悪いことばかりでもない、フリーランスの個人的メリット
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悪いことばかりでもない、フリーランスの個人的メリット

市原えつこ(メディアアーティスト)

先日、「フリーランスのメンタルの闇」という記事を書いたのですが、予想を越えてたくさんの反響をいただき、多くの自営業者の方から「これはフリーランスのリアル……」というお声を多数いただきました。

とはいえ、そういったしんどい点を加味しても自分はまだフリーランス生活を続けているわけで、、

本当はフリー向いてる人が「フリー大変だな……やめとこ」となると申し訳ないので、ネガティブな面だけじゃなく「なぜフリーランスを続けているのか、どこが良いと思っているのか」ということも一緒に言語化した方がフェアで偏りがないなと思い、何が良くて今の生活を続けているのか書いてみます。

制約が少なく自由度がとにかく高い

自己都合での意思決定に対して誰の承認もいらないのがフリーランスの美点だなと思います。サラリーマンやりながら副業で個人の作家仕事をしていた会社員時代、作家としてチャンスがあったとしても「有給が……」「上司の承認をとらねば……」「同僚への仁義立てが……」など組織への調整と説得が必要で、しかも自分がそういう社内調整が下手なので、チャンスを逃しまくってました(うまく自分がやりたいことがやれるように巧みに社内調整できる才能や政治力がある人はまじですごいし羨ましい、組織人に向いてます)。

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自分みたいに社内調整が下手な人でも、フリーランスとして自分で独立して身を立てている立場ならば「来月、海外で展示できませんか」「この土地に滞在しませんか」「事務所に所属してみませんか」みたいな話がきても、自分がやりたいと思えばどこにも相談せずに「やります!」とさっさと決めてスピーディーに実行することができるので、チャンスの取りっぱぐれが少ないのが最大のメリットです。そしてひとつチャンスをものにするとそこから次なるチャンスが多数広がっていくので、チャンスが濡れ手に粟や〜〜!!という感動が初期の頃はありました。

自分の本当に欲すること/キャリアを素直に取りにいける

会社員の頃、会社の中で思い描けるキャリアパスしか目指すことができないのが今思えばしんどかったです。当時は職業人としてのキャリアを「管理職か、特定のITスキル一点を極めたプロフェッショナルか」という二択でしか選べなかったので、「うーん、正直どっちも自分がなるイメージが湧かないな……」と未来が思い描けず人事面談でいつもモヤモヤしていました。
会社の指標にうまく素養がハマる人は全く問題ないですが、そこから漏れる特性を持っている人にとっては「陸地で活動している魚」みたいな不利な戦いが続いてしまいます🐟

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(キャリアってひとりひとり本当に多様なのに、これぐらい単純化されたり選択肢が狭まったりしている可能性も)

自分もフリーになってからは「ようやく水を得た魚」状態になり、組織の尺度と関係なく自分が目指したいものをストレートに目指せるようになったのは本当に良かったなと思います。
やりたいこと(アーティストとしての活動)に注力した結果、メディアアートの分野で世界最高峰クラスの賞を受賞できたり、様々な企業や行政の方と協業させていただいたりしましたが、少なくとも「余暇の趣味」として遠慮しながら取り組んでたらありえなかったはず。
独立すると自分の可能性の開拓に集中する時期をつくれる(というか開拓できないと死ぬ)ので、本領発揮しづらい環境でずっと働いていたら腐らせていた可能性やポテンシャルを全力で育てることができるのはメリットです。


会社辞めて独立した同期や後輩たちも色々と独自の道で活躍しているのを見るにつけ、「ああ、この人は本当に独立してよかったんだろうな」と微笑んでおります(今やアーティスティックな飲食店を複数経営してお店にたくさんファンがついてる元同期とか、ガジェットブロガーとしてトップクラスの人気になってる後輩とか。色々苦労もしてると思いますが……)。

人生に遅すぎることはないですが、とはいえ「いつか」と思っているうちにプレイヤーとしての旬が過ぎ去ってた……とかになると悲惨なので、やりたいことがあるなら自他にとってそれが旬なうちにやっちゃったほうがいいなと思います(自分もあと数年独立を遅らせてたらかなりチャンスを逃しまくってた気がする)

自己責任だけど、自分自身の責任とリスクで完結する

会社員時代に恐れていたのが「個人としての活動でネットで炎上した時に、会社にまで飛び火したらどうしよう」ということでした。
会社の株価に影響するとか、他の従業員に影響するとかになるともう責任のとりようがないので・・・

フリーランスだともちろん様々なリスクは自分で背負わないといけないのですが、逆に言うと自分で責任さえとる覚悟があればどうにでもなるので、責任の範囲が自分の身の丈を超えずコンパクトなのは気楽です。

ただ、自分で人を雇用する立場になると背負う責任が膨れ上がりますが……。(経営者として人を雇ってる人は本当にすごい、誰かに固定給を払い続けるのは大変なことだと売上が変動する自営業になって実感してます)

様々な面白い人・会社・お仕事にたくさん出会えて飽きない

フリーになっていろんなお仕事を受けられる立場になって驚いたのは「世の中こんな業界があるのか〜!」「へ〜〜こんなお仕事が存在するのか」という世の中の人・会社・仕事の多様さでした。
独立してからどんな仕事ができるのか最初はイメージも湧かなかったのですが、世の中、本当に多様なニーズがあるから、そのニーズに自分がうまくハマることも割とあるんだな、と納得できました。
会社員時代には出会えなかったであろうたくさんの仕事、人、組織の方との出会いがたくさんあって楽しいのも、フリーランスとして働き続けるモチベーションです。

しかしこれも業種によります。会社で働いていた方が出会いがあることもあると思われるので(私は開発職・内勤のデザイナーで固定のチームで仕事してたので、圧倒的に今のほうが面白い出会いが多いけど、営業とかプロデュースとか企画職とかだと仕事を介して人との関わりがむしろ多そう)そこは現在の働き方と対比しながら比較するのが良さそうです。

頑張って働いたら働いただけ収入が増える

会社員時代に納得がいかなかったのが、「たいして仕事してなくても、逆にめちゃくちゃ自分に仕事が集中して死ぬ気で頑張って効率良く終わらせたとしても、給料が一定で変わらない」ことでした。
そして頑張った結果、お飾りのような役職がついても給料の上がり幅は微々たるもので責任と仕事量とストレスだけ増える……みたいながっかり事案もあるある。

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じゃあ仕事はそこそこにしてあんまり頑張らないほうがお得じゃん!と自分の力を出し惜しみする気持ちが働いてしまい、クビにならない程度にほどほどに働き、結果的にヌルっと飼い殺し状態になるサラリーマンも多いのでは……。

フリーが清々しいのは、頑張って働いたらそのぶんだけ稼ぎがストレートに増えることではあります。サラリーマンがある一時期に仕事が集中して通常の3倍働いてもせいぜい残業代が増えるだけで給料は固定ですが、フリーランスだとそのまんま収入が3倍になるので、変な仕事の選び方をしない限り繁忙で血反吐を吐いた後にはウハウハのハイパー入金タイムが待っています(フリーの醍醐味)

ただ、裏を返せば働かないとお金が入ってきませんが……(ロイヤリティとか印税とか不動産とか、うまく不労所得的なキャッシュフローがある人は別)
働き方が労働集約型なので「働かざる者食うべからず」そのまんまで、フリーになった当初は困惑&ビビりました。

それにしても、ホワイト企業サラリーマンの窓際族ってめちゃくちゃ恵まれてるのでは?不労所得では?と思うことはあります。なにもしなくても給料が出るって、なんだその好待遇。現代の貴族か。バブル時代の窓際族に、生まれ変わったら俺はなりたい。

めちゃくちゃレバレッジがきくこともある

世の中いろんなお仕事があるもので、時には棚ボタみたいなギャラのお仕事が来ることもあります。そうなると会社員時代の月給が1〜2日の稼働で稼げる、みたいなことも。
運次第ですが、「こんないいお話があるのか」というラッキーチャンスもあったりするのでやめられないです(ただ、ギャラが高ければそれなりに責任重大だったり大変だったりすることも多いので、無条件にラクな話はないなとは思います……)。

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逆に「こんだけ働いたのに稼ぎはこれだけか……」みたいなケースももちろんあるので、お仕事の選び方は重要です。それでもやりたいと思ったら利害度外視でやることもありますが(短期的にはマイナスでも長期的に大きな仕事を連れてきてくれるプロジェクトとかもあるので)。

節税や資金調達の手段が多い

給与から天引きとかじゃなく自分で税金を払うので(本当は会社員も自分で払ってるんだけど)、税金コンシャスになります。
確定申告は確かにダルいけど、自分の1年間のお金の使い方や税金が可視化されるので、「このままだと来年の税金がヤバいから経費でほしかった機材買っておこう」「節税効果のある金融商品に投資しておこう」とか色々と調整ができます。
サラリーマンのころは給与明細みて「なんか知らないけどいっぱい引かれてるな〜〜」とぼんやり思ってるだけだったのですが、フリーになると「こんなに税金払ってるのか」と顔面蒼白&支払う税金に自覚的になり、節税の工夫をするようになりました。

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経営に関して自身でリスクを負っている人は資金調達の手段が色々あるのもメリットです。
コロナ禍においても様々な公的機関・民間機関から助成金や補助金が出たのですが、個人事業主や自分で会社やっている人は申請すればきっちりもらえました。それも馬鹿にならない額。これはサラリーマン時代にはありえなかったので、選択肢が多いのはありがたいことです。

ストレスがたまりにくい→ストレス解消のための浪費も減る

フリーランスのメンタルの闇がある……というお話を前の記事ではしていましたが、とはいえ会社員時代のストレスとはまた種類が違うなと思います(ぼんやりとした不安はついてまわるけど、さほど強いストレスではないし不安はむしろ原動力にもなる)
嫌いな人からの依頼は受けなければいいし、理不尽なクライアントとはずっと関わる必要はないし、ソリの合わない同僚もいない。

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フリーは関係性が刹那的なぶん人間関係はあっさりしていて、「あ〜〜〜ッッ!!!あいつ腹立つわ〜〜!!!」みたいな激しい怒りや、ドロドロした怨みのような強い感情が湧いてくることは少ないので(嫌だと思ったらさっさとサヨナラできる)、日々の感情が比較的サラッとしてます
基本、好きな人としか関わらなくて良いのは精神的なメリットです。ただしそのためには「仕事を選べる」状態にしておくのがすごく重要ですが。

「やりたいことはストレートにやれる」「変な葛藤や板挟みがない」環境なぶん、鬱憤が貯まることが少なく、ストレス解消のために浪費に走ることが減りました。

女性も人生のフェーズに応じて調整がききやすい&職業人生を続けやすい

フリーランスは妊娠出産でキャリアが中断されやすい女性にもおすすめの働き方だと思っており、ワークスタイルを自分の都合で柔軟に組み立てることができるので、女性もキャリアの中断が起きにくいのは大きなメリットです。


なんなら「産後も仕事の仕方を必死に工夫して、逆に収入がアップした」という声を多数聞きます。
ただ、産休や育休というありがたい制度もないのでそこは注意です。


ずっとフリーランスでやるかはおいといて、キャリアの途中でフリーランスを経験してみると、税金に詳しくなるし、自分のやりたいことがハッキリするしおすすめではあります。「新しい体験」をすることが好きで飽きっぽい人には良い働き方だろうなと思います。
「フリーランス、メンタルにくるでぇ」と散々脅した(?)手前恐縮ですが、全然悪い働き方じゃないなと個人的には思っているので、ご興味のある方は前向きにご検討ください。


文:市原えつこ
メディアアーティスト、妄想インベンター。早稲田大学文化構想学部卒業。Yahoo! JAPANでデザイナーとして勤務後、2016年に独立。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と、日本文化に対する独特のデザインから、国内外から招聘され世界中の多様なメディアに取り上げられている。第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞、世界的なメディアアート賞「アルス・エレクトロニカ賞」栄誉賞、EU(ヨーロッパ連合)による科学芸術賞「STARTS PRIZE」ノミネートほか受賞多数。2025大阪・関西万博「日本館基本構想事業」有識者委員。
http://etsuko-ichihara.com/
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市原えつこ(メディアアーティスト)

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市原えつこ(メディアアーティスト)
メディアアーティスト、妄想インベンター。弔いロボや喘ぐ大根、仮想通貨奉納祭など謎の発明品多数💡文化庁メディア芸術祭優秀賞、アルスエレクトロニカ栄誉賞、総務省異能など。 日本経済新聞COMEMOキーオピニオンリーダー http://etsuko-ichihara.com/