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「社内起業」に向いている人の特徴と、増やし方


皆さん、こんにちは。
今回は「社内起業」について書かせていただきます。

企業価値が新型コロナ禍で一変した。新常態に適応できない企業は資金確保に走り、減産やコストカットに迫られた。だが、こうした受動的な対応ではアフターコロナに未来はない。
(中略)
「新規事業に挑戦したいが、事業を立ち上げる人材が社内にいなくて困っている」。昨年来、イントレプレナー(社内起業家)不在の相談を受けるようになった。そうした企業には共通点がある。ボードメンバーに新事業立ち上げの経験者がいないので、取締役会で新事業となるとどうも後ろ向きになるのだ。経営のトップマネジメントチームは勘どころが判らず、リスクヘッジの尺度で成否を測り、新規事業の提案を見送ることが多い。起業マインド旺盛な人材は、嫌気がさして社外に出て挑戦する。意欲ある人材を「塩漬け」にして、機会を与えないから人が育たないのである。
2018年に日本でスタートアップに投資された資金総額は4000億円を超える。増加傾向にあるが、米国の14兆円規模と比べ少なくGDP比では先進国の中で最小だ。「世界で一番起業しにくい国」といわれている日本のスタートアップエコシステムの環境は、相変わらず独立起業家にはハードルが高くリスクが大きすぎる。
20年10月30日、財務省から「2019年の日本企業の内部留保が475兆円となり過去最高額を記録した」と発表があった。企業にいながら起業できるイントレプレナーにとって、内部留保をはじめとする経営資源がたっぷりあることの意味は大きい。一方で、イントレプレナーには既存事業の「壁」がそびえたつ。これを乗り越えなければ成功しない。
イントレプレナーは既存事業と新規事業とのビジネスの価値観のせめぎ合いに悩まされる。既存事業の成長を求める経営のトップマネジメントチームの思考回路や判断基準は、そう簡単に変わらない。かつて私が在籍したリクルートでは、インターネットが登場した早い段階から検索ポータルサイトを立ち上げる議論があった。しかし、インターネットでのポータルサイト立ち上げは、リクルートの情報誌事業を危うくするという既存事業の壁により、開発に至らなかった。その後、1998年にグーグルが誕生した。
人間や社会を変えるイノベーティブなビジネスは、誰かが必ず立ち上げる。本業が食われるのではないかと躊躇している時間などない。大手企業の多くは、既存事業との整合や相乗効果を経営の意思決定のストラクチャーにしてきた。垣根のないデジタル社会では、どれだけ柔軟に新事業をアジャイル(素早く)開発できるかが鍵となる。経営のトップマネジメント層がベンチャーキャピタルの構えでイントレプレナーを冷静に見つめ、投資支援することが健全な事業の新陳代謝につながる



変化が激しい時代において、新たな収益の柱となる新規事業の創出が求められていますが、多くの企業では新規事業を担う人材不足に悩まされています。

「社内起業」は、会社の中でも次世代のリーダーが創出されやすい仕組みの一つであるにも関わらず、「社内起業はうまくいかない」という先入観によって、会社側も社員側も足踏みしてしまっているような印象を受けます。

ですが、既存事業の延長線上にある新規事業や、既存事業の周辺領域で新規事業を創出すれば、その成功確率は高まり、イノベーションやシナジーをもたらすことにもつながるのでないでしょうか。


1、新規事業を創出する目的

サイバーエージェントでは、毎年多くの新規事業が生み出され、現在の子会社数は120社程度です。
子会社化していなくても新しいサービスや事業を立ち上げた数もカウントすると、年間50~100程度の新しいビジネスが続々と生まれています。

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これだけ多くの新規事業を創出する目的は以下3つです。

① 自社から新しい事業を創出し業績貢献につなげるため
② 優秀な人材を採用・育成するため
③ 企業精神・企業文化を体現するため

当社が掲げるミッションステートメントという行動指針の中には、
『インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。』
『ただし連動する分野にはどんどん参入していく。』

とあり、インターネット産業に軸足を置きながら、ベンチャースピリットを持ち、どんどん新しい事業に参入していくという企業文化が定着しています。
これは、新規事業の数を増やすことや子会社を設立すること自体が目的なのではなく、早い段階から優秀な社員を抜擢し、「経営経験」を積んでもらうことが一番の人材育成の近道であると考えているからです。

「経営経験」とは具体的には、“自分で意思決定”をすることです。
当社では「決断経験」という言葉をよく使いますが、決断の数が増えれば増えるほど、その経験が蓄積され、自分で下した決断に責任を持ち、何が良くて何が悪かったのかを明確化していくことで、成長を加速させていくことができます。

私自身も社内起業という形で、子会社の代表を2回務めた経験がありますが、自分の意思決定そのものが会社の経営方針になるという、「決断経験」を積むしかない状況に身を置き、プレッシャーや責任感しか感じなかったその時期が、今振り返ると最もつらく、かつ最も成長できたのではないかと思っています。


2、社内起業のメリットデメリット

引用させていただいた記事にも一部記載がありましたが、「社内起業」のメリットデメリットについて簡単にポイントを書いてみます。

■社内起業のメリット
・経営資源やアセットが潤沢にある
・一度会社に入社してベースのビジネススキルを習得できる
・会社設立直後、事業立ち上げに集中できる(親会社のバックオフィスと連携し業務協力を仰げる)
・親会社の資産をフル活用できる(ネームバリュー、人脈、社会的信頼性、保有している販売チャネルなど)
・万が一失敗しても、セカンドチャンスがある(※会社によります)
■社内起業のデメリット
・既存事業伸長と新規事業創出の判断基準が異なり、価値観のせめぎ合いが起こる
・既存事業とのカニバリゼーションが起こるケースがある
・既存事業が優先されるためイノベーションが起こりづらい
・社内調整(社内政治?)が必要
・比較的早い段階で会社存続のジャッジをされる(長い期間赤字状態を継続できない)


3、社内起業に向いている人の特徴

上記のメリットデメリットを踏まえ、多くの社内起業人材を見てきた観点で、社内起業に向いている人の特徴を挙げるとすると、以下の通りです。

① 大胆さと慎重さを兼ね備えていること
② 野心と人間力を兼ね備えていること
③ 社内環境や機会を最大限生かしシナジーを生めること
④ 批判や孤独に心が折れないタフさを持っていること
⑤ 客観的に自分の会社を捉えられること
⑥ 社内外で注目を集められるポジションを築けること
⑦ 社内外から嫌われず、協力者を多く囲えること

私自身、採用活動をしていると特に感じるのですが、会社の規模が大きくなっても、会社の体質や社員の特性、マインドが「ベンチャー気質である」という点は市場の中でも非常に大きな武器だと考えています。
会社が大きくなることは良いことですが、胡坐をかいてしまった瞬間、チャレンジを生まなくなってしまった瞬間に、大企業病街道まっしぐらです。

かなり昔、とある会社の社長の方から、“会社員”というぬくぬくとした環境の中で“子会社社長”を名乗っている状態を見て、「そんなんだからビジネスが成功しないんだよ」と言われたことがありました。(決して根に持っているわけではありません。笑)

たしかに、裸一貫で、一か八かで勝負に出て、リスクを抱えながらゼロベースで事業の立ち上げを経験している起業家の方々から見れば、「社内起業家」というものが甘いと思われても仕方ありません。

ですが、新規事業創出にあたっては、起業家だから成功確率が上がる、社内起業家だから成功確率が下がるということではないと思っています。

そして、そういった批判に打ち勝ち、熱量高く成功に向けて情熱を注ぎ続けられる人こそ、社内起業に向いていると思います。


4、社内起業を増やす仕組み

昔から新規事業創出の土壌があったリクルートさんを筆頭に、今では多くの会社に新規事業立案制度があり、社内起業を推奨する文化もできています。

ただ1点注意をしなければいけないのが、安易に社内の事業立案コンテストのような場だけを増やしても、大きな新規事業は生まれにくいという点です。「新規事業のアイディアの数を増やすこと」が最終ゴールではないからです。
まずは、ゼロから事業を創りたいという熱量の高い人材を発見し、機会を提供し、中長期的に育てていくこと、その挑戦人材の数を圧倒的に増やすことをゴールにする方が、社内の制度設計としては適切かもしれません。

事業人材を発見し、その人に合った適切な事業を任せていくケースもあれば、市場の変化を的確に捉え、伸びそうな事業に適切な人材を抜擢していくケースもあると思います。
その場面に応じて、どちらのケースであっても臨機応変に対応できるように、日常的に事業ドメインの発掘と、事業人材の発掘双方を継続して準備していないといけないと思います。

社内で事業を任せられる人材を発掘し、育てる仕組みを作ることは、既成概念にとらわれず、柔軟な思考とクリエイティブな発想で戦略を描ける、次世代のリーダーを育成することにもつながります

今のような、世界中でDX推進などの改革を抜本的に求められているような局面においては、より一層、ゼロから新しい価値を生み出すような人材の創出が急務になっているのではないでしょうか。


#日経COMEMO #NIKKEI

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