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恋愛結婚にこだわると未婚と離婚が激増するメカニズム【データ05】

ついさっき、本日のテレビ番組「林先生が驚く初耳学! 」において、僕が分析したデータ「恋愛結婚が増えると、未婚率と離婚率があがる」についてご紹介いただきました。僕は、芸能人ではなく、研究家ですから、本人の出演より自分の論説が名前付きで紹介されることの方がむしろ誉れです。ありがとうございます。

テレビをご覧になっていない方のために、今回はそのあたりのデータをご紹介します。 

もともと、日本人はお見合い結婚が主流でした。戦前の1935年時点でも結婚の約7割がお見合い結婚です。しかし、お見合い結婚と恋愛結婚の比率の推移をあらわしたグラフを見るとお見合いの衰退は顕著です。

© 荒川和久

今ではお見合い結婚率はたったの5%程度しかありません。しかもこれは結婚相談所きっかけ(約2%)を含みますので、伝統的なお見合い結婚はたった3%程度しか存在しないことになります。そのかわり恋愛結婚が9割になっています。

現代の日本人の結婚のほとんどは恋愛結婚なのです。

では、なぜ恋愛結婚が増えているのに未婚率があがっているんでしょう?

正確に言えば、お見合い結婚が減ったからこそ生涯未婚率が上昇したと言えるのです。

恋愛結婚がお見合い結婚を上回る分岐となったのは1960年代後半でした。生涯未婚率が上昇し始めたのは1990年代以降です。それよりも30年以上も前に衰退したのであれば、お見合い結婚減は未婚化には無関係だと思いますか?

そうではありません。1965年に25歳だった適齢期の男性が、生涯未婚の判断基準となる50歳になった時が1990年です。つまり、お見合い結婚比率が恋愛結婚比率を下回った第1世代は、そのまま生涯未婚率上昇の第1世代となったと言えるのです。別の言い方をすると、お見合い結婚が隆盛であったならば結婚していたであろう人たちが結婚できなくなった=生涯未婚率が増えたといっても言い過ぎではないのです。

さらに、恋愛結婚が増えると離婚も増えます。

恋愛結婚比率と特殊離婚率(離婚数を婚姻数で割ったもの)とを同じグラフで見てみましょう。

© 荒川和久

上昇推移はほぼ同じ。恋愛結婚比率と特殊離婚率の相関係数を算定すると、0.874(p値0.01以下)です。かなり高い相関があると言えます。

恋愛結婚、つまり恋愛を自由にすればするほど、日本人は結婚できなくなるし、結婚しても離婚するようになるのです。そう数字は物語っています。

ほとんどがお見合い結婚時代に離婚が少なかったのは、ある意味結婚が家と家との結びつきであり、生活共同体の構築だったからです。そこには恋だの愛だのという感情が入り込む余地は少なく、だからこそ子育てを介しての家族の絆が生まれたとも言えます。

もちろん、強い相関があるからといって、「恋愛結婚すると離婚する」とまで言えませんし、そこに因果があるとまでは言い切れませんが、無視できない事実であることは確かです。

自由というものは、不自由な中にあってこそ価値を感じられるものであり、まったくの自由を与えられると人間は不自由を感じるものです。自由というものは、能動的に行動する者だけがその恩恵にあずかれるものでもあるからです。

かつてCOMEMOで「男女とも恋愛に能動的なのはいつの時代も3割しかいない」という記事を書きました。

https://comemo.io/entries/5975

つまり、恋愛が自由市場になればなるほど、この恋愛強者の3割以外の人たちは「そもそも結婚すらできない」可能性が増えるわけです。能動的な男性3割が受動的な女性3割とくっついて、逆に能動的な女性が受動的な男性全員とくっついたとしても、男女とも3割以上が余る計算です。つまり、これは2035年予測されている男性の生涯未婚率3割とも合致します。そういう計算からしても妥当なものなんです。

だからといって「恋愛なんか自由にさせるな」とは言いません。しかし、自由にさせたところで、それを謳歌できるのは男女とも恋愛強者の3割のマイノリティしかいない、という事実をみなさんはもっとちゃんと知っておくべきだと思います。自由な恋愛にしていたら、どうしたって3割は絶対結婚なんかできない。結婚したところで、そのうちの3割は結局離婚してしまう。

厳しいかな、それが現実なのです。

「気合が足りない」「相手への思いやりが足りない」とかそういう精神論の問題ではないのです。男も女も受け身。それが我々日本人の根っからの気質であり、古事記の時代から変わらないものなんです。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。