
暴論には正論で【日米貿易協議を前に】
また、トランプがドル高に不満を漏らし始めています。同種の物言いが散々繰り返されてきたこともあり、為替市場の反応は落ち着いたものですが、1月FOMCでFRBはハト派へ急旋回したばかりですが、結局のところ、為替市場は「相手がある話」の世界です。ECBや日銀が正常化できていない現状、ドル相場はどうしても下がりにくいという事情があります。為替市場において「ドル一強」の構図が継続中である状況を踏まえ、FRBの政策がど うあれ、事実としてドル高なのだから「不満」ということなのかもしれません(今まで利上げしてきた結果だと考えているのかもしれません)。
心配なのは、「大統領がドル安を求め、FRBもハト派に転換しているが、ドル高継続」という状況が続くことでしょう。こうなると消去法的に「相手国が悪い」という発想 に行きつきやすいです。「ECBや日銀が緩和路線を堅持していることでドル高をもたらしている」という、いかにもトランプ氏好みの結論に行き着く可能性があるでしょう。
これから二国間交渉を迎える日本としては
①日本の経常黒字の大宗は第一次所得収支黒字であること(貿易収支ではないこと)
②ISバランス上、少子高齢化の日本で経常黒字が押し上げられるのは仕方ないこと
③在米外資系企業で日本企業の貢献は極めて大きいこと
④自国のISバランスに目を向けない限り、為替を修正しても米国の経常赤字は恐らく残るであろうこと・・・といった正論をもって、トランプ政権の暴論に立ち向かいたいところです。それで分かって貰えるかどうかは不透明ですが、それが最も近道で筋が通っているように感じます。とりわけ、③については米商務省の年次調査で示されているデータでもありますから、十二分にアピール材料として活用してもらいたいところです。③は以下のようなイメージで示せます。
このあたりの詳しい話を以下のコラムにまとめさせていただきました。詳しい話がお知りになりたい方は、こちらをご笑覧くださいませ
トランプ氏の暴論には正論で、日米協議の矛先は
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tag-daisuke-karakama-idJPKCN1QM0G0