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差別発言とその後の展開に対し、僕が思うところを残しておきます。

 「メンタリスト」DaiGoさんの今回の発言については、既に多くの方が様々なところでコメントされていて、ご本人も謝罪撤回されているので、さらに「叩く」「吊し上げる」つもりは全くありません。DaiGoさん個別の名前を出さざるをえないことに関しては、一般化しようがない部分でもあり、申し訳ありません。撤回して謝罪されていますので、これから僕は応援していこうと思っています。

 ただ、しっかりと残すべき僕の意見はここに残しておきたい、と思い、投稿します。差別そのものについては既に様々な方がおっしゃられていますので、僕は別の観点を中心に。個人を攻撃することなく、これを題材に、人間として僕をはじめとして皆が成長につながるきっかけになればいいな、と考えています。

 まずはDaiGoさんの差別発言とその釈明とを、伝聞で語るのはよくないと思うので、こちらにリンクを貼っておきます。

 こちらは切り抜き動画ですが、最初の数分(Part1)がホームレス、生活保護の方たちへの差別発言になります。
(※追記 本動画は公開が停止されたり復活したりしています。2021年8月15日)

彼の言っていること、何回も見ましたが、ここは問題ないと思うのです。
 1)猫が大事
 2)人間と猫で命の重さは人間の方が重いなんて思わない
 3)猫が殺されない社会にしてほしい、そのために金を使われてほしい
 4)自分にとって大事な人とそうでない人のどちらを救うか、という序列はある

 このそれぞれは、理解できますし、それでよいのだと思います。僕もいざという時、自分にとって大切な人間は助けるし、そうでない人は助けられないなら助けない、ということは当然あります。

 でもそれは、自分にとって大事か大事じゃないか、ということにしか過ぎず、人の命が意味がないとか軽いとかいない方がいい、という話ではないのですね。その二つは全く違うわけです。言うまでもないですが。

 猫を大事にされたいのであれば、猫を救いたい、と言えばいいわけで、ホームレスや生活保護の方達を差別する必要がないわけです。これは脇が甘いとコメントされている著名人の方もいらっしゃいましたが、そうではなく、差別につながる発言はしちゃいけないのです。そして周囲は「叩きたいから叩いている」わけでもなければ、「アンチは吊し上げたいから吊し上げている」わけではなく、これは皆、普通に怒りますよ、という話です。

 で、翌日、この「炎上」に関して、詳細を知らなかったDaiGoさんは、ひとしきり自分の言ったことの正統性を主張されていました。

 まず「そもそも辛口で言う、という回だったのに真に受けちゃう人がいるんだ」とのこと。

 これ、残念ながら、コミュニケーションは聞き手が決める、のです。そして辛口だったら差別発言していいのだ、ということでは決してありません。

 そして、「自分はあれこれ叩いてくる人よりも税金をたくさん払って、ホームレスや生活保護の人たちを助けている。文句があるなら、自分も助ければいいのではないか」とも。

 これはおそらくコメントするんだろうな、と思っていたら案の定、おっしゃっていました。まあ、たくさん税金払っているから、結果としてたくさん支援していて、素晴らしいことなんですが、「だから?」という話でしかないのですよね。

 「だから差別してもいいのだ」という話では全くないですし、自分より税金を払っていない人が批判するのはおかしいのだ、という理屈も成り立ちません。

 問題は、社会的に影響力がある人がこういう発言をすることでそうかそうか、これでいいのか、と思い、ホームレスの方や生活保護の方を攻撃し始めることなんですよね。その元凶になる可能性があるわけで、ご自身が一生懸命働かれて、稼いだ金から払った税金で支援されたとしても、それが帳消しになる可能性が生まれちゃうわけです。ダメですよね。

 (※追記 本動画は現在公開が停止されています。2021年8月15日) 
 で、最終的にはこうした動画を出されて、ご自身の差別発言を謝罪され、全面撤回されました。自分の差別発言は間違えていた、ということをおっしゃられ全面撤回され謝罪されたことにより、刺激を受けた人たちがホームレスや生活保護の方々への攻撃にならない方向になっていくことになれば嬉しいと思いますし、そういう意味では、この撤回、謝罪は大きな意味があったと思います。

