見出し画像

駆け込み反動でGDP6.3%減、そんなことある?

過去の話だとしても、落ち込み幅が大きすぎやしないか。多くの市場関係者は、おそらくそう感じたのでしょう。19年10-12月期のGDP(1次速報)が公表された2月17日の日経平均株価は、軟調に推移しました。実質年率マイナス6.3%という、事前の市場予想を大きく超える落ち込みを、駆け込み需要の反動減だけで説明することは難しく、政府の消費増税対策の有効性そのものに疑念を抱かせるような結果でした。

もっとも私自身は、政府の消費増税対策が全然効かなかったわけではなく、むしろ消費増税の前から景気の地合いが悪かったせいではないか、という見方をしています。その理由は前回の本欄で言及しました。

今回のGDPにしても、19年10-12月期の実質GDPの前年同期比がマイナス0.4%となっており、前回の消費増税直後である14年4-6月期の前年同期比マイナス0.1%を下回っています。すなわち、過去1年間のトレンド成長率に、増税前の駆け込み需要とその反動減を加味した「GDPの方向性」は下向き(マイナス)であり、かつ前回の増税局面よりも、GDPの下向き度合いが大きいことになります。

もし今回、政府の経済対策が奏功して、駆け込み需要とその反動減が前回よりも抑制されたのであれば、日本経済の地合いがもともと相当弱かった、ということになります。その場合、果たして消費増税の実施は正解だったのか?という政府の判断能力に疑問符が付く事態を招きかねません。

政府の増税対策が効かなかったにせよ、政府の増税判断が甘かったにせよ、政府に対するマーケットの不信感が高まってしまうと、今後、マーケットが株安・円高などの混乱に陥った場合に、政府の市場介入に対するマーケットの反応が鈍くなり、将来の景気後退が過度に増幅されるリスクがあります。

その意味でも、政府は現在直面している公衆衛生上の問題などに適切に対応し、間違っても今夏の東京五輪の開催が危ぶまれるような事態を招かないことが、政府に対するマーケットの信頼維持に不可欠だと思います。個人的には、ハマの番長ならぬ雪の番長・望海風斗氏が、我が地元を代表して、東京五輪の聖火を掲げて走る姿を観たいので、何卒よろしくお願い申し上げます。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

お読みいただき有難うございました。 小難しい経済ニュースをより身近に感じて頂けるよう、これからも投稿してまいります。 毎週火曜日の朝に、記事を投稿しております。

ありがとうございます!
26
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所シニアエコノミスト。日本経済の分析・予測を担当しています。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。