竹島水族館

古くて小さな水族館を顧客志向化した話

来場者は右肩下がりで、赤字が増え続け、廃館寸前だった愛知県蒲郡市にある小さな水族館が、現在は愛知県内有数の人気スポットになっています。

廃館寸前の小さな水族館が一転大盛況 若手館長の捨て身の挑戦

これは、古くて小さな水族館の若手館長が奮闘し、大成功させた物語です。顧客志向で組織を変革し、成果を上げるポイントの詰まった学びの多い良例でした。

お客さまに喜んでもらう、という視点から始める

水族館で働く方の大半は、生き物が大好きで、飼育すること自体が目的になっており、もともとお客さまに楽しんでもらうという視点は、あまりなかったそうです。

そして、魚に対する専門家と一般の来場者では、知識や視点が全く異なるため、どうすればお客さまに喜んでもらえるのか、なかなかわかりませんでした。

そこで、館長は水槽の前で繰り広げられた「わぁー、気持ち悪い魚。これって食べられるの?」という会話をそっと聞いて、この場で何が求められているのかを理解しながら、手探りで情報提供を開始しました。

お客さまを適切に理解しなければ、お客さまに喜んでもらうことはできません。館長は、自分とは異なる人たちの見解を知るために、観察と傾聴という適切な手法を実践しました。

一番になれる価値、を提供する

「古い」「小さい」「金がない」という3重苦を背負った水族館であっても、自分たちにしかできない価値を、しっかり見い出しています。

この水族館の周辺の漁港では、深海魚漁が盛んです。少ない予算の中でも、漁師さんたちの協力を得ながら、他の水族館では出せない、深海生物が豊富なタッチプールを実現しました。

自分たちが一番になれる価値を、明確に確立することで、一過性ではない人気施設へと成長させることができています。

危機感とリーダーシップ、そして包摂

この事例では、旧態依然とした組織に対して顧客志向の変革を成功させられたのは、組織の継続性に対して危機感のある本気のリーダーが存在し、足を引っ張る人が少ない環境であったことが、活動の前提になっていることがわかります。

抵抗勢力が、自然と組織を離れていくことで環境が整備されていきましたが、一般的な日本の組織では、人の離脱を前提にはしづらいため、反対している人をも巻き込む努力が、別途必要になってくることを意識しなければなりません。

組織全体で、お客さまに喜んでもらうことを目指し、お客さまを理解しながら、自分たちの強みを意識して、明確な価値を提供していけば、必ずや成果が実現されることでしょう。

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