プロがこっそり教える幸せな会社の辞め方-軽やかな一歩を踏み出すために
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プロがこっそり教える幸せな会社の辞め方-軽やかな一歩を踏み出すために

志水静香@みんなのCHRO&変革ファシリテーター

こんにちはFunleashの志水です。この時期は周囲から転職の相談が来るのですが、今年は例年より一層増えてきたように感じます。
「転職2.0」の著者であるリンクトイン・ジャパン代表の村上氏の記事にもあるように「個人がキャリアを選ぶ時代」に突入した。これまでとは確実に違う変化を感じています。

知人の相談にのっていると一つの共通点があることに気づきました。責任感が強く真面目な人ほど、会社の辞め方に悩んでいるのです。

今日は、中途採用9割の企業で数多くの退職と中途入社を見てきた人事のプロして、また複数の転職を経た自分の体験もふまえて書いてみます。

「現在」から「未来」に意識を向ける

転職活動が終わり、新しい会社が決まった。いよいよ会社に退職の申し出をしなくてはならない。上司や同僚にいつどのように伝えようか・・そう考えると少し憂鬱になります。
「辞め方が転職の成功を左右する」「現在の職場に迷惑をかけないことが最優先」というのが一般的な考えです。もちろん元の職場に迷惑をかけない円満退職が基本原則であることは外資でも日系でも同じです。
が、しかしです。転職者が過度な罪悪感に悩んだり、不当な扱いをうけるのは間違っています。自分の希望を抑えて我慢するとストレスがたまるだけでなく、その行動が転職先にネガティブな影響を及ぼすことすらあります。

結論から言うと、一度退職を決めたら「現在の職場」から「新しい職場」に意識を向けることです。
退職を伝えた時点で今の職場は「過去」になります。気持ちを切り替えて「未来」、つまり新しい会社を中心に考えることが重要です。大切な現在の時間を過去ではなく未来のために使う。これが軸になれば、さまざまな場面でシンプルな決断ができます。

退職を決めたらまずやるべきこと

退職の意思が決まってまず最初にやるのは、退職日と最終出勤日を決めることです。
一般的には「退職日は業務の状況を考慮して会社(上司)と決める」とされていますが、退職日を決めるのはあなた自身です。

いつまでに今の業務を終わらせられるかを起点にするのではなく、次の会社の入社日を起点にする

例えば転職先が来年の1月1日から入社してほしいというケース。退職日は12月末と仮置きします。残っている有給1カ月分を使う場合には11月末日が最終出勤日となります。1カ月前に申し出ることを就業規則で定めている企業が多いので、その場合は10月末に会社に伝えます。余裕をもって3か月前には会社に伝えるべきという説もありますが、早すぎる退職の申し出はお勧めしません。(理由は後ほど説明します)

こう考えてみてはいかがでしょうか。現在の会社が一生あなたの面倒を見てくれるわけではありません。もしかしたら将来放り出されるかもしれません。

私のキャリアは私のものであり、
自分にとって最高の決断をする


穿った見方だと思われるかもしれませんが、あなたは今の会社ではなく、新しい会社で評価されるのです。いくら頑張って評価を得てもそれは過去のものです。
一方、新しい職場では遅れをとっているわけですから、1日も早くチームに加わって仕事を覚える。良い成果が出せるように準備することの方が重要です。

退職あるあるトップ3

退職に関わる相談の中で一番多いのは下記のような悩みです。どこかで聞いたことがありませんか?

①上司が退職届を受理してくれない、後任が決まるまでダメと言われた
②重要なプロジェクトを完遂すべきだと言われた
③引継ぎがあるため有給の取得は難しいと言われた

一つずつ片付けていきましょう。

①上司が退職届を受理してくれない、後任が決まるまでダメと言われた
就業規則に規定されている時期に退職の意思を伝えていれば問題はありません。民法では、退職の申出をした日から起算して14日を経過したら退職となります。つまり、会社の許可なくやめることができるのです。

実際にこんな相談がありました。退職届を出しても会社から後任を見つけるまで待つようにと言われ、受理してくれない。時間だけが過ぎていって困っているとのこと。

その方には、次のように会社に伝えてはどうかとアドバイスしました。

「私の最終出勤は○月○日です。残念ですがその日までしか引継ぎができないため、後任が見つからないと部署の業務に支障がでます。」

数日後に上司は後任を決めたそうです。

退職日及び最終出勤日を明示し、それまでに引継ぎがスムーズ終わるように業務を整理・文書化しておくこと。これをきちんと行っていればあなたは責任を果たしています。それでも上司が動かない場合には人事部に相談してみてください。

他にも、上司から会議で公開処刑のように嫌味を言われたり、胸ぐらをつかまれて怒鳴られた方もいます。
退職する社員への対応は会社の人格がでますね。
腹を立てたり落ち込むことはありません。そんな会社は辞めて正解です。一日も早く退出しましょう。
自分なら同じことはしない、真摯に対応する上司になるぞと心に誓いましょう。

②重要なプロジェクトだから完遂すべきだと言われた
組織の誰が抜けても仕事が円滑に進むようにバックアッププランを持っておくのは上司の仕事です。新しいメンバーを他部署からアサインするのか、外部から採用するのか、契約社員にお願いするのか・・後任を迅速に決めるのは上司の役割であり、あなたより給料の高い上司の仕事まで心配する必要はありません。
多少の支障はあっても一人抜けたくらいで会社が回らなくなることはありません。極論を言うと、社長が辞めても会社の事業が止まることはないのです。

