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競争と挑戦がエクスペリエンスを創造する

私がユーザエクスペリエンスに関わる仕事を始めてから、もう20年が経過しました。

そこで、明確に言えることが一つあります。

それは、競争が激しければ激しい領域ほど、表面的なサービス品質はもちろんのこと、買う側にとってのメリットが明確なものが多くなりつつ、進化のスピードも速く、総合的なエクスペリエンスが高くなっていくことです。

また、競争の範囲も品質に対して効いてきます。

例えば、世界的な競争になれば、生き残った製品やサービスは、当然世界トップ水準になります。

トヨタの車は、世界中どの車と比べても、最高品質と言っても言い過ぎではないでしょう。競争がどの範囲で実行されているかもまた、考慮されるべき要素になります。

ところで、皆さんが、これまで憤ったサービスってありますか?

私は、数限りなくあります。

社会人が使用する官公庁のサービスが、なぜ土曜、日曜に閉まっているのか、そもそもの存在意義を問いただしたくなります。

15時以降は閉まってしまう銀行窓口に泣いたこともあります。

スキー場のカレーは、なぜレトルトの味がするのでしょうか。

エアービーやウーバーなどのデジタルサービスを海外で利用したことがある方は、日本で骨抜きになった類似サービスに涙されることでしょう。

もちろん、最近は改善の兆しも見えます。スキー客の減少に伴い、生き残りをかけて、美味しいご飯を提供するスキーリゾートも増えてきました。

携帯3キャリアの横並びだったサービスや価格も、格安サービスの登場と共に少しづつ崩れてきています。

これまで日本が採用してきた大陸法系の秩序では、自由な競争や挑戦を大幅に制限したとしても、世界の理を知り尽くした存在が、やって良いことを示し、示したこと以外は禁止してきました。そうすることで、より良い社会が実現できるという信念に基づいています。

現代は、インターネットの普及や物流網の発展により、国境を越えた競争が当然になってきています。

技術の発展スピードも高まり、環境も複雑に変化する中で、社会全体を誰かが知り尽くすことが不可能であることは、誰の目にも明らかになっています。

そして、そもそも、自然に競争が行われ、切磋琢磨しなければならない環境こそが、ユーザエクスペリエンスを高めていきます。

みんなが享受する様々なサービスの品質を高め、より豊かな社会を実現したければ、自由な競争を担保し、新しい挑戦が実行でる環境を整えていくことが必須条件になります。

もちろん、いまここで、我々も米国のように保護主義の強化を議論をしていくことも可能です。しかし、それはユーザエクスペリエンスの退化を意味します。

競争の当事者は、負けることへの恐怖と不安に苛まされます。しかしそれは悪いことばかりではなく、より良いサービスを創造する挑戦のエネルギーへと転化され得るものです。

過去の権益や成功体験にしがみ付かなくとも、まだまだ日本社会には、未来をより良くする体力は残っていると信じています。

競争に負けることをを恐れず、どんどん前進していきたいです。

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