国会議員もマスコミも国民もみんな解散総選挙の意味を完全に間違えてないか?〜仕事師内閣、最低1年間は解散せず地道に成果を〜
1. 仕事師内閣なんて関係ない、勝てるタイミングで解散だ?!
解散風が吹いています。
昔公民の教科書にこんな事書いてあったのでは、と頭の整理をします。
解散とは内閣不信任決議もしくは信任決議が否決された場合、内閣は総辞職するか国民に信を問うため、衆議院は解散することがある、ということです。
要は代議制の元で首相が
①オレじゃダメなのか?わかったよ、