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就活シーズンですね。今日はゼネコンについて解説します。


(1)スーパーゼネコンとは何か?

ゼネラルコントラクター、いわゆるゼネコンとは「総合建設業」と訳される、建設業界の中でも非常に大規模な事業領域を持つ企業です。

不動産会社や政府などの発注者がまず依頼をし、その依頼を請け負って企画の提案や設計などを行っているのがゼネコンなんです。

大きく分けて橋やトンネルなどの土木事業と、ビルや住宅などの建築事業の2つが主力事業です。

ゼネコンは土木建築現場における総合的な企画や指導、調整を担当する「一式工事」の事業者ですが、建設現場では一式工事電気工事や水道工事、鉄筋、塗装など、なんと26もの「専門工事」が存在します。

元請けであるゼネコンが初めに事業を請け負って総合的な面を調整して、その部分部分を専門工事業者、いわゆる下請けのサブコンへと発注し、それらを大工などの職人が担当しているというのが、工事現場の全体的な構造です。

このゼネコンのトップ5社に君臨している大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店のことが、通称「スーパーゼネコン」と呼ばれています。

総合商社のときに解説したように、この5社もそれぞれの特色が異なります。

大成建設であれば都市開発事業に強く、全国の再開発事業の約20%を担当しています。
竹中工務店は売上高の9割近くを建築事業が占めていて、一級建築士の在籍数は業界トップクラスといえます。


ここまで聞くとゼネコンの影響力の大きさが非常に魅力的に聞こえるかもしれませんが、その割には皆さん何となく「建設業界=ブラック」的な話を聞いたことありませんか?

実はゼネコンを含めて建設業界は、かなり苦境に立たされているといっても過言ではなく、それゆえ就職してはいけない理由が多発しているんです。


その理由のいくつかを今回は紹介していきたいと思います。


(2)短すぎても工期は絶対

ゼネコンは依頼主であるクライアントの要望にしたがって、受注金額や納期を決めます。

その取引の中で競合他社との差別化を図るために、クライアントにとってよりよい条件を提示しています。

ゼネコン側にとっても、ここで契約が取れないことには、そもそも売上が発生しないため、何としても契約を勝ち取る必要があります。

そうなると、より安い金額かつ短い工期で受注せざるを得なくなり、結果的に最低限の工期になってしまいます。

現在現場における作業の機械化や効率化が進んだことで、工期はさらに短くなり、今後さらなる工期の短縮化が見込まれます。

もちろん工期が延長となれば、それの分の経費が積み重なることで利益分が減り、クライアントの信用を失ってしまうことで次回の受注も難しくなってしまうため、たとえ工期が短くてもなんとしても間に合わせるという必要があります。

ここで皆さんが気になってると思われる点が、ゼネコンのような大企業なら、工期が短ければ依頼を断ることもできるのではないか、ということです。

結論から言うと、現在の建設業の実態を考えるとこれは難しいと思います。

その理由は、不景気によって建設業界が持っていた力が、非常に弱まっていることが挙げられます。

1980年代のバブル期は土地の値段が上がり続けていたため、不動産業界、ひいては建設業界にとっては絶好調の時期で、この頃に先ほど挙げたスーパーゼネコン各社も大きく業績を伸ばしています。

しかしバブルが崩壊したことで、土地の値段が急激に下がってしまったことで、建設業への需要が減り、受注単価も下がっていったんです。

その結果ゼネコンは仕事を選んでいるほどの余裕が無くなり、各社で取り合うという状況が長年続いています。

バブル崩壊以降でも、リーマンショックのときにも地価が下がったことで、建設業界はさらなる苦境に陥りますが、近年はオリンピック特需によって都心の地価が急激に上がり、各自治体で2020年に向けた公共事業も盛んになったことで、回復傾向にありました。

しかしそんな中での、今回の新型コロナウイルスの影響が非常に深刻です。これについては後ほど解説したいと思います。

(3)ライバル企業が多すぎる

実は建設業界は、数ある業界の中でも、最も企業同士の競争が激しい業界であると言えます。

その理由の1つが、企業数の多さです。

2019年時点で、日本全国の企業数は全ての業種を合わせて、およそ421万社ありました。

実はその中で建設業に関わる企業は、何と46万社もあるんです。
つまり、日本の企業の10%以上は、建設業の企業なんです。
この数字だけでも、この業界における競争の激しさが伝わってくると思います。

これだけの企業の中から契約を勝ち取るため、先ほど言ったような工期の短さが発生しているのもうなずけます。

また公共事業に絞ると、政府の建設投資額が2012年には16兆円だったのが、2013年にオリンピック開催が決まってから上昇したものの、ここ3,4年は20兆円付近で推移していて、2018年度は2.6%のマイナスです。

これまで2020年のオリンピックにスポットを当てて、2020年に合わせて高速道路や再開発事業など、様々な公共事業を進めるために投資してきたものが、オリンピックが終わることでこの流れが一旦は終わります。

その中で事業を取っていかなければいけないゼネコンにとっては、今後さらに競争が激化していくことが予想されます。

(4)若手ほど人材不足で激務

最後のポイントが、高齢化と若手の人材不足という最大の問題点があります。

先ほども説明したように、バブル期は建設業界は絶好調だったわけです。そのため人手も非常に多く必要となり、1980年代に建設業界はとにかく新卒を採用しまくったんですね。

現在のゼネコンにおける様々なポストは、この頃に入社した世代の社員が担っているわけです。

しかしバブル崩壊後の不景気によって、建設業界は以前ほど新卒を採用できなくなってしまいました。
その結果バブル期の社員は残る一方で、若手が入ってこないことによって、業界全体で高齢化と若手不足が深刻化しています。

少子高齢化も合わさったことで、現在建設業界における就業者は、20年前と比べておよそ200万人も減少し、平均年齢は全産業の中でもトップクラスに高いです。

20代以下に至っては全体の1割程度しかいません。

この結果、必然的に若手が請け負う仕事量が多くなってしまい、結果的に休日返上で業務をこなさなければならない激務環境を作り出してしまっています。

現在建設業界はこの状況を改善するために、フレックス制や産休・育休などの待遇改善を進めていて、ここをどれだけ改善できるかが、今後業界として生き残っていけるかの鍵になるのは間違いありません。

(5)コロナでどうなる建設業界

最後に今建設業界がコロナによってどんな状況になっているのかについて話していきたいと思います。

2020年3月期は、スーパーゼネコンはかなり好調でした。
大成建設が増収増益、大林組は過去最高の売上高で、鹿島建設も18年ぶりに売上高が2兆円を超えました。

しかし、この決算は新型コロナウイルスの影響をほとんど含んでいません。

実際に4月から6月にかけての2021年の第一四半期では、大林組、清水建設、大成建設は減収減益だったんです。

日本以上に海外での長期にわたる工事の中断や、受注高の減少によって、大きく影響を受けています。

また今後予想される問題として、今まで想定していた以上に公共事業への投資額が減少することが考えられます。

オリンピック後に、3,4年かけて建設投資が回復していくことが予想されていましたが、今回の新型コロナウイルスの対応によって、政府や地方自治体は、感染防止対策や休業手当に大きな金額を払うことになりました。

その結果来年以降の財政が非常に厳しくなり、公共事業を減らさざるを得なくなることが予想されます。

これは民間事業も同様で、特に不景気によって住宅購入などを割ける人が増えると考えられ、この先の数年間で大きな打撃になると考えられます。

一方でこのような苦境のときに、事業を多角化させてリスクを分散させている企業は非常に強く、今後も生き残っていけるとめがねシャチョウは考えています。

実際にエネルギーなどの新領域事業を拡大している大林組は、減収こそしたものの利益はキープさせていて、ロボットや建設機械などのテクノロジー事業を拡大させている鹿島建設は、この苦境の中増収増益を達成しています。

スーパーゼネコンの中でも、このような戦略の違いで今後どのように業界分布が変わっていくかに注目していきたいと思います。

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