「クリエイティブジャンプ」は偶然性から生まれる 文化とデザインを考える投稿2本
偶然性によって引き起こされる「クリエイティブジャンプ」をキーワードに、おすすめの投稿2本をご紹介します。これからのビジネスパーソンに求められる「突き抜けたクリエイティブ」について考えます。
日経COMEMOは、各界リーダーたちのビジネス知見が集まるサイトです。不確実性の時代においては、ノウハウなどの消費して終わる情報よりも、それをきっかけに思考をドライブさせられるような仮説や問いが重要だ! との考えから、わたしたちが「わからない」と思うことに対して、こうじゃないかと思考実験をしているキーオピニオンリーダーたちの投稿をご紹介しています。
■あえて「誤配」を繰り返す
1本目は、広野萌さんの投稿です。学生時代に東浩紀さんの講義を受けていたという広野さんが、東さんの主張する「誤配」という手続きが現在のすべてのビジネスパーソンに参考になるものだと解説しています。ロジカルな思考のみから生まれるものは単調で、誰もが同じ答えに辿り着いてしまう。それを回避し「クリエイティブジャンプ」をするためには、「誤配」が起こる環境に身を置くことが重要だと言っています。
「誤配」とは「手紙が正しい宛先でなく自分の予想だにしない宛先に届く」こと。これがコミュニケーションや言葉に関しても存在しているというのが東浩紀さんの主張です。
広野さんはこれを、自身の専門分野であるデザインの観点から解説しています。
しっかりとコンセプトを立て、考えに考え抜いて実行したにもかかわらず、なぜか他と同じようなものが出来上がってしまう。そのようなことに心当たりがある方は多いはずです。よりよいクリエイティブを生み出すためには、ロジカルな思考で決まった道筋を進むことでは出会えない「偶発性」の中に身を置き、考えを昇華させる必要があるそうなのです。
ビジネスの現場で、上司から「最終的にどこを目指すのか?」「具体的に得られる成果は何なのか?」についての明確な指針や説明を求められることは多いはずです。しかし本当の意味で、今のビジネス現場に求められているのは、あえて「誤配」を繰り返しながらクリエイティブを重ねていくことなのでは? という疑問が、この投稿を読んで湧いてきました。新しいことを生み出す仕事に向き合う考え方について、気づきを与えてくれる内容です。
▼広野萌さんのご紹介
一般社団法人デザインシップ代表理事の広野萌さん。デザインを軸に事業を行う傍ら、法律、医療、自動運転、エンタメなど、幅広い業界の新規事業立ち上げ支援なども行なっています。6月から日経COMEMOに参加し、「デザイナ×ビジネス」という視点で投稿しています。
■その状況を「チャンス」と思えるか?
2本目は、安西洋之さんの投稿です。アフターコロナ時代の議論において「新しい常態」という表現が出回っていますが、これはつまり「文化の変容の必要性を議論している」と言う安西さん。「ミラノデザインウィーク」の変遷を紹介しながら、「デザイン文化」とは何かを解説しています。
文化の発祥の地でもあるイタリアにも活動の拠点がある安西さんが、「デザイン文化」を深く掘り下げているこの投稿は、わたしたちビジネスパーソンに今こそ求められている大切なエッセンスを含んでいるように思います。
それは、「こうあるべき」という思い込みから事前に描いた像や設定した目標に向かって、1つ1つ手順を踏んでも、その先に必ずしも成功が待っているわけではないという点。しかし、「文化」はそういうところから始まるのだそうです。
「0→1」を生み出す仕事が求められる中で、重要なことは「PDCA」をうまく回すことではなく、うまくいかない状況を「チャンス」と捉えられることなのかもしれません。日々、うまくいかないことに対面して悪戦苦闘しているわたしたちにとって、とても勇気をもらえる内容です。
▼安西洋之さんのご紹介
安西洋之さんは現在、ミラノと東京に活動の拠点を置き、デザインや異文化理解などの分野を専門とするビジネスプランナーとして活躍中です。デザインや文化について、歴史を紐解きながら深く読み解く解説は、デザイン思考のベースとなる考え方、哲学が盛り込まれています。
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