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新幹線が創意工夫の舞台に。

少し以前から、新幹線でもリモート会議ができるようになった。速度の速いwifiが時間無制限で使え、声を出してもよい専用車両ができたのだ。これなら移動中でも会議が問題なく成立する。これまでは電話が掛かってきたらデッキに行って話すのが常識だったので、この車両に初めて出会ったとき、とても驚いた。専用車両は7号車だ。リモート会議を気兼ねなくできるだけでなく、乗り降りの利便性も高いので、いまは特段会議の予定が無くてもこの専用車両を愛用している。

東海道新幹線以外はあまり乗ることがないのだが、少し調べてみると、新幹線のオフィス化は、様々な取り組みが進んでいる。例えば機器の貸し出しだ。覗き見を防止する眼鏡型の「スマートグラス」や小さな声でも会議ができる「骨伝導方式のヘッドセット」だ。覗き見防止では、折り畳み式の間仕切りという簡易な方式も試されている。利用の仕組みにも工夫がある。専用車両の指定席を予約して利用する方式と、他の車両の指定席券を持っている人が専用車両の空席を自由に利用できる方式があるが、リモート会議終了後は眠りたい場合は、断然後者だと思う。

更なるオフィス化の試験導入も始まった。打ち合わせやオンライン会議ができる個室「ビジネスブース」を設置するというものだ。どうやら7、8号車を連結するデッキ部にあった喫煙スペースを改装したようだ。1グループ2人までの利用で、1回あたり30分という設定だが、乗車後にQRコードで予約できる。大きな机に思い切り資料を広げられる。車窓からの景色を眺めながら会議をしたらどんな感覚なのか、早く試してみたいと思う。

新幹線の創意工夫は、オフィス化にとどまらない。企業向け「ワーケーションパス」なるものも発売した。新幹線とホテルの宿泊がセットになった商品で、行き先は仙台、軽井沢、那須の3か所だ。往復の新幹線100回分と30泊分の宿泊、駅などのテレワーク用ブースの利用券が含まれるという。値段は、軽井沢と那須が100万円、仙台が200万円と、安価な設定だ。企業の働き方改革の手段として面白い商品として成立するのではないかと感じている。

航空会社で人気のあるサービスが新幹線にもやってきた。「どこかにビューーン!」だ。東京駅から150km以上離れた47の駅のいずれかへの往復旅行ができる。行く先を決める方法にも工夫がある。まずJRが4か所分の駅名を書いた候補リストを複数提示して、利用者がその中から好きなリストを選ぶと、4駅の中からランダムに1か所行き先がきまるというものだ。好みも聞いてくれるところがワクワク度を増す。飛行機のマイルと同様に、JRのポイントを使って申し込む。12月のサービス開始が待ち遠しい人がたくさんいるに違いない。

この他に、新幹線の1両を希望者に貸し出す企画も存在する。上越新幹線の開業40周年を記念する取り組みだ。企画の名称は「ゆめときプロジェクト」。車両を使ってかなえたい夢を募集するという。様々なアイディアが集まってくると思うが、利用者の「夢を叶える」にとどまらず、JRの新たなサービスにつながるヒントが得られる機会となるかもしれない。

最後にもう一つ。「ペットと一緒に新幹線」という実証実験の取り組みだ。犬や猫を同伴できるレジャー施設が増加する中、ペットを連れた移動需要の高まりに答えるものだ。車内でケージから出て膝の上に座る犬の姿はなんとも微笑ましい。今回の実験では、空気清浄機、ケージから出た際の空気の汚染度の計測に始まり、走行後には獣医師の監修のもと、特別な清掃を実施したという。しっかりと科学的にファクトを押さえながら実施への道筋を模索しているようだ。

以前、世の中では、決められたことを、ミスをせず高品質でやり遂げることに注力していたような気がする。「できないとマイナス評価となる世界」だ。気持ちが追い込まれてしまうことのある世界だ。でも、コロナ禍を経て、いまは新たな価値を生み出そうという挑戦がたくさん行われている。「プラスを作り出す世界」だ。車内ではリモート会議などしてはいけない。ペットはケージの中が当たり前。慣れたルールなどいつでも見直せることに気づいた。

新幹線で次々に始まっている新たな挑戦。自分の身の回りでもやれるはずだ。世の中に「プラスを作り出す世界」、「創意工夫に満ちた世界」を充満させること。これが、これからの日本に一番必要なことだ。さあ、いまこそ、みんなで日本を変えていこう^^

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