周囲に迷惑をかけるから現在のプロジェクトが終了するまで半年は在籍しなければ・・そんな真面目な方もいらっしゃいます。
酷かもしれませんが、あなたの片思いかもしれません。退職を申し出た時点でマネジメントにとって、あなたは重要なメンバーではなくなります。

私が人事責任者の時には、退職する社員にはできるだけ早く退出を促して休暇を取得するよう現場のリーダーに助言していました。下記の理由からです。
①退職者は周囲の士気にマイナスの影響を与え、プロジェクトチームの成果が下がってしまう(メンバーの熱意や意欲に確実に影響あります)
②退職者にどこまで任せたらよいのか、この情報はシェアしてもいいのかと周囲に不要な気遣いをさせてしまう

早めにプロジェクトを切り上げることがあなたにも、チームにも実は賢明な決断なのです。

退職の申し出は早すぎないほうがいいと述べました。
例えば3か月前に申し出をすると、早いタイミングで大事な情報は入ってこなくなります。会議に呼ばれなくなることもあります。それは仕方ないですが、決して良い気持ちはしません。その状況で高い成果を出すことは難しいでしょう。仮に成果がでても未来にはつながりません。早すぎる退職の申し出はよく考えるべし。その理由はここにあります。

③引継ぎがあるため有給の取得は難しいといわれた
有給は社員の権利であり、法的に会社は拒否することはできません。これまで現在の会社に十分に貢献してきたのです。しっかり休んでください。それ以外にも付与されたベネフィット(福利厚生)を活用してください。
退職を決めたら、どんなベネフィットがあるかチェックしておくことです。引継ぎ業務の継続により、どうしても有給が取得できなかったり、取得日が減った場合には、有給の買取りを依頼することも可能です。(通常は買取りは禁止ですが、会社都合で取得できない場合には買取りが可能です)

私が所属していた会社では、ほとんどの社員が退職前に有給を取得していました。引き継ぎ計画を準備し、後任の人材に必要なスキルや能力と共に、時には社内の人材を推薦してくれる。プロフェッショナルでした。
引継ぎ書を作成して質問や相談を受け付けられる体制を整え、誠意をもって対応する姿勢を常に忘れない。
退職日までの日数が長いか短いかは問題ではありません。プロとして引き継ぎを完遂しましょう。

振り返らずに新しい会社に移る準備を行う

退職を申し出たときに上司から引き留められることがあります。やりたい職務を作るから、給料を上げるから、なんとか考えなおしてほしい。会社にとって君は大事な人材だ・・上司や同僚から優しい言葉をかけられると、今まで培ってきた社内の人間関係、経験や知識、将来活躍するかもしれない機会・・それらが次々と想い浮かんで決心が鈍るかもしれません。

引き止められて残った組織で、その後に成功する可能性は極めて低いといっておきましょう。多くの場合、退職を切り出した時点で社内における立ち位置や周囲からの評価が変化するからです。残念ながら以前と同じレベルで信頼を得ることは難しくなります。したがって退職を決めたら後ろを振り向かずに初志貫徹をお勧めします。

それでも退職に迷いがでるならば、なぜ転職しようと考えたのか、もう一度思い出してみてください。何かしら要因があったはずです。自分が大切にしている価値観やキャリア目標に立ち戻ってみてもいいでしょう。
ここでも、「今の職場」から「新しい職場」に意識を向けることが役に立ちます。
新しい職場でイキイキと働き、挑戦する自分の姿が目に浮かんだら、後ろを振り向かない。あなたが築いた財産がなくなるわけではないのです。

未来に向かう気持ちを確固たるものにするためにおすすめしたいことが二つほどあります。

数日間でも良いので(できたら2週間)有給消化中に旅をすることです。コロナの状況で旅行が難しい場合には、普段あまり行かない遠く公園や街を訪れるのもいいでしょう。これまで同じ会社で、あ・うんの呼吸で通じる居心地の良い仲間に囲まれて働いてきました。知らず知らずのうちに身についてしまった自社特有の文化、スキル、能力をしっかりデトックスしましょう。
アンラーニング(これまで学んできた知識を捨て、新しく学び直すこと)することで、新しい会社で知識やスキルを習得するスピードが速まります。
まっさらな自分で新しい会社のスタートを切るためにも心身をリフレッシュしておくことは大切です。

二つ目は、次の会社のことを「好きになること」。転職先のホームページを見たり、ソーシャルメディア、過去の記事を読み込んでおきましょう。企業理念やビジョンは暗記するくらいつぶやいてください。情報通になるためではなく、新しい会社を好きになる土台を作っておく。どんな仲間がいるのだろう、上司からはあれを学びたい、こんな仕事をやってみたい・・想像を膨らませててワクワクを広げるのです。好きな会社」に入れて幸せ全開オーラのあなたを新しい職場は温かく受け入れてくれます。

現在転職活動中の方、あるいは近い将来転職を考えている方が、挑戦を恐れずに軽やかに一歩踏み出せますように。私の願いが一人でも多くの人に届くことを祈ります。

転職に失敗なし、あるのは学びのみ。挑戦する自分を誇りに思い、自分の決断とチカラを信じましょう。
新しい世界への扉はもう開かれています。

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志水静香@みんなのCHRO&変革ファシリテーター
(株)Funleash代表取締役、アカデミア学長。人事ソートリーダー。Linkedin認定インフルエンサー。「2020インフルエンサーオブザイヤーTOP10」複数の外資系企業で人事責任者として変革を実行。人と組織の可能性を引き出す変革の外部支援。講演、執筆など幅広く活動中。