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投資に役立つ「景気の格言」

「不況下の株高」という格言を、地で行く展開となりました。5月18日、公表されたGDP統計は大幅なマイナスだったにもかかわらず、株価は上昇しています。「株価は景気の先行指標」とも言われますが、はたして株高は将来の景気回復を織り込んでいるのか、それとも株価は景気と関係なく上がっているのか。今はどちらかというと、後者の論調が支配的なようです。

過去を見ると、株価の上昇・下落は景気回復・後退のサインではなく単なる不規則変動だった、などというケースは少なくありません。「株価は5回の景気後退を9回予言した」という経済学者ポール・サミュエルソンの発言を、以前に本欄で紹介しました。株価だけをみて景気を判断するのは危険だということですね。

それでは、景気で株価を予測することはできないのでしょうか。私は「多数決」で判断することにしています。株価は景気の先行指標の1つですが、株価以外にも景気の先行指標はたくさんあります。株価だけではなく、その他の景気先行指標も総じて上昇しているのであれば、その株価上昇は景気回復を織り込んだ「本物の株高」と判断することができます。

代表的な景気先行指標は、内閣府が毎月発表している「景気動向指数」の先行系列として複数の経済指標が示されています。誰でも簡単に内閣府ホームページで閲覧できます。一方、民間エコノミストの多くは、景気動向指数に含まれていない先行指標を探し出したり、あるいは独自に開発したりして、自分なりの景気予測ないしは株価予測の手法を編み出している模様です。

ただし、今回のようなパンデミックや自然災害に起因する景気後退を、景気の先行指標で予測することはできません。その場合は、政府や中央銀行による政策対応の巧拙で、先行きを判断します。「中央銀行には逆らうな」という格言がありますが、これは正確には「Fedに逆らうな」です。米国の中銀(Fed)がなりふり構わず金融緩和に踏み切っていれば、よほどのことがない限り、世界の金融市場は好転します。そのFedに日銀も追随すれば、なお良しです。今回はFedも日銀も無制限の金融緩和に踏み切っていますから、個人的には足元の株価の反転には違和感がありません。

これまで紹介した「景気の格言」は、いずれも過去の経験にもとづいています。また、景気の先行指標も過去の経験則です。結局、人間は同じような失敗と成功を繰り返しているわけです。景気が良くなると「今回は(過去の好況やバブル景気とは)違う」という主張がはびこるのも、これまた普遍的な現象です。逆も然りで、パンデミックや天変地異であろうとも、過去の経験則をよりどころに景気や金融市場の先行きを判断することの有用性は、今回も変わらないと私は思います。


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三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所シニアエコノミスト。日本経済の分析・予測を担当しています。

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