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住んでいる人への自治体行政から、住みたい人を呼び込む自治体行政へ

人口は増えたほうが良いの?減ったほうが良いの?

 「人口」は増えたほうが良いのだろうか?減ったほうが良いのだろうか?ある人は、増えたほうが良いに決まっているのではと答える。多くの方がそう答えるかもしれない。が、この質問には問題がある。数学的に、この質問には曖昧さがある。どの範囲で「人口」を測定するかが説明されていないのだ。

 今、「日本」という範囲では「人口が減少」している。しかし、世界レベルであれば、人口は増加中であり、実はこの人口増加は問題である。国連の予測では、「2100年の世界人口は112億人、国連予測」との報道もある。

 地球規模では「人口増加」し続けているが、日本という単位や、日本の市町村レベルでは、「人口増減」に一喜一憂しており、多くの自治体では「人口減少」が問題になっているのだ。

多くの地方都市は、人口減少が問題である

 「静かなる有事 人口減少に向き合う」という記事で、元岩手県知事 増田寛也氏が、この人口減少に向き合ったエピソードを披露している。その中で、「企業を誘致して雇用を創れば、人口は増えるだろうと言われました。」という言葉を披露しているが、これが本当に地方都市に人を呼び込む方法だったのだろうか。

 今まで地方自治体は、人口の自然増化を背景に、行政地区に住んでいる住民のためのサービスを検討し、予算を使っていた。しかし、人口減少のフェーズに入り、財政を圧迫しないよにするために、自分たちの地区の説明を他の行政区の住民に行い、住民を増やさないといけなくなった。マーケティング的に言えば、黙ってても売れている時代から、積極的な宣伝を行わないといけないいけない時代になったのだ。

 今まで積極的、外部に広報、宣伝を行ってこなかった自治体は、当然このことについては、経験がなく、結果「企業誘致」という手法に出たのだ。結果、多くの自治体で「企業誘致合戦」を行い、その魅力が上手に作れないので、価格破壊的な手法、つまり「助成金」や「補助金」という方法を使い、企業誘致をした。

 地球規模では、人口が増えているのだが、その恩恵を得ることが上手に行えず、実に四苦八苦していたのです。奇妙といえば、奇妙である。

世界につながる地方都市を、世界から魅力的な地方都市を

 「静かなる有事 人口減少に向き合う」の中で、増田寛也氏は、「ハブ機能をもち、求心力がある地方都市を全国で10から20程度つくることだと思います。」と述べている。このハブとは、世界とつながるハブである。私もその通りだと思う。人の往来が増えていく中で、「ハブ」になることで、世界から人が来ることは重要だからだ。

 合わせて、その往来された人に「魅力的」、もっと強く言えば、「唯一無二の魅力」を提供することが、これからは重要なのだろう。つまり、その地方都市のブランディングだ。

 実は、九州の大村市は、人口が増加し続けている(大村市の人口推移)。これは、大村市に長崎空港があり、移動の国内のハブ的な機能があること。そして、長崎の衛星都市であることが理由にある。しかし、それだけではなく、大村湾という地理的な特徴を生かした、ブランドづくりを行い、その魅力を発信しているからでもある。

 世界的に見れば人口が増加している。地方自治体として、人口の自然増を待つのではなく、積極的住みたくなるという理由を伝えていく時代になったのだろう。「静かなる有事 人口減少に向き合う」の記事に触れ、ある意味自治体にもマーケティング的センスが求められていると感じた。


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