 そして、DaiGoさんの動画を見る方にもいい影響はほかにもあります。「一度間違ったことを言っても、何がなんでも謝罪したらダメなのだ。なぜならDaiGoさんがそうしているから」とならなくなっていくことでしょう。間違えたら撤回して謝罪するのだ、という当然のことをみんな学んでいくためには、まず影響力がある方がそれを実践されるのが一番です。

 差別発言が如何に間違えていたか、その考え方が如何に間違っていたか、は、DaiGoさんはこの動画の中で100%否定されてはっきり仰っていたので、そこは改めて申し上げるまでもないのですが、

 僕が今回感じた大きな課題は、差別が如何によくないか(それは過去の動画でご自身が仰っておられます)、差別発言が如何によくないか、さらに社会的な立場を持つ人間が言うことでどれだけ悪影響があるか、ということを、そもそも十分にわかっていた(と思っています)中で、どうしてこんなことになってしまうのか。

 人間は、自分の感情がコントロールできなくなり、いったん感情がエスカレートしてしまうと、自分自身の言っていることさえ制御できなくなってしまうことがある、という怖さを思い知りました。

 DaiGoさんは「メンタリスト」と名乗られています。察するに「人の心理が読み取れる」ようなニュアンスだと思うのですが、そういう方であっても、自分の心理が制御できなくなってしまうことがあるのだ、ということなんです。

 最初の動画で、明らかにスイッチが入ってしまった瞬間がありました。「辛口だから」という前提とはいえ、明らかにそういう問題ではない状態になってしまったのですね。話がずれていったので。ご自身の過去の経験等から、そのスイッチは入ったのだと思います。そこはご本人ではないので僕は想像するだけですが。

 そしてさらに、謝罪の前の説明動画で、「またこれ炎上すると思うけど」と言いながらさらにこの感情をエスカレートさせていくのですね。つまり、炎上するのを理解しながら、そのエスカレートした感情を抑えることができなくなる。で、結局それを、冷静になってみればおかしい、ということに気付き、謝罪されるのです。

 人間は感情の生き物です。ですが、僕たちは理性でそれを抑えて関係を構築していく術を学び成長してきました。でもなかなか難しいんだな、と。それを妨げる要素は誰にでもあるのだなと思いました。

 そしてそれが故に、心にもないことを言ってしまい(本人は全面撤回され謝罪しているので、そういうことと思いますが)、人を傷つける、ということがありえるわけですね。これは、きっと僕もそうですし、みんなそうなんだと。それが故に、人を傷つけ、最悪、失わなくてもいい命が失われてしまう可能性だってあることと思います。そしてそれは、本当に恐ろしいことです。

 この動画は、自分が心にもなく差別発言をしてしまったことを心から悔い、しっかりとその人たちのことを勉強しようと思う、と宣言されていた、と受け取りました。これは素晴らしいことと思います。やっぱり、金を稼いでいるからすげーだろ、とかでなく、みんなすごいのですよね。相手の靴を履き、相手のことを理解し、寄り添うことが差別をなくし、素敵な世の中になっていく第一歩です。

 相手のことを学び、知り、思いを馳せ、寄り添う。そしてみんな違ってみんないい、と相手をリスペクトする。好き、嫌いや、自分にとっての大事さ、優先順位はあったとしても、存在そのものは認める。これができれば、差別というものをなくすことができる、と僕は信じています。

 みんなで、差別のない社会に向かって考え、対話と議論し、踏み出し続けていければ、と思います。そのために、まず感情のコントロール、大事ですね。

 「そんなつもりではなかった。つい、感情がエスカレートしてしまった」がなくなるよう、僕自身も鍛えていきたいし、どうしたらいいか考え、貢献していきたい、と思います。



(※追記 最終的には、上記謝罪動画を撤回(公開停止)されたうえで再謝罪動画を出されました。ご覧になりたい方は、YouTubeなどで適宜検索いただければ。 2021年8月15日)

(Photo by アフロ)

 



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