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「仕事で社会貢献を感じたい」という人に伝えたい「力愛不二」という考え方

今月も早いものでもうまもなく終わりを迎え、師走がはじまる。

「師匠が走るくらいの忙しさって弟子はまじで全力疾走どころの騒ぎじゃない」というツイートを見て、激しく首肯したが、例年通り慌ただしい12月になりそうだ。

そんな中、あいも変わらず月末最終日になってCOMEMOの筆をとっている(月に2本COMEMOを寄稿するのがルール)自分に、もはや嫌気をさすことすらなくなっているのだが、開き直って筆を進めていきたい。

ということで、今回のお題はこちら。このお題の存在を知ったのは既に締め切りを過ぎた後だった(毎度おなじみ)のだが、思うところがあるお題なので気にせず書くことにする。

「社会貢献なくして成長なし」の時代へ

これまでの資本主義の常識からすると、会社は利益を追求することが最優先で、社会貢献なんぞ二の次、三の次。社会貢献は、CSRのように業績が良く資金に余裕がある会社がやるもの、という認識が強かった印象がある。

ところが「SDGs」や「ESG投資」や「パーパス」といったキーワードが話題になり、この十年(日本ではここ数年)ほどで会社経営と社会貢献の関係性が一気に変化したように感じられる。

かつては市場で評価されることと社会貢献は別物、というイメージが強かったが、現在は社会貢献なくして、株式市場からも顧客からも評価されない、という時代に様変わりしたのだ。

それはベンチャー・スタートアップにおいても同様である。

ほんの数年前までは「社会貢献は大手上場企業や地方の老舗企業のように余裕のある会社がやるものであって、ベンチャー・スタートアップは成長こそがすべて。社会貢献なんて考えてるヒマはない」という考えが圧倒的なすう勢を占めていた。

ところが、今やそうした考え方は通用しなくなりつつある。

これからは「強くなるものが更に強くなるサービス」ではなく、「弱いものに寄り添ったサービス」がより重要な時代になっていると考えている。

とWiL共同創業者兼CEOの伊佐山元氏が喝破している通り、今や成長し続けるためにこそ、高い社会貢献性が求められるのだ。

「社会貢献度」の低い仕事がしたい人なんていない

と、ここまではビジネス市場における社会貢献性の重要度の変化について振り返ってみたが、労働市場に関して言えば社会貢献性の重要性は昔からさほど変わらない。

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上記の図表はこちらの記事からの引用であり、2020年の就活生の意識調査のデータだが、社会貢献度の高さが決め手になって就職先を決めている就活生が30%に上っていることがわかる。

ところが、これは決して「最近のトレンド」というわけではなく、かれこれ30年以上前から存在している流れであることが、次のデータから見て取れる。

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人はみな、程度の差はあれど「社会に役立つ仕事をしたい!」と思っているのだ。社会貢献性の高い仕事や職場よりも、よりよい待遇や安定性を優先するケースはもちろんあるが、だからといって「社会貢献性の高い仕事はしたくない」という人はいないはずだ。

社会貢献をしたいならば、〇〇を磨こう。

では、実際に社会人として働いている人はどう感じているのか?

「ソーシャルビジネス・社会貢献活動に関するビジネスパーソンの意識調査(2015年)」によれば、半分以上の人が自分の仕事/組織の事業が社会の役に立っていると感じているそうだ。

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これ自体はとても良いことである。

特筆すべき点は、一般の会社員(正規/派遣・契約いずれも)と比較して専門職の方々の社会貢献実感が際立って高い(89.3%)点だ。

専門職はn=28とn数が小さいためあくまで参考値である旨が付記されており、その点を考慮する必要があるが、専門性が高ければ高いほど、貢献実感を得やすいという話は合点がいく。

そういう意味では、仕事を通じて社会に貢献したい、社会貢献性の高い仕事がしたいという人ほど、具体的にどのような形で社会貢献をしたいのか?がまだ明確ではないのであれば、まずは自分の専門性を磨くことに専念してみるのも一つの手かもしれない。

これは完全に余談だが、何を隠そう筆者自身が「社会貢献性の高い仕事」を渇望していた。以下のnoteで綴った通り、家庭環境に大きく起因している。

その後、紆余曲折を経て最終的には公務員ではなく民間就職、その中でもリクルートという会社に入社することを決めているが、その際の決断軸になったのが「力愛不二」という考え方だ。

「力愛不二」についてはかつて力愛不二で考えるキャリアの作り方。という記事で紹介しているが、

少林寺拳法の教えの一つで、「愛なき力は暴力であるが、力なき愛は無力である」という考え方

のことである。

社会貢献をしたいという気持ちが「愛」、そして自分自身の専門性が「力」だとしたときに、本当に社会貢献をしたい気持ちがあるならば、まずは専門性=力を身につけ、無力感に苛まれない自分でありたいーー。

そう思い、あくまで筆者自身の主観であるが、「力」を磨く上で最良の環境だと思えたリクルートに入社することを決めたのだ。

この決断が正解だったのかどうかは正直わからない。

ただ、人生の選択肢に正解なんてない。選んだ道を正解にしていくプロセスが人生という価値基準で生きており、現在もまさにそのプロセス真っ只中ではあるものの、現時点では「大正解」だったと思っている。それくらい、リクルートで働くことを通じて得られた「力」は大きかったし、「力」が身についていくと、自然と社会貢献を実感できるような仕事にチャレンジできる機会が増えていくことも肌で感じることができた。

そうした実体験があるからこそ、「仕事で社会貢献を感じたい」と思う人には、ぜひ「力愛不二」という言葉を、そして「力」を身につける=専門性を磨き続ける選択をしてほしい、と心から思っている。

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