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非輸送事業を強化する鉄道各社。いったいなぜ?

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

先日、東急の社名変更のニュースをみて、今後の東京近郊はどうなっていくのだろうなと考えることになりました。

東京急行電鉄は2日、社名から「電鉄」を外し「東急」に変更した。鉄道事業は10月に分社化し、不動産事業を中核とする姿勢を名実ともに鮮明にする。だが事業規模や新たな潮流への対応で競合大手と差があるのは否めず、描く未来図と内実との間には距離がある。一部重複する東急不動産ホールディングスとのグループ内連携も課題だ。

鉄道事業をサブにするという姿勢を強めるのは、東急だけではありません。各社ともにいわゆる「駅ナカ」事業を強化してきました。最近ではさらに踏み込み、「駅から出ずに用が足りる」サービスの展開も広がっています。

駅が移動のための中継点から長く過ごす場所に変わりつつある。JR東日本などでは駅構内にワークスペースを設けたほか、東京地下鉄(東京メトロ)では通勤中に気軽に学べる講座を用意。駅から外に出ずに用が足りるとあって、利用客の評判も上々だ。従来の買い物や食事といったサービスの充実に加え、ほぼ一日駅構内で過ごせるようになってきた。

「電車の乗り継ぎの合間に使える。カフェでは電話ができないので、個室ブースはありがたい」。都内で働く伊藤克裕さん(53)は、JR東の個室型オフィスをたびたび利用する。JR東は8月、駅構内に個室型のワークスペースを置く新サービス「ステーションワーク」を開始。JR東京駅、新宿駅、池袋駅、立川駅の4拠点に個室型ブースを20台設置した。

鉄道各社が駅ナカや非輸送事業の開発に注力しているのは、日本の人口動態の変化への危機感です。

鉄道各社にとって、沿線住民の本格的な減少は経営上の大きな課題となっている。JR東日本は、人口減を受けて2030年度の輸送量が20年度比で4%減、40年度には9%減ると予想。「テレワークなどが広がれば、鉄道の利用も減る。いかに価値を生み出せるかを考えなければならない」(JR東の深沢祐二社長)と危機感が強い。

人口減によりそもそも輸送量が減る見込みに加え、働き方改革によりテレワークやテレビ会議がさらに普及すると、さらに移動が減っていきます。それに備えて「駅から徒歩ゼロ秒。というか出る必要もない」という自らの強みを活かしたサービスを強化しているというわけです。

一方で、電車以外の移動手段が活性化した場合に、駅チカの価値が維持されるのかという視点もあります。

電動キックボードは3年ほど前から米欧で流行し、最高時速20キロメートル前後と自転車並み。自動車より低速で小回りが利き、手元のハンドルやブレーキで手軽に操作できる。米欧では免許は原則不要で、バードとライムはともに世界100都市以上に展開する大手だ。

地方や訪日客向けにMaaSの連携も相次いでいます。

日本ではUBERなどのライドシェアは普及していませんが、大きな流れとしては規制緩和が見込まれる領域です。鉄道以外の交通手段がつながりはじめ、ワークスタイルが変化してきたときに、地域の中心が駅ではなく違うものに移り変わる可能性もあるでしょう。

みなさんはどのような働き方が理想でしょうか? 通勤という概念を変えることで、まったく新しい生活ができそうです。未来に向けて、ちょっと想像をふくらませてみると面白いなと思います。

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タイトル画像提供:pretty world / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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