見出し画像

地方移住に適した高年収職業の特徴と経済効果

日本の人口は、東京圏への一極集中が進む一方で、地方移住に関心を抱いている潜在層は少なくない。内閣府がに行った「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」では、東京以外への移住を予定・検討したいと考えている人の割合は、全体で40.7%、東京在住で関東圏以外の出身者では49.7%と、2人に1人は移住への関心がある。

しかし、移住の実行に踏み切れない最大の要因は、地方では「現在の収入を維持していける仕事が見つからない」という不安である。移住・交流推進機構(JOIN)が2017年に行った「若者の移住」に関する意識調査でも、仕事関連の不安が最も大きいという結果になっている。

【地方への移住を妨げている大きな要因は何ですか (複数選択)】

画像1

■出所:「若者の移住」調査(移住・交流推進機構(JOIN))

地方では働き口が見つからないから移住できない、という思考だが、逆に言えば、都会から地方への移住を成功させるには、まず、地理的な条件で影響を受けにくい、仕事のスキルや収入源を確保することが優先事項である。

そのため、地方移住の実践者には、働く場所に依存しないワークスタイルのIT系フリーランスや専業投資家が多いが、サラリーマンの中でも移住に適した職種というのも存在してる。「薬剤師」はその一つで、全国的にみた求人件数が多く、平均年収は東京よりも地方のほうが高い、という年収格差の逆転現象が起きている。

これは、地方へ行くほど、薬剤師の有資格者が少なく、人手不足が深刻化しているためである。都道府県別にみた薬剤師の平均年収は、東京都が「570万円」であるのに対して、奈良県は「777万円」、静岡県は「684万円」と100~200万円高い相場で求人がされている。

薬剤師の業界は、医療機関での求人に加えて、調剤薬局を全国展開するチェーン企業の求人需要が多いため、人口あたりの薬剤師数が少ない地域ほど、年収相場が競り上げる傾向にある。

【都道府県別 薬剤師年収ランキング(2018年版)】

画像2

■出所:薬キャリ職場ナビ(m3.com)

その他にも、医療系の専門資格者は慢性的な人材不足が続いており、どの地域でも全国同一の賃金相場で働くことができる。医療の現場は、ハードワークが続く職場が多いことから、ワークライフバランスの向上を意識して、地方への移住を実践する人が増えている。

【観光客よりも大きな地方移住者の経済効果】

一方、地方の市町村にとっても、都会からの移住者を受け入れることには経済的なメリットがある。

総務省では、地方移住者1人あたりの年間消費額を約125万円と試算しており、これは外国人旅行者の8人分、国内旅行者(宿泊)の25人分、日帰り旅行者の81人分に相当する直接的な経済効果がある。さらに、移住者が増えることで、地域の業者も経済的に潤う一次波及効果、そこで働く従業員も所得が増えることで消費が拡大する二次波及効果により、トータルでは移住者を1人増やすことで、年間250万円前後の経済効果が見込まれている。

画像3

そのため、各地の自治体は、国の助成金を受けながら、民間の事業者とも連携しつつ、住宅の家賃補助や就職先の斡旋など、移住者の誘致活動を積極的に展開している。ともすると、これらの政策は“地方移住バブル”を引き起こす懸念もあるが、東京圏の生活が厳しさを増す一方で、地方には豊かに暮らすための潜在価値が残されている。

■JNEWS関連記事
地方移住の足掛かりとする「地域おこし協力隊」の活用
海外移住者の新たな副業スタイルとネット就労問題
移住の夢を叶えるリゾート施設のシーズナルジョブ
フリーランスに適した二拠点居住のワークスタイル
大都市から地方へと回帰するエリート人材の異変
新ワークスタイルの事例集副業スモールビジネス事例集

JNEWSはネット草創期の1996年から、海外・国内のビジネス事例を精力的に取材、会員向けレポート(JNEWS LETTER)として配信しています。また、JNEWS会員読者には、副業ビジネスの立ち上げ、独立起業までの相談サポートも行っています。詳細は公式サイトをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?