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海外不動産投資の節税ができなくなる?

政府は海外不動産への投資の際に節税をできないようにする方針です。2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込み、21年分以降の所得税に適用される見通しです。

海外住宅投資の節税認めず 政府・与党、富裕層課税強化へ

現在は海外不動産への投資で出る赤字と国内の給与など所得を合算して税負担を減らせますが、これを認めないこととする予定なのです。

そもそも、このスキームは米国不動産など高額な中古物件を購入して、家賃収入以上の減価償却費など赤字を出して日本での所得を圧縮させるというものでした。不動産所得の金額は、その年内の不動産所得の総収入から必要経費を引いて計算をします。その結果、赤字になる場合は他の黒字の所得と差し引きをする損益通算が認められるのです。

また、日本と欧米では中古住宅の平均寿命などの考え方が違うという背景があります。減価償却とは経年とともに価値が下落するモノの劣化代を会計上の損失として経費に計上をする制度です。土地などは劣化しないために、減価償却をしません。日本の不動産に関しては、価格2500万円の中古一戸建ての場合、土地の価格が2000万円、建物500万円といった割合になるのが一般的です。築古の物件の場合、土地価格が大部分を占めるというケースもあるのです。ところが、米国不動産の場合、建物の価値が非常に高く、全体のうちの大部分が建物価値という場合も多いのです。そのために減価償却による費用計上が大きくできたわけです。

20年度の税制改正で海外の中古物件で生じた赤字はなかったものと扱って、日本国内での損益通算には使えないようにする予定です。この制度が変わることによって節税狙いで米国不動産を保有していた人たちが売りに走る可能性も出てきました。また、節税ができなくなるので新規で購入を考える人が減ることも予想されます。そうなると、需給バランスが崩れてその地域でも不動産価格にも影響を与えそうです。米国の地方都市の多くは供給過剰となっているためにこれからの現物投資はきびしいでしょう。

海外不動産の取得を考える際には制度改正なども頭に入れた方がよいでしょう。また、こうした制度の歪みを利用したスキームは長く続かない場合も多いにあります。不動産投資をする際には需給をしっかり見極めて、インカムゲインとキャピタルゲインを狙うなど原点に戻って考える必要がありそうですね。投資の原則はよく分かっている対象を選ぶということ。日本に住んでいる場合、分かりやすい、情報が入りやすいという理由もあり、リスクが低い国内不動産投資から入るのもわるくないと思います。

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