見出し画像

日本より海外でヒットするアニメ映画、「ヒロアカ」「夏目友人帳」

米国で映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が、大きなヒットになっています。2月26日に全米公開され、現在は昨今の社会的状況で上映が途切れましたが、3月第2週目までで興行収入は約15億円でした。日本国内の興行収入17.6億円に迫る規模です。
北米の映画チケットの平均価格は約1000円で、日本の1340円の7割程度。この数値を当て嵌めると『ヒーローズ:ライジング』の北米観客は150万人、日本の133万人を越えます。日本より北米のほうが観客数が多かった可能性があります。ひょっとすると、観客動員のベースとなるファンの数自体も北米が日本を逆転しているかもしれません。

アニメは日本固有の表現とされることが多いのですが、知らない間に日本以上に海外で受け入れられるケースが現れています。
国内外の逆転現象は、米国だけにとどまりません。『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』のケースです。2018年9月29日に公開された本作は国内では約8億円のスマッシュヒットになりましたが、2019年3月7日に公開された中国の興行収入は18億円。日本の倍以上です。北米と同様、中国の映画チケット価格も日本より低いことを考えると、動員数での日中の差はさらに広がります。

昨年、僕は福岡で「中国のコンテンツ企業に聞く 中国のアニメ・コンテンツ市場最前線」というパネルトークに登壇しました。その時に中国の映画関係者が、「数年内に、日本より中国で稼ぐ日本アニメ映画が現れる」と話したのを記憶しています。数年以内どころか、わずか1年でそうした作品が登場しました。
しかも中国だけでなく、日本アニメの劇場公開のハードルが高いとされてきた北米でも同じことが起きているのです。さらに世界に目を移すと2018年の『ドラゴンボール超 ブロリー』の世界興収は105億円。日本市場のシェアは3割に過ぎません。残り7割は北米、ラテンアメリカ、アジア、ヨーロッパです。

これまで日本アニメの人気は、一般の人から目に見えない部分が大きいとされてました。インターネット配信や、ネットのコミュニティサイト、ファンだけが集まるアニメコンベンションなどです。興味のない人は存在に気づかないわけです。
一方でテレビ放送は少なく、量販店や玩具ショップでもキャラクターグッズが多いわけでありません。映画館の公開も欧米・アジアと、ほとんどありませんでした。それがいまやメインストリームに躍りでつつあります。
映画館だけでなく関連商品でも同様の現象が広がります。バンダイによれば、「ガンプラ」の売上に占める海外向け比率は拡大傾向で現在は3割、さらにインバウンドでの購入も含めると半分ほどに達するとのことです。近い将来、ここでも国内外逆転が起きそうです。

海外のマーケットが大きくなると、日本側の対応も問われそうです。「アニメは海外で人気が高いけれど、ビジネス面では国内が大きい」。これが長い間、日本企業が海外市場にあまり目を向けない理由とされてきました。
しかし国内より海外からの収入が多いなら、すでに海外市場を強く意識しだした日本企業は、さらに海外シフトを強めるかもしれません。国内外同時リリースは今でもトレンドですが、製作発表やイベントなどで海外を先行することも増えるかもしれません。ビジネスの組み方、あるいは制作体制すら今後変わってくるかもしれないでしょう。映画興行の逆転現象はそんなことまで考えさせます。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

ありがとうございます!大感謝です!
52
ジャーナリスト。アニメーションを中心にエンタテイメント産業について、見て、聴いて、そして伝えています!