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好きなことを仕事にしたら幸せ?好きな人と結婚したら幸せ?

「好きなことを仕事にしよう」というムーブメントが一時もてはやされた時期がありましたね。今でもそうなのかもしれませんが。

「好きなことを仕事にする」は、一見幸せそうに思えますが、本当にそうでしょうか?

そんな中、それを真っ向から打ち消すような「好きなことを仕事にしない方が幸福度だけではなく、年収も継続率も高い」という記事を見つけました。

概ねこの記事には賛同します。

そもそも好きな仕事なんて20代前半そこそこでわかるわけもないし、ましてや自分が活躍できる「合っている仕事」なんてわからないものです。好きばかりを追いかけていると、この「自分に合っている仕事」というものを見逃してしまう場合があります。

そして、こと仕事に関して言えば、「自分に合っている好きな仕事をしている」人というのは実にマレな存在で、大抵の人は、「好きじゃないけど、生活や家族や自己の趣味のためにお金を稼ぐ手段として仕事をしている」人が多いんじゃないかと思います。

ただ、「好きじゃない(と本人が思っている)仕事」でもやり出したら自分に向いているな~、会っているな~、自然と成果出しているな~、という経験をした人もいるでしょう。

例えば、他者とコミュ力がないという人でも職人的に持ち場を与えられて、黙々と製品製造などに向き合う仕事なら没頭できたりしますよね。

この「合っている」という中には、人間関係も含みます。逆に言えば、ものすごく「好きな仕事」でも、人間関係的にぎくしゃくした環境や嫌いな人達の中で仕事をさせられていたら苦痛じゃないですか。

「自分に合っている仕事」って大事なんですよ。「好き」とか「嫌い」なんて尺度よりよっぽど大事です。

図式化するとこんな感じです。

好きな仕事

勿論、①が一番いいのかもしれませんが、大抵は②を見つけられれば多分その人は幸せだし、結果として稼げるでしょう。④は論外としても、案外③にいる人も多い。ここは、「やりがい搾取」をされ、低賃金で長時間労働などブラック企業にいいように使われる場合もあります。ご注意ください。

目指すべきは、②→①というベクトルになること。最初は好きじゃなかった仕事でも、そこに自己の役割を見出すとそれが好きになったりします。

反対に、③→④は悲惨です。好きだった仕事が、見るのも聞くのも嫌になってしまうわけですから。

大事な視点は、決して下→上(合っていない→合っている)へのベクトルは存在しないという現実を知ることです。自分に合っていない仕事が、経験や慣れによって多少改善されることはあるでしょうが、合ってないものに無理やり合わせようとすればするほど、そこには心理的ストレスが代償として支払われます。合ってないものは合わないのです。

唯一あるのは人間関係が合っていない場合、大きな会社なら異動して人間関係をリセットするだけで随分違います。もし人間関係が合っていないことを我慢している人がいるなら、遠慮なく上司(その上司がガンならそらにその上の上司)や人事の一番偉い人に直接訴えてください。万が一、それで何もしてくれないクズ会社ならさっさと見切りをつけた方が、身の為です。


これは、仕事を結婚と置き換えても同じです。


大好きな相手と結婚したからといって幸せになるとは限りません。

当初、そんなに好きってほどでもない相手との結婚の方が長続きするのは、お見合い結婚の離婚率が低いことからも明らか。これはデータとして明らかで、戦後恋愛結婚比率が高まれば高まるほど離婚率も増えています。要するに、好きな人と結婚した方が離婚する確率は高いんです。

恋愛結婚と離婚の関係

好きになるのに努力は不要ですが、好きであり続けるにはとてつもない努力が必要です。ずっと好きが勝手に継続するなんてのは幻想にすぎません。

好きという100点満点からスタートすればするほど、減点方式で相手を見ようとしてしまいます。減点方式ではいつか必ずだれでも0点になります。

そもそも、好きという感情は刹那的であるがゆえに、自分ではどうしようもないほど心が動くものなんです。恋愛が燃え上がるのは、言い方変えれば、継続性がなく「いつか失ってしまうもの」と心の底で思っているからこそです。

身も蓋もないですが、どんなに好きな相手でも所詮、いつかは好きではなくなります。年も取れば、嫌いな部分も目に付くようになります。

好き嫌いの感情だけに支配されると、結局仕事も結婚も不幸になりがちなのです。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。