「バーチャルな密」を創る
本日の日経の一面に、我々のリモートワークの取り組みが紹介されました。
我々のアプリ("Happiness Planet")を使って、日立全社で「バーチャルな密」を高める新たなリモートワーク運動"Remote Work Together"が開始されます。
我々が幸福になるには、「密を創ること」が本能的に必要なのです。「密を創る」のは、我々とサルの共通の祖先の時代からある「毛づくろい」が今も脈々と機能しているものです。「毛づくろい」とその発展系を通して、仲間との関係を確かめ合うことが、社会的な動物であるヒトが幸せになるための必要条件なのです。ヒトがライオンやゾウに能力として勝るところは、この仲間と協力できるところ(とそれを高度に発展させた集団としての知能)だけです。
このリモートワークの制約は、この密を創ることを妨げます。
我々は多様な組織の生産性や幸せや行動データを大量に取得し、幸福で生産的な集団には、5分程度の短い会話の頻度が多いことを確かめました。この短い会話の頻度というのが「密」の大きな要因なのです。
同じオフィスにいて、さらに同じチームで仕事をしていても、週一回の会議の時しか会話しない関係なども多いのが現実です。
これは裏を返せば、確認したい時、質問したい時、いいアイデアを思いついた時、問題に気がついた時、会話をしていないということです。大事なのは、確認したい時、質問したい時、いいアイデアを思いついた時、問題に気がついた時、この時に話ができるかなのです。
このような信頼できる関係があることを経営学では「心理的安全性」があるといい、そのようなチームは、集団としてのIQ、「集合的知能」が高いことが確かめられているのです。
そして、このリモートワーク環境では、意識して努力しないと、職場の心理的安全性は低下しがちなのです。
しかし、工夫次第で、我々は「バーチャルに密」を意識的に創ることができます。
最も重要なのは、このような短い会話が連絡や確認が大事で、それを組織として奨励しているということを全員に知らしめることです。連絡を取る側も、取られる側も、組織全体としての方針として、これを了解している状態にすることです。
上記の"Remote Work Together"は、IT技術を使って、数万人の日立社員全体を、心理的安全性が高く、生産的な状態にする挑戦です。
このような動きを社会に拡げたいと思っています。これにより、このコロナを逆手に、幸せで生産的な社会を創ることができるのではないかと思うのです。