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睡眠アプリが病院で処方される日は来るか?

 日本では、不眠症に悩んでいる人の割合が、国民の2~3割にもなると言われている。不眠症は日々の生活や仕事の能率を下げるだけでなく、様々な病気の要因になる。そのため、睡眠薬の市場規模は非常に大きく、日本では500万人の服用者がいるとみられている。

市場調査会社のインテージテクノスフィアが、国内健康保険組合の匿名化された健康データを分析したところによると、医療機関で診療を受けた患者(19.1万人)の中で約5%が睡眠薬の処方を受けている。20代から60代以降までに、睡眠薬は広く使われている。その中でも、うつ病の治療では47%、更年期障害の患者でも、睡眠薬の処方率は19.8%となっている。

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メンタル関連疾患と睡眠薬の実態調査

近頃の睡眠薬は安全になってはいるものの、できることなら薬は使わずに、不眠症を解消できるのが理想だ。そこで睡眠薬に代わり注目されているのが、自然な入眠を促すための睡眠アプリである。

最近では、メンタルヘルスの治療で行われている「認知行動療法」のメソッドが、不眠治療にも採用されている。認知行動療法とは、医師のカウンセリングによって、日々の不安や悩みに対するストレスのパターンを分析して、心が軽くなるような思考の方法をトレーニングしていくものである。不眠に対する認知行動療法は、睡眠薬を使いたくない患者に対して行われているが、自由診療のため1回あたりのカウンセリング料は約1万円と高く、医師が対応できる患者数にも限界がある。

これをバーチャルな医師によって行おうとするのが、認知行動療法に基づく睡眠改善アプリのコンセプトで、効果が実証されると、保険適応の医療アプリとして処方される期待も高まっている。

英オックスフォード大学で睡眠学を専門とする教授と、認知行動療法の専門家チームが開発した「Sleepio」というアプリは、最初のアンケートで不眠の症状や生活のパターンについて回答し、毎日の睡眠状況を日記に記録していくと、アプリが睡眠の妨げとなっている問題点を検証して、仮想のドクターが日々の適切なアドバイスをする。たとえば、眠れないのに長時間をベッドの中で過ごしている人に対しては、ベッドに入る時間を遅くするようにアドバイスしたり、適度な筋トレのメニューを提示したりする。

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このアプリによる不眠症改善の効果は、各種の学術研究としても検証されており、76%のアプリ利用者に、睡眠改善の効果がみられている。デジタル睡眠アプリは、Fitbitのようなウェアラブルデバイスや、Amazon Echo、Google HomeのようなAIスピーカーとの相性も良く、さらに機能の進化が進めば、睡眠薬の代替治療として正式採用されていく可能性もある。日本でも公的医療保険の対象として、睡眠アプリを処方される日が、やがて来るのかもしれない。

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