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飲食業のビジネスモデル転換を促す、未来の食事スタイル

ここ数年で、中小の飲食店経営は急速に厳しさを増している。一般世帯が毎月使う食費の中で、外食にかけている割合は、全国平均で約20%、大都市で25%前後だが、就労者の収入が減少すれば、外食費も下がるのは必然であり、特に客単価が5,000円以上する高級店や、飲み会の減少に伴う居酒屋、ビアホール、パブなどの落ち込みも激しい。

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それらの店では、これまで行ってこなかったランチ営業を始めることで、売上の減少をカバーしようとするが、もともと利益率が低いランチは、労働時間(人件費)を増やすことにしかならず、店主や従業員を疲弊させる要因となってしまう。

では、世間の景気状況が良くなれば、飲食店の客足も戻るのか?といえば、そうと言えないデータが各所で上がってきている。消費者の外食回数が減少しているのは、他の先進国にも共通した傾向であり、これからは「外食」よりも「家庭での食事」が好まれるようになる。

米市場調査会社「NPD Group」が2018年に発表したレポート「Future of Dinner(未来の夕食)」によると、米国では年間で1000億食の夕食が消費されているが、その中では「家庭で消費される食事」が80%を超しており、外食の割合は将来的に低くなっていく。ただし、伝統的な100%手作りの家庭料理も減少の傾向があり、今後は10分以内で準備ができる家庭料理の関連市場が伸びていくことが予測されている。

Future of Dinner: Five-Year Outlook

家庭での食事(内食)が増えている要因としては、家族間のコミュニケーションが深められることの他に、食費を節約できることも大きい。

米国の平均的な外食費用は、地域によっても異なるが、ファミリー向けのカジュアルなレストランで20~45ドル、高級レストランは50ドル以上だが、それに税金が7~8%と、店員へのチップとして15~20%がかかる。一般的なレストランで、家族4人が食事をするのでも、最低でも100ドル以上の代金となるため家計の負担は重いのだ。

日本ではチップの習慣は無いものの、消費税率が10%に引き上げられたことも、外食離れを進行させる要因になる。特に、中小の飲食店ほど影響を受けやすいが、その理由は客単価の設定と関係している。

【中小飲食店が衰退する理由と業態変換】

 日本の飲食店は、従業員数(常用)が5名未満の零細店舗が6割以上を占めている。その中では、全国規模のレストランチェーンと価格面で勝負することは厳しいため、地元の新鮮な食材を活用した本物志向で差別化を図ろうとしている。

故に、客単価も3,000~4,000円に設定しているケースも多いが、現代の消費者は、客単価が2,000円以下(できれば1,000円以下)でも、満足度が高い店でなければ、予算が合わない。苦境が続く飲食業界の中で、回転寿司(客単価:約1,000円)、ラーメン店(約1,000円)、牛丼チェーン(約720円)などが勝ち組となっているのは、そのためである。

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客単価が高い中小の飲食店でも、食材原価の他に、店舗家賃や人件費の負担率は重いため、決して儲かっているわけではなく、どの経費項目を削っても飲食店の経営は成り立たなくなってしまう。大手チェーン店のように、大量仕入の薄利多売で食材原価を下げることは難しく、時給を高くしなくては、アルバイト人材が確保しにくくなっていることも、中小飲食店にとっては強い逆風である。

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そこで、同じ料理人の仕事でも、飲食店の業態から離れて、中食や内食向けのサービスを立ち上げることも、未来の食市場に向けた生き残り策になる。現状で日本国内の食に関連した市場は、年間71兆円の規模があるが、食事市場の基本は家庭で作る料理(内食)である。

しかし、働く女性や高齢者の増加により、毎日の調理にかけられる時間は減少しているため、自炊をしなくても手軽に自宅で食べられる中食市場が伸びている。 中食は、スーパーの総菜やコンビニ食品などが主体で、利用できる選択肢が少ないため、より家庭料理に近い、内食と中食をミックスしたような新サービスを開発することが、海外のフードビジネスでも有望テーマになっている。この分野には、大手も参入しているものの、ローカルなスモールビジネスのほうが消費者から支持されやすい特性もある。

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