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マンガと異業種のコラボに需要はあるのか=ドイツから考える

ドイツ、フランクフルト近郊のリンゴ酒メーカーが先日、マンガ風のデザインを採用した新商品を発表しました。イラストを担当したのは日本の大学院でもマンガ制作を学んだドイツのプロ漫画家クリスティーナ・プラカさん。このシードルとレモネードをミックスしたアルコール飲料は、ドイツの大型スーパーチェーンでの販売を予定しているそうで、つまり全国規模での展開だと思われます。ドイツのクオリティペーパー『フランクフルター・アルゲマイネ』などが取り上げたこのニュースですが、気になったのはメーカー社長のコメント。

「ドイツのマンガシーンは大きい」

つまり、マンガファンのコミュニティは一定の大きさを持っているという認識です。このリンゴ酒メーカーは、世界的なシードル需要の高まりを受け、ドイツ国内でも新たな顧客を獲得するためにマンガファンに注目しました。

ドイツでも日本のアニメやマンガなど、年間何十という新作タイトルが翻訳、販売されています。ファンが集まるイベントはドイツ各地で開催され盛況です。主要イベントは10年以上の歴史があり、ファンの世代も広がりつつあります。今回のマンガ風デザインの飲料は、こうした文化背景がより広く浸透してきた結果なのかもしれません。

これはドイツに限った話しなのでしょうか?

アニメやマンガといった日本のポップカルチャーに魅せられたファンが集まるイベントは世界各地で開催されています。国際オタクイベント協会(IOEA)はこうしたイベントの情報を収集しネットワークを構築しています。IOEAが把握しているイベントは2018年末の時点で、46の国と地域、121イベントに上ります。

日本政府は先日、クールジャパン戦略の見直しを発表しました。この戦略は最近では訪日外国人いわゆるインバウンドの獲得で注目されています。しかし、そもそもは輸出振興政策だったはずで、日本のコンテンツの海外進出を目指していたと筆者は理解しています。

アニメやマンガ分野における日本のクリエーターが、
海外の異業種企業とコラボをすることで、
コンテンツ制作という「サービス」を海外に輸出する。

そういう需要がもっとあるのではないか、とシードルのデザインを見て改めて感じました。

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