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「ドル化した世界」という問題

現在、世界経済が抱える最も大きな問題は「ドル化する世界」というフレーズに集約されるのではないかと考えています。この点について、以下の寄稿せ考察させて頂きました:

新興国の債務膨張、「ドル化した世界」が阻む円安https://www.businessinsider.jp/post-186735

もちろん、各国中央銀行は国内の経済・金融情勢だけを考えてその基本姿勢を考えれば良いと思いますし、それが筋論です。しかし、基軸通貨擁するFRBは、この数年の相場つきを見る限り、もはや「世界の中央銀行」然としています。2018年、米10年金利が大台に乗せるたびに株式市場だけでなく新興国市場が大荒れとなりました。これは新興国の非銀行部門においてドル建て債務の蓄積が進んでいることと無関係ではありません(この点、寄稿の中でも図入りで言及していますが)。

事実として、多くの新興国は米金利の上下動に資本市場の未来を委ねており、程度の差こそあれ、経済・金融情勢がドル化している実態があることはもはや否めないと思います。このような状況下、FRBのタカ派復帰とそれに伴う米金利・ドルの上昇シナリオを想定するということは、「ドル化した世界」である国際金融市場がそのような相場つきを乗り越えられると考えることにも等しいでしょう。もちろん、乗り越えられるならそれに越したことはありません。しかし、2018年の混乱を振り返る限り、そのような想定はあまり可能性が高いように思えないというのが率直な感想です。

新興国、ドル建て債務、企業部門・・・これらが今後10年の国際金融市場を読み解く上でのキーフレーズになってくるのではないかと私は考えております。FRBは米国の中央銀行であると同時に世界の中央銀行として、こうした外部への目配りも行いながら政策運営を切り盛りしていく時代にいよいよ入ってきたのだと思います(昔からそうでしたが近年、その傾向が異様に強まっているように感じる市場参加者は増えているのではないでしょうか)

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