副業オーナーとして考えるフランチャイズビジネス
スモールビジネスのアイデアをゼロから考えて、具体的な事業として実現できる人は多くない。特に副業としてビジネスを手掛ける場合には、既に運営マニュアルが整っている事業で、着実な収入を稼ぎたいというニーズが高いため、最近ではフランチャイズビジネスが見直されてきている。
米国では、手持ちの資金で株式投資を行うのと、副業でビジネスをするのとでは、どちらの利回りが高いのか?という議論がよく行われている。株式投資は上手くいっても年間利回りは5~7%とみるのが妥当だが、仮に1,000万円の資金でビジネスオーナーになり、毎月10万円の利益(オーナー報酬)を稼げるのであれば、年間利回りは12%になる。さらに、ビジネスで稼いだ利益を株式投資で運用することで、資産形成のスピードを高めることができる。
ただし、この計算式を成立させるには、「事業を継続させること」が前提になる。途中で事業が途絶えてしまえば、1,000万円の元手は失うことになってしまう。事業を辞める要因には、赤字続きでビジネス自体が破綻する他に、副業に割ける時間が無くなったり、病気や高齢による引退などの理由もある。そこで、独自に立ち上げるビジネスよりも、営業権を売却してオーナーチェンジがしやすいフランチャイズビジネスが、副業者からは人気となるわけだ。
米国にはフランチャイズビジネスのリセール市場があり、FCオーナーを辞めたい人と、始めたい人との間で営業権の売買が行われている。「Franchise Resales」はその1つで、地域やビジネスのカテゴリー別に、フランチャイズビジネスの売り物件を探すことができる。
たとえば、携帯電話修理ショップのFCチェーン「CPR-Cell Phone Repair」に加盟するテネシー州ノックスビルの店舗は、1日に4万人の往来がある通りに面した立地で、3名の専従スタッフが修理を担当している。FCの知名度により、既に売上は安定して黒字の経営がされているが、現オーナーの希望により営業権が30万ドルで売りに出ている。
このFCに新規で加盟して開業するのに必要な資金は8万~17万ドルだから、譲渡金額はそれよりも高い。現オーナーは、経営を軌道に乗せたことで、営業権の価値を高めたことになる。一方、新オーナーは、既に黒字化されている店舗を購入することで、新店舗をオープンさせてスタッフを雇い、売上を伸ばして経営を軌道に乗せるまでの時間と苦労を省くことができる。しかし、売りに出ている事業物件には、必ず問題点も潜んでいるため、そこを見抜かなければ、フランチャイズ事業の買収は成功しない。
これからのスモールビジネスは「無人店舗」の業態が伸びていくとみられている。セルフサービス型でスタッフ人件費のかからない業態であれば、副業としても取り組みやすいため、フランチャイズ加盟者を集めやすい。日本でも、フィットネスクラブの無人店舗など、副業としてのフランチャイズ加盟を検討する人も増えてきている。
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この記事はJNEWS会員向けに発行したレポートの一部を抜粋したものです。他の最新情報はJNEWS公式サイトでも公開しています。
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