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10年先のアニメ文化のために=ドイツの子供たちから学んだこと

はじめに。今般の京都アニメーションの放火事件で亡くなられた方のご冥福を、また怪我をされた方のご快復をお祈りいたします。ドイツという日本から遠く離れた場所ではありますが、「日本のアニメ文化」をフィールドとする筆者も今回の事件に大きなショックを受けたひとりです。筆者に何ができるのか、考えはまだまとまりません。ただ、ひとつ言えることはアニメ文化を通じた国際交流は継続、拡大、深化させるべきだという筆者の信念は変わらないということです。

では本題に移ります。筆者は6月某日、ドイツのフランクフルト近郊の公立学校でアニメ文化に関する特別授業を行いました。

今回は、その内容と印象、そこから考えたことを書いてみたいと思います。ビジネスというよりも文化寄りの話しとなります。

「アニメ文化は世界を平和にする」

これが特別授業のゴールです。仰々しいと思われるかもしれませんが、掲げるテーマは大きいほどよいものです。参加した生徒は12歳の男女16人。1クラス分の生徒と学校の日本語クラブに所属する生徒たちが集まってくれました。

筆者が話したのは、アニメや漫画は消費という個人のレベルから始まり、感想を他人と話すことでコミュニケーションが生まれます。さらに、イベントに参加しアニメに関する企画を通じて、周りの人たちと趣味的な志向と時間を共有します。そしてそういった体験をアニメ文化と呼んでもよいのでは?と提案してみました。ちなみに黒板には図を描いて説明しました。(以下のツイートを参照してください)

ドイツの子供たちにアニメ文化を体験してもらう

当日はアニメ文化を体験する試みとして、ポストカードを使った実験的なアートプロジェクトに参加してもらいました。これは、初音ミクの派生キャラのひとつ「ミクダヨー」をファンアートとして描いたcha_boさんの作品をポストカードにしたものです。キャラクターの目の部分を切り抜いたデザインで、顔の前に掲げるとあら不思議。誰もがミクダヨーになってしまうというものです。

この特別授業のもようは地元のローカル新聞に取り上げられ、ポストカードを掲げた生徒たちの写真を見ることができます。(以下のリンク先を参照してください)

アニメ文化で世界は平和になったのか

授業はこれで終わりではありません。ミクダヨーになった生徒たちに感想を聞いてみました。皆が一様に楽しかったと言ったところで筆者の話しは続きます。ドイツではこういったアニメ文化に触れることができるイベントがたくさんあります。それはドイツだけではありません。アメリカやフランス、エジプトやイスラエルなど世界中で開催されていて、この楽しい体験は世界中でシェアされています。そしてそういった世界は平和であると言ってもよいのではないでしょうか?と提案し、みなさんの同意が得られたところで授業は終わりました。

1点だけ補足説明します。初音ミクは、厳密に言えばアニメでもマンガでもないバーチャルシンガーです。ただし、絵のスタイルは日本のアニメ・マンガ風ではあり広義の意味ではアニメ文化に含めてよいと考えた結果、今回の体験パートで取り上げました。

ドイツの12歳にとってのアニメ、マンガとは?

今回の授業の大部分は生徒たちと対話をしながら進めました。その中で気になったのは、アニメ文化との関わり方についてです。好きなアニメはナルトやワンピース、ポケモン。セーラムーンを挙げる生徒もいました。遊戯王のカードゲームが好きで、アニメファン向けのイベントにも行ったことがある生徒も。コスプレも知っていて実際にやってみたいと語ったり、初音ミクも知っていたりと、日本のコンテンツが非常に浸透していることを改めて知ることになりました。

10年とか20年前のドイツではアニメに熱中するのは高校生や大学生になってからというのが一般的だったと思います。それが今では10代前半からすでにアニメに慣れ親しんでいます。

日本がなすべきこと

改めて思うのは、こういった子供たちに向けて日本企業は作品やサービスを十分に提供できているのかということです。また、彼らが10年後、ファン歴の長いアニメファンになったとして、どういったモノ/サービスを求めるのか把握していく必要があるのではと感じました。10年経つ間に飽きてしまうことだって考えられます。日本国外の若い世代に向けて何を提供するべきなのか、需要をしっかりと開拓し、取りこぼしのないようにする必要があるのではと思いました。皆さんはどう思われますか?





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