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どの文化圏のZ世代をみるか?

11月28日、イタリアの高級ブランドメーカーなどが集まる財団・アルタガンマの年次報告会に出かけてきました。これは米国のベイン・アンド・カンパニーと毎年発表するラグジュアリー市場の報告の場として知れています。ここでスイスの企業で、税還付などのサービスを専門とするグローバル・ブルーの欧州免税市場報告もあったので、まずこの内容で面白いと思った数字を紹介します(ベイン・アンド・カンパニーの報告は次回)。

今年は年平均5%の伸びで、そのなかでも圧倒的な伸びを示しているのがスペインです。仏伊英はプラス5-7%ですが、独だけ-2%。客の国籍は中国34%、湾岸諸国11%、米国8%、ロシア8%、東南アジア’7'%という順序です。

この報告で「エリートショッパー」と定義された人たちは、毎年3回以上の旅行、年間15日以上の外国滞在、年間12回以上免税店で購入を行い、5万5千ユーロ以上(およそ6百6十万円)の出費をするとのデータが出ているのですが、この層は免税購入客数のたった0.5%しかいないのに関わらず、金額ベースで免税市場の17%を占めています。また彼らの行先をみると、仏36%、英31%、伊31%です。市場の伸びが大きいスペインは13%に留まります。

一方、このエリートの国籍をみると、中国39%、ロシア6%、東南アジア15%、湾岸諸国14%、米国6%です。つまり全体での国別割合とエリート購買の割合に傾向として大きな差はないと言えます。

さて年間購入が55,000ユーロ以上と記載しましたが、1回の購入額をみると、1,500-5,000ユーロが45%、5,000ユーロ以上が29%、750-1,500ユーロで13%となります。ここで商品カテゴリーの説明はないですが、値段からすると時計・宝飾・バッグあたりではないか?と想像できます。

ぼくが、かなり唸ったのは、国ごとの年齢別データです。免税市場は顧客データがしっかりと把握できるわけですが、下記はイタリア免税市場2018年10月から2019年9月までの記録です。公表された数字をもとにグラフにしてみました。

米国だけが55歳以上の割合が突出して高いのです。50%です。中国はわずか13%です。それから中国の20-34歳の層の厚さです。東南アジアも今後の経済成長で若年層の増大が見込まれるのですが、今後、免税で高額品を買う人たちがこの年代であるとすると、この市場の風景は大きく変わっていきます。

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あくまでも免税市場であり、ラグジュアリー市場全体を表すものではないことに注意はしないといけないですが、ミレニアル(1980年から1990年代半ばの生まれ)からZ世代(1995年以降の生まれ)への移行とその特徴の差異が盛んに語られるなか、「どこのZ世代を見るか?」は大きなポイントです。通常、先進国でのZ世代の傾向が基調になりますが、上記の数字をみていると「どの文化圏か?」を前提にしない議論は危うくなりそうだ、という印象をもちます。

この点は、次回に紹介するベイン・アンド・カンパニーの報告と関連してきます。というのも、ミレニアル世代の「ITで世界は同じ」というパターンが、Z世代においては「文化的に適切か?」との問いへの重視に変わっていくからです。

写真は@nzai_ken 

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モバイルクルーズ株式会社/De-Tales ltd. ミラノと東京を拠点に活動。分野はデザインや異文化理解。ローカリゼーションマップ主宰。最新著書は『デザインの次に来るもの』、監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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