
新型コロナにFactor Xは存在しない?!〜数年続く「経済」と「安全」の両睨み生活〜
1.第2波は来ているのか?
明らかに指数関数的な伸びを示している。コロナウイルスの感染拡大は実はわかりやすい。
6/19のステップ3の休業要請全面解除のちょうど2週間後の7/2-3辺りから100名を越えだし、1週間で200名を超える状態が続いている。
新聞TV報道は過去最多等、耳目を引きやすい表現で報道する。
4月の中旬は、PCR検査のキャパシティも足りず医療体制も逼迫していた。
同じ200人でも意味が異なる。医療体制の逼迫状況、重症患者の増減等の、総合判断が必要だが、複雑な文脈は伝わりにくい。
COVID-19は未知の部分が多いウイルスだ。
ウイルスは無生物の遺伝情報アルゴリズムだ。
アルゴリズムである以上、接触行動を制限していれば確率論として「ある程度」減衰していくし、接触行動を増やせば「ある程度」増加していく。
厄介なことは、指数関数的な増加のため「ある程度」を超えた時にパンデミック状態になりうることだ。当然、経済活動を正常化させればさせるほどの増加傾向は続く。
東京都は15日警戒レベルを最高に上げた。
2.西浦先生、山中先生からの重たいメッセージ
専門家として人格的にも尊敬に値する2人の知性が伝えているのは、
アジアが感染を低く押さえられている何らかの理由=Factor Xはまだ不明な点が多く、ワクチンの開発も容易ではない、そして、この新型コロナ禍は最低複数年は続くということだ。
”最低複数年、新型コロナ禍は継続する”(西浦教授)
”罹患しても軽症で済む人も多いウイルスのワクチンを健康体の人に摂取させる 副作用がないかなどの確認、治験が難しい”(山中教授)
”クラスターが発生した時の2次感染数は少ない”
”部分的な免疫を持っていると誤作動を起こす現象が欧米人で起きていて、アジア人はこの免疫がないので誤作動が少ないという可能性を議論している”
”但し、まだ日本人が感染しにくいという明確なFactor Xの証拠は出ていない”(西浦教授)
”BCGの相関は、擬似相関だった可能性”(西浦教授)
”南米、北欧の一部が集団免疫路線に舵を切っていたが、それに他の国が加わらない可能性はない”(西浦教授)
”日本の第2波がいつくるのか、はそれらの国による”(西浦教授)
”流行の制御と社会経済活動がの対立の状況は他国でも見られ神経をすり減らしながら行っている”(西浦教授)
(最後49:10-51:50までの2分半の西浦先生の結論の部分だけでも視聴をお勧めする。)
3.「安全モード」と「経済モード」のデュアルモード
コロナ禍が長期に渡るということは、多摩大学の田坂教授がいうように、医療崩壊回避を優先する「安全モード」と経済を優先する「経済モード」の両方の制御を適宜、行う必要がある。
その際のモードの切替の時の指標の方程式として参考になるのがこの記事。
ここの日本、イタリア、台湾のケースがわかりやすい
新規感染者 < 検査・追跡・隔離能力
を要は見れば良い。
検査追跡体制が整わずパンデミックに突入したイタリア。
初動から優等生の台湾。4月から緊急事態状態に突入した当時の日本。
方程式としてはこれにさらに加えて医療体制を確保しておくこと。
新規感染者 <重篤化防止できる 医療体制<検査・追跡・隔離能力
(実際に、東京アラート、大阪モデルなどの各種判断指標はこの考え方に近い。)
この方程式から、新規感染者が一気に増えれば「安全モード」に切り替え、余裕があれば「経済モード」として通常の経済活動に戻していく。
このような制御をしながら社会活動を行いつつ、少しづつ地方へのオフィス拠点分散、リモートワークのさらなる推進、エッセンシャルワークのロボット化、等、New Normal(新常態)での経済活動に移行していくしかない。
4.日本人を始めアジア人は、感染しにくく重篤化もしにくいという理由=Factor Xは何か?
医師・医療経済ジャーナリストでもある方が日本やアジアが欧米の感染者数の1/100である理由について丁寧に分析している。(「第2波は来ない」、というタイトルだが、内容はほとんどの考えられる要因はFacotr Xではなく、結果「第2波は来る」という分析に近い)
結論をまとめると、
原因:ウイルス側の要因
①欧米に入ったウイルスは東アジアで流行したものから変異した強毒のウイルスである
原因:取った対策の要因 ②高いマスク着用率③優秀なクラスター対策④国民全体での行動自粛、大規模イベントの休止、全国での休校などの対策⑤ハグや握手の習慣がない⑥大声での会話などが少ない⑦医療従事者が頑張ってくれたおかげで、オーバーシュート・医療崩壊せずに持ちこたえられた
原因:そもそもの体質の要因 ⑧何らかのアジア人特有の遺伝的要因
⑨アジア各国はBCG(特に日本株・ロシア株)接種率が高く、また結核の既感染者も多い→自然免疫の強化⑩既存の『風邪コロナウイルス』がアジアで流行していたことによる交差免疫での排除
という多くの要因の中で①〜⑧は多少の影響は有ったかもしれないが1/100の影響を及ぼしたFactor Xとは言えない、と結論づけている。
例えば、日本人は皆マスクしているし、というが、アジアの国々の中ではやや低い方であり、イタリア、スペイン等パンデミック状態になった国々もほぼ同等マスクをしている。
特に⑧については
人種の坩堝、ニューヨーク州を含む米国で、アジア人と白人、ラテン系の間に特に優位な差がないことから考えにくい。
但し、⑨⑩については、この記事では有力なのでは?と結論付けている。
朝日新聞もFacotr Xについて簡潔にまとめているが、結論まだ不明点は多い。医療者の間では、おそらく医学的には⑨BCGか⑩交差免疫あたりしか可能性が残ってないというところだろう。
「一つが決定的に重要というより、交差免疫、BCG、遺伝子などの因子が相互補完的に働き、重症化率を大きく押し下げている」
但し、
⑨BCGについては、先の動画の中で西浦先生や山中先生が指摘している通りBCGの接種を行ってきたブラジル等の中南米で感染が拡大が広がっており、逆にBCG摂取していないオーストリア、ニュージーランドで人口比死者は少なく説得力を失いつつある。
また、⑩なんらかの交差免疫説についても、臨床医の先生方は、慎重だ。
現在コロナに対する楽観論の多くが「自然免疫によるコロナ排除」を根拠にしているが、自然免疫も訓練免疫もウイルスに対する特異的反応としては根拠薄弱、人命をあずけられるような代物ではない
— Masahiro Ono 小野 昌弘 (@masahirono) July 10, 2020
社会・人命を左右する問題で、免疫で使用に耐える指標は抗体価。次に測定系の開発必要性が高いのはT細胞 https://t.co/UVq161SdTB
そういう事を考えるとふと恐ろしい仮説が、鎌首をもたげる。。
ひょっとしてFactor Xなど存在しないのではないか。。
でもそれであれば、1/100もの感染者数の違いはなんなのか。(続く)