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ウォール街で、謎の大型上場ラッシュ。Levi's, Lyft, …その背景は?

 こんにちは!エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。日々の放送業務を通して、世界の資本市場(株・債券・為替・仮想通貨…)をウォッチしています。その中で、一つ気になったことがありました。それは、日米の新規上場ラッシュです。よく市場で言われているのは、株式市場が上昇基調からピークアウトするのでという懸念の時に、駆け込み新規上場が増えるなんて言われます。それについて、Financial Times(日本語翻訳版)でこんな記事を見つけました。

 この上場ラッシュの背景には、米政府閉鎖で企業の多くが上場申請書類を提出できなかったことで巻き戻しがきているのもあるようですが、その他には、22日に米S&P500の大幅安で、上場準備を前倒しにする企業の存在があるようです。しかも、上場準備を進めている米国企業が300社以上あるとのことです。 

 この中には、無事に上場をしたLevi'sはもちろん、明日上場のLyftや著名なユニコーン企業が控えているようです。こうした一過性の動きをみると、上場市場が盛り上がっているように見えます。しかし、実は米国の新規上場企業の数自体は米国では1996年をピークに低下しています。 Doidge, Karolyi, Stulzc(2017)の論文から引用した図です。黒い太字が米国新規上場企業の推移です。

 その背景には、 Doidge, Karolyi, Stulzc(2017)は、テクノロジー企業の増加などから上場でなくM&Aなどにより買収されるのを選ぶ企業の増加、同様にその目的から上場廃止をする企業、コーポレートガバナンス強化で上場コストと上場メリットが見合わないことを挙げています。

 たしかに、周りのデジタル企業の起業家と話をすると、スケールを大きくするために買収されるか買収するかしか先は無いと仰る方は少なくない印象です。実際、米国での上場企業は超巨大企業ばかりで、日本のそれとは違います。

 日本でも東証の市場制度改革によって、小型新規上場でなく大型新規上場ありきのマーケットになっていくのか…注目したい動向です。


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 崔真淑(さいますみ)

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