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まだ副業兼業を解禁していない会社さんへ

 副業兼業については、そこかしこで「とにかくガンガン進めよう」という話をしている。note(comemo)でもつい数ヶ月前も書いた。

 別にしたくない人はしなければいいし、僕は全て僕が行うひとつの仕事、つまり「本業」で、そもそも兼業している感覚もない。そういうケースもあるだろう。まあ事情は人それぞれだ。その前提で。

 先日、三井物産さんの副業解禁のニュースを見た。

 まあ、今時「副業解禁」が記事になること自体がおかしいだろ!ということはさておき、素晴らしい流れなので採り上げさせていただく。

 この記事によれば、「ユーチューバー、大学講師、スタートアップなどの」と前置きがあり、記事タイトルは「YouTuberなど副業認める」となっている。

 そもそも、YouTuberになることを禁じていた、というのはどういうことだろう。あれこれ語って会社のレピュテーションを落とすと困る、ということだろうか。それはYouTubeだけでなく、twitterもFacebookもnoteもみんな同じだ。

 そういえば、副業兼業以外に、「SNS禁止」という会社もあるような。会社が懸念していることは理解はできないこともないが、それって別にSNSだからダメとかいう話ではないし、あまりに社員のことを信じていないでしょう。社員は牢屋の中に閉じ込めて何も語るな、と言っているように思える。

 次に、大学講師になることを禁じていた、というのはどういうことだろう?会社の秘密を表に出されると困る、ということだろうか。それは大学講師だけでなく、およそ人前で喋る仕事はみんな同じだ。

 スタートアップはどうか。楽しくなりすぎて、そのスタートアップに転職したくなるのを避けたいのだろうか。それで外の世界を見せない、とはどういうことだろうか。これも社員は牢屋の中に閉じ込めて何も外の世界を見るな、と言っているように思える。

 もちろん、本業も副業も忙しすぎて、身体を壊すようなことがあってはいけないだろう。それはそうだ。では、社員がゴルフをやるのは禁じているか?テニスをやるのは禁じているか?それと何が違うだろうか?

 「本業に集中していれば副業をやる時間などない」とそれっぽい意見を言う人がいる。しかしそういう人は、ゴルフはやらないのだろうか?音楽は聞かないのだろうか。旅行には行かないのだろうか。「本業に集中していれば、、、」と言う方は、仕事以外のことは一切せず、飯食って風呂入って寝るんだろうか。ではゴルフと何が違うのだろうか?

 一方で外の世界を見ることで得られるもの、学びは極めて大きい。YouTubeではそもそもコンテンツ制作、集客等マーケティング力がつくし、そもそも内容を抽象化してまとめるから賢くなる。僕もVoicyを始めて2年経つが、めちゃくちゃ自分が賢くなっているのを実感する。

 大学講師もそうだ。人に何かを伝えつつ、相手の学びに繋げるための仕掛けを考え、実行していくことは圧倒的なコミュニケーション力の強化につながる。マネジメントに役立つ。

 スタートアップでの兼業は、自分のスキルアップそのものに役立つ。大企業では、事業の端から端までを一気通貫で見ることができない。いくら異動で色々経験したところで限度がある。上位レイヤーになった時にパーツでの経験しかないと、少なくとも経営をしていくことは難しい。しかしそれが学べるのだ。

 おそらく、公序良俗に反しない仕事であれば、全てが仕事のスキルアップに役立つ。人事部が主催する研修より、現場経験は学べるはずだ。かつ、副業兼業で、社員が自分で稼ぐ力を身につけるわけだ。最高だろう。

 問題があるとすれば、そこで味をしめて会社を辞めていくことくらいだろうが、それを避けるために副業兼業を禁止する、というのは本末転倒も甚だしい。そういう外の世界に触れて、やっぱり自社はいいな、と思ってもらう会社にすべきなのである。

 会社が従業員を縛り付けておく時代はとっくに終了している。社員一人ひとりを信じ、自分の人生に目覚めてもらい、自分で稼いでいってもらいモチベーション高く仕事をする社員に溢れる。会社にとってこんな最高な仕組みはないだろうと僕は確信している。これが、日本人の自律性を取り戻し、この国が再び立ち上がるための不可欠な手段であると考える。

 だから僕は、壊れたレコードプレイヤーのように、同じことでもしつこくしつこく言い続ける。

 副業兼業を、どんどん進めていこう。

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