い、誰でも登録を行えば使えるという技術である。

 このキャッシュレスは、突如、消費税10%になる時の対策として、フューチャーされた。このセブンペイのサービスの構築も、おそらく短期間で急速に進められただろう。短期間、そしてデジタル技術。非常に難しいプロジェクトである。

 少し、わかりやすい例で考えよう。あなたの会社が、車のレースに参加しようとする。その場合、リーダーに運転免許を持ってもいない、車を運転したことがない人を指名するだろうか?おそらくしないだろう。

 ところが、最近企業で行われるデジタル関連のプロジェクトは、デジタルの技術を持っていない人が指名されることが多い。実際に、ECの利用経験がない人が、ECサイトのプロジェクト・リーダーになったり、SNSの経験がないがリスク管理という名のもとに、SNSのプロジェクト・リーダーが、コンプライアンス担当の人が兼務したりする。これは、正しいだろうか?

 これから、デジタル・トランスフォーメーション関連のプロジェクトが、企業に多く起きるだろう。それを成功させるためには、デジタルをきちんと理解しているリーダが必要だ。デジタル技術の理解者にリーダーの教育をするか、リーダーのスキルを持っている人にデジタル技術を勉強してもらうか。

 まずは、デジタル技術を理解しているリーダーの育成は急務だ。

Point2:そのデジタル技術、ほんとうに定着するのか?

 実はこの携帯電話を使ったキャッシュレス決済。中国では非常に定着しており、私も中国に行くと便利に使わせてもらっている。家族で経営している朝食の屋台とかでも使え、本当に便利だ。

 ところで、この技術本当に日本で定着するだろうか。そして、その技術はこのまま変わらないだろうか?ひょっとしたら、このキャッシュレス決済も進化の途中かもしれない。とすると、本当に早く導入することが良いのだろうか?このような、将来予測の議論を、きちんと自分たちの組織でできるかが重要である。

 デジタル技術による新しいサービスは、簡単に想像することができ、簡単に使われなくなる。新しいデジタル技術を使ったサービスに関する将来予測を、きちんとその企業内で論理的に行い、理解すること。そのことが、リスク予測につながる。

 新しい技術にすぐに飛びつくのではなく、その技術の将来像を考えることも重要なのだ。

今すぐ、企業内でのデジタル人材をきちんと整理しておく

 実は、私も企業に属している時に、セブンペイの事例ほどではないが、デジタル技術に関する問題に直面したことがある。問題の解決や対策は、速く行わないといけない。そのためには、企業内のデジタル人材をきちんと整理しておく必要がある。社内のデジタル関係者に、しかも専門者に問題解決のために力を借りる必要があるのだ。

 現在のデジタル技術は、とても多岐にわたる。セキュリティー、通信、プログラム、ハードウェア。すべてを一人でカバーすることは無理である。誰がどの領域に詳しいのか整理する。そして、不足している部分は、パートナー企業に手伝ってもらうのか、または時間をかけて教育するのか。

 今こそ、社内のデジタル人材をきちんと整理しておく時だろう。

 デジタル・トランスフォーメーションは、いたるところで起こっている。それは、ある一部の企業だけにおきていることではない。すべての企業で起きている。そのために、この事案を自分の企業だったらと置き換えて、考えることが、本当に重要なのだ。

#COMEMO #NIKKEI

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