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国内の太陽光発電。適地が減る中、屋根や農地に注目

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

SGDsが注目される中で、持続可能なエネルギーをどう確保するかは重要な命題です。国の温暖化ガス排出削減目標である「国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)の水準(約10億4,200万t-CO2)にすること」を達成するためには、太陽光・風力・水力・地熱などの自然エネルギーをさらに活用しつつ、天候による変動を吸収する大規模蓄電池なども組み合わせる必要があるでしょう。

固定価格買い取り制度(FIT)により家庭や新規事業者による太陽光パネルの設置が進み、またパネル自体も量産効果でかなり安価になってきました。しかし、日本列島の地形は起伏に富み、 火山地・丘陵を含む山地の面積は国土の 約75%を占めています(国土地理院)。木を切り倒し、斜面を切り開いて太陽光パネルを設置したことにより土地の保水能力が低下し、新たな災害を引き起こすリスクも指摘されています。そのため、さらに太陽光パネルを設置する場所の確保が課題です。

経済産業省は企業が工場や倉庫の屋根に置いた太陽光パネルによる電気を高く買い取る制度を2024年度から始める。固定価格買い取り制度(FIT)で、平地の太陽光より2〜3割ほど高くする見通しだ。脱炭素実現やエネルギー安全保障の観点から再生可能エネルギーの導入拡大は急務だ。パネルを設置できる適地が減っており、屋根の活用を後押しする。

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工場や物流拠点などは広大で平らな屋根を持っています。新制度により、残された適地の活用が見込めます。

加えて、営農型発電と呼ばれる新たなタイプも登場しています。畑の上部に太陽光パネルを設置し、自家消費プラス売電収入も得るというアイデアです。

支柱の高さが4メートルある太陽光パネルの下でお茶の木が順調に育っている。無農薬抹茶の製造・販売を手掛ける流通サービス(静岡県菊川市)の茶畑。同社はここで2013年から営農型発電に取り組んでいる。

太陽光発電による同社の売電収入は年間3000万円にのぼり、売上高の1割程度を占める。これまでの投資額は約2億円。服部吉明社長は「23年春には蓄電池を導入し、茶葉工場の電力すべてを再生可能エネルギーに切り替える」と話す。

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もちろん農作物により向き不向きがあるのですが、茶の場合は上部の半分をパネルで覆っても収穫量や品質には影響がないとの結果が出ています。ブルーベリーやキウイフルーツで同じ結果を得るには、パネル面積を農地の36%分に抑える必要があるそうで、茶は営農型発電に適していると言えるでしょう。

加えて、自家消費分を100%再生可能エネルギーで賄うことで「持続可能な農業を実践している」という付加価値がつきます。エコに敏感な海外のバイヤーなどに評価されつつあり、新たなビジネスの可能性にもつながります。

日本は石油や天然ガスなどのエネルギー資源は乏しいですが、豊富な水や地熱が存在しています。また四方を海に囲まれていることからも、洋上風力発電なども期待されています。どれも大規模化には向かないものですが、逆に考えれば各地に分散したエネルギー源を持つことになり、災害時のリスクを分散できるというメリットもあります。イノベーションにより、安価で効率のよい発電ができれば、世界各地に展開できるポテンシャルがあるでしょう。


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タイトル画像提供:horiphoto / PIXTA(ピクスタ)

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