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国際カミングアウトデーに思う、東京五輪に向けた課題

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

10月11日は国際カミングアウトデーでした。カミングアウトとはLGBTQ(性的少数者。アライと呼ぶ理解者等を含めてLGBTQIAなどの呼称もある。以下、LGBTQと表記)が自身のセクシャリティーを公言する意味で使われています。1987年10月11日に米国ワシントンDCにLGBTQの人々が集まり「レズビアンとゲイの権利のためのワシントンマーチ(March on Washington for Lesbian and Gay Rights)」が行われ、その後も各地で同様のイベントが開かれる一大ムーブメントとなったことから、翌年に10月11日を「ナショナル・カミングアウト・デー」とすることになりました。

日本でもオンライン・オフライン両方でさまざまなイベントが開かれましたが、東京五輪に向けた取り組みとして、初めて大会公認プログラムに認定された「プライドハウス東京レガシー」が開所しました。

来夏の東京五輪・パラリンピックに向け、性的少数者の情報発信拠点「プライドハウス東京レガシー」が11日、東京都内に開所した。運営団体によると、相談事業や資料収集、啓発イベントの実施など、性的少数者に関する総合的機能を担う日本初の常設施設という。

オープニングイベントで松中権代表は「社会の理解が進むよう、さまざまな情報を届けていきたい」と述べた。国際オリンピック委員会のバッハ会長は「東京大会が多様性と包括性を組み込んだことの重要な例」とする祝辞を寄せた。

オリンピック憲章の第6項には「性的指向による差別の禁止」が盛り込まれており、大会の人権尊重の意志を強く示しています。また、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、大会基本コンセプトの一つに「多様性と調和」を掲げているのに加えて、大会に関わる物品やサービスの製造・流通について調達コード(ルール)に、LGBTQへの配慮や差別の禁止を盛り込みました。

一方で最近でも、まだまだ当事者への理解不足からくるヘイトスピーチが公然と行われています。先日も東京都足立区議会において、自民党の白石正輝議員が「日本中がLGBTになってしまうと足立区や日本が滅んでしまう」と発言し、大きな批判を浴びました。

多くの民間企業では、働きやすい職場づくりの一環として理解を高める努力を続けています。特に多様性に富むグローバル企業の日本支社では、どの企業でもLGBTQを支援する取り組みをしています。私が勤務している会社にもERG(従業員グループ)の中にLGBTQのグループもありますし、人種や女性など様々なテーマで活動しているグループがあります。それぞれに本社・地域の役員クラスがエグゼクティブ・スポンサーとして名を連ね、経営方針の一貫として取り組んでいます。

国内でLGBTQへの理解を高めるのに力を入れているのが、米ネットサービス大手のセールスフォース・ドットコムの日本法人(東京・千代田)だ。同社には「Outforce(アウトフォース)」という社員発の社内コミュニティーがあり、LGBTQ当事者と、アライと呼ぶ理解者ら約400人がメンバーとして参加。アウトフォースには経営に反映しようと役員も参加するのが特徴で、LGBTQへの理解が深まれば、それ以外の人たちにとっても働きやすい職場につながる、という期待もある。

オリンピック・パラリンピックの主催国として正しい知識を身につけ、「多様性と調和」に満ちた社会づくりをしていきたいですね。

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タイトル画像提供:Black Salmon / PIXTA(ピクスタ)

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