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サービスにチップを払う新習慣とアフターコロナの報酬制度

 新型コロナで深刻な影響を受けているのは、対面で接客を行うサービス業であり、このままでは顧客の減少に加えて、働き手の不足も懸念されている。

日本では、飲食店、ホテル、小売店などで接客を担当する従業員は、非正社員として採用されている割合が6割を超している。いずれも感染リスクが高い職場であり、安い賃金(時給)のままでも働きたいという人材は少なくなるだろう。しかし、雇用主の立場では売上が低迷する中で、時給単価を上げていくことは難しい。

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アルバイト求人サイト「バイトル」を展開するディップによると、中部4県では4月の平均時給が1073円、前年同月に比べた伸び率は3.1%だった。自社の求人サイトに掲載された求人数は全国で約16万2千件と11%減。業種別では医療看護などの専門職は5割近く増えたが、レジャーなどのサービスは35%減、飲食も15%減った。日経新聞2020/5/18

一方、消費者の立場では、感染リスクを抑えるために、個別で対応してもらえるプライベートサービスへの需要が、海外では高まっている。食料品や料理の宅配デリバリーは代表的なものだが、自身の感染リスクがある中でも働く配達員のモチベーションになっているのは、基本的な報酬額に加えて、顧客から「感謝の気持ち」として貰えるチップである。

米国内では、コロナ禍でデリバリーの配達員に利用金額に対して15~25%のチップを払うのが通例になっており、チップの払い方も注文アプリの決済画面から任意のレートを指定できるようになっている。そのため、玄関越しに非接触で商品を受け取る「置き配」でも、感謝の気持ちとしてのチップを円滑に渡すことができる。

Uber Eats、DoorDash、Instacartなどのデリバリーサービスでは、いずれもアプリ上でチップ機能を実装しており、注文者が支払ったチップは配達員が全額受け取れるようにしている。※以下はInstacartのチップ決済画面

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日本には、これまでチップを支払う文化は無かったが、2020年5月からは日本向けUber Eatsのアプリにも、チップ機能が実装されるようになった。チップを払うか否かは任意で決められるが、「配達パートナーへのチップ」という項目から、5%、15%、20%、さらに注文額に対して2倍までのチップをアプリ上で決済することができる。チップの支払いは注文時だけでなく、配達後にレートを決めて行うことも可能だ。

サービス業に従事するアルバイトは、法定最低賃金に近い時給水準で働いているのが実情だが、日本でもチップ文化が定着すると、彼らの仕事に対するモチベーションを高めながら、実質収入を10~20%近く引き上げることができる。日本人はスマートにチップを渡すこと・貰うことに慣れていないが、決済アプリの中でチップを支払える機能があれば、抵抗感は少ない。

接客サービスに対する危険度が高まる中でも、チップ制度を導入する事業者には優良な人材が集まりやすくなり、サービス品質の向上も期待できる。米国でも、近年は「チップ=サービス料」として料金の一部に組み込まれる動きがあったが、コロナウイルスの影響により、接客してくれた従業員に対して感謝の気持ちを示すチップ制度が見直されている。電子決済業者にとっても、オンラインチップの課金と分配は、新たなビジネスチャンスになる。

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コメント (3)
チップは,慣れるまでは邪魔くさい,と感じていました.しかし,慣れてくると,きちんとサービスをしてくれた人への対価,感謝の気持ち として払えるようになり,便利だな,と感じるようになりました.そうなると,日本できちんとサービスしてくださる方への感謝を表す方法がないことの方に違和感を感じるようになりました.ご提案のように,オンラインで渡す方法ならばやりやすそうです.
すでに価格に含まれていて当然のもの(役務提供)に対して、追加の対価要求されるのは非常に気持ち悪いです。アメリカでは、課税所得を過少申告できる手段として手放せない層の抵抗があって無くならないものの、本当はみんな捨て去りたいと思っている制度です。さらに悪いことに、相対的な気前の良さを示すことが目的なので、どんどん払うチップの額が増える一方です。LA・SF・NYでは今や18%をデフォルトで求められます。狂気の沙汰ですが、一度スパイラルに入り込んでしまえば終わりはありません。
チップなどなくてもまともなサービス水準が保てている日本では逆効果になる(当たり前のことを当たり前にやる美徳が失われる、チップの多寡で態度を変える)こと間違いなしなので、心の底から真似しないでほしい。
コメントありがとうございます。確かにチップ制度には良い面と悪い面がありますね。日本ではサービス業従事者の平均年収が30年来ほとんど上昇しておらず、コロナ感染のリスクにより、更に働き手が減少していくことも予測されていますので、どんな方法で賃金水準の底上げをしていくのがベストなのか考えていくことが、社会的な課題と言えそうです。
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