見出し画像

「さいたま国際芸術祭2020-Art Sightama‐」の開催が無期延期となりました。


安倍首相の記者会見を見ながらこのエントリーを書いてました。

てっきり、東京のロックダウンが発表されるのかと思い見ていたけど、玉虫色な会見で驚きました。多くの企業の決算がおわった4月からのロックダウンの為の地ならしの為に行ったのかな。政治的戦略ではなく、コロナ対策としての戦略的意図があった会見であった事を願います。

二項対立からは脱却したい

経済はとても大事であり、景気(安倍政権下においては株価を意味する模様)に最大限配慮するのも重要ではありますが、景気は生活者の安全・安心という前向きな気分になっていることが大前提かと思います。だから、感染症への対策に厳しく取り組み国民の安全を確保する事と、経済を回す事は、本来二項対立ではないはずです。

短期的には感染症拡大に対抗すべく感染症対策に大きく舵を切り、それにより発生する大きな経済的損失を被る事業者や業界には、しっかりと助成を政府が行い国民生活を守る。そしてしっかりと安全・安心を一定程度確保できる均衡点の掌握を実現し、必要な対策が把握出来たタイミングでちゃんと経済を正常に回していく為に、景気対策や中小企業支援を行っていく。そんなことは誰もがわかっている取るべき対応策だと思います。こんな時の為にみんなも税金払っているんではないかな。

ドイツやアメリカなどは、まさにその様な指針を強く打ち出しているわけですが、日本はなぜかそうではなく、生煮えで曖昧なメッセージが続いていて、茹でガエル状態の様で怖いです。今の方向のほうが長期的な経済ダメージを負ってしまいそうな気さえしています。今の政府の方針は、曖昧な形にして各自治体や個人の判断に委ねる事で、国民の安全と経済の両立を達成しようとしているのだと思われますが、私はコロナ対策と経済対策のフェーズを切って対応したほうが両立に繋がるのではと思っております。正解はわかりませんが。

でも、まだ両立を目指している分マシというか、一部のテレビのコメンテーターの方々やネット論壇では新型コロナが何者かもわかっていない段階から「ただの風邪」「インフルエンザだって人が死ぬ」というメッセージを喧伝し、無根拠に「気にする奴は馬鹿」というメッセージを出していました。まあ、その人達が安全だと思うのは勝手なんですが、コロナは危険なのではないかとか慎重に考えたほうがいいのでは無いかという意見に対して、「経済を殺す気か」「バカなのか」「コロナ脳」と罵倒して、まるで新型コロナに慎重になることを臆病物であり経済の敵かのようにこき下ろしていた事は非常に問題だと思いました。この言説が日本ではかなり広まってしまい、いつの間にか「安全」と「経済」が二項対立かの様になってしまい、経済を大事にするスマートな人は街に出歩こう的な、まるで特攻隊的な雰囲気になっている様な感じになりました。そんな特攻隊みたいな経済活動って長続きするんですかね。
すくなくとも、実際にコロナが脅威であれ安全であれ、自分と違う意見をこき下ろしたり論拠なくデマだとレッテル張りするのは、討議デモクラシーを破壊する行為なので、よろしくありません。つまりその人の論拠や結論が正しかったとしても取ってはいけない態度なんだけど、それが通用しないんですよね今の論壇は。

いつの時代も、白か黒かの二項対立は分かりやすく、そして選びやすい。
しかしいつの時代も正解はその間にあるなにかだったり、二項対立から脱却した両立だったりします。イノベーションってそういうことでしたよね。

クラウドファンディングも、事業性と創造性が二項対立に捉えられやすくなかなかスタートアップ資金が集まりにくい、クリエイティブ活動や公共活動のお金集めを、その二項対立から脱却する為の仕組み。

今回も「安全」と「経済」の二項対立から離れて両立するためのプログラムとして、「新型コロナウイルスへの対策支援プログラム」をスタートして数多くのプロジェクトが実行中です。

これにとどまらず、二項対立からの脱却をテーマに、今後も色々な社会に役立つアクションを仕掛けて行ければとの思いを強くしました。

無期延期となりました

本題までが異常に長くなってしまいましたが、この新型コロナの状況に関連し、
残念なお知らせが発表されました。

私がキュレーターとして関わってきた『さいたま国際芸術祭2020』の会期が無期延期という結論が、さいたま市 清水市長から公表されました。

開幕日及び会期について
開幕を当面のあいだ延期します。
会期は一定程度の見通しが立った段階で改めて決定します。
前売引換券について
当初予定していた開催期間が大きく変更となることから、希望する方には前売引換券の払い戻しを行います。
払い戻しの方法につきましては、後日公式WEBサイトで御案内いたします。
中止ではありませんので、既に購入済みのもので、新たな会期においても入場できます。

約2年間、人生で初めて”キュレーター”という役割でさいたま国際芸術祭に関わってきました。”キュレーター”は映画で言えばプロデューサーに少し近い気がしていますが、芸術祭のテーマを解釈し、そのテーマやコンセプトに沿った作品を構想し、そんな作品を制作していただけるだろうアーティストに相談し一緒に考え予算管理し実装していく、そんな役割。多分。

人生で初めて”キュレーター”を拝命し、とても思い入れがあり開幕をとても楽しみにしていたのですが、遂にオフィシャルでのアーティスト情報解禁も行われこれから自分が関わらせて頂いたアーティストや作品について紹介していきたい!と思ったら、二度に渡る開幕延期、そして今回の無期延期と、やりきれない思いでいっぱいです。

一度完成した作品も、芸術祭がリブートして開幕期間が再設定されたときに向けて保護しなくては行けないので、ものによっては一度引き上げなくては行けない。

悲しいですが、誰も悪くないのでしょうがないとしか言いようがないです。
でもそんな悲しみを、私以上のアーティストが感じているでしょうし、それこそライブを行う予定だったミュージシャン、劇場公開するはずだった映画の製作者、一生懸命稽古してきた舞台人、美味しい食事を届けてきた飲食店の方々、リノベーションしてすばらい場所を作ってきた宿泊施設の方が、みんなが強く感じて居るわけで、それを考えると更にいたたまれない気持ちになります。

MOTIONGALLERYで毎年クラウドファンディングでご一緒してきた、GWの風物詩、クラッシックフェスと言えばコレ!の『ラ・フォル・ジュルネ』は開催中止が発表され、ファンディング中だったプロジェクトも中止となりました。

本当に悲しい。

『さいたま国際芸術祭2020』は、現時点では中止ではなく、会期を延期して開催予定です。もうこれ以上中止のニュースは聞きたくない。

なんとか、今みんなで外出を自粛し、オンライン飲み会など二項対立ではない両立のアイデアで、被害を抑え安心安全を獲得し、反転攻勢を掛けて行きましょう。
超絶個人的な発言としては、その先に『さいたま国際芸術祭2020』のリブートを目指したいです。

最後思いっきり余談ですが、その両立には、今中止につぐ中止で本当に苦しくなっている、クリエイティブ業界。文化の存続の為にも、今、支援がとても大切です。MOTIONGALLERYもその為に「新型コロナウイルスへの対策支援プログラム」をスタートしているわけですが、やはり助成金や補助金など国が支える姿勢も本当に必要になって来ることは間違いないです。

イギリスやドイツなどは早々にその姿勢を鮮明にしています。
文化が、社会になぜ必須なのかという話は、今度のエントリーに譲りますが、ここで見殺しにするようでは暗い未来しか見えません。

そんな状況で日本ではこんな発表がされました。あまりにイギリスやドイツと対照的でびっくりしました。なんで宮田さんは今ポエム詠んでるの?

リソースの話をすべき時に、なぜか勇ましいマインドの話にすり替わるのは、戦前からの伝統なんですかね。文化芸術への支援がこの感じであれば、飲食業界や宿泊業界への支援も推して知るべしな気がして暗澹たる気分です。

私が入学したときの入学式、卒業したときの卒業式も、答辞は当時東京藝術大学学長だった宮田さんでした。本当に素晴らしい言葉を頂き、感動したものでした。私は宮田さんが大好きです。芸術家とは思えない”いい人”列伝の数々も語り草です。

ですが、文化庁長官になられてからはその”いい人”が、芸術・文化政策にいい方向に働いているかが微妙です。すくなくとも、一昨年の東京国際映画祭でのスピーチは酷かった。映画『あの日々の話』スプラッシュ部門入選を受け、プロデューサーとしてスピーチ会場にいましたが、もう恥ずかしくて海外の映画人の顔を見れなかった。「日本の映画は世界で一番」ってどういう意味だよ。ツッコミどころありすぎてもう何も言えない。

宮田さん、そろそろ、韓国の様に、芸術家が文化庁長官をやる事に意味があるんだという事例を作る為に、目を覚まして戴く時だと思います。

最後に

「さいたま国際芸術祭2020-Art Sightama‐」の開催が無期延期となった事、本当に残念ではありますが、新型コロナウイルスの拡大阻止に向けて重大な局面に入っている中で、当然ながら必要な決断だと思います。


この数週間、みんなで連帯し不急不要な外出を控え、感染拡大を抑え、山を低く長くし、本当に「ただの風邪」だと根拠をもって言える状況になる日が一日も早く来る日を願います。この事態が一日も早く収束しますように。

#Stay Home Save Lives

頂いたサポートは、積み立てた上で「これは社会をより面白い場所にしそう!」と感じたプロジェクトに理由付きでクラウドファンディングさせて頂くつもりです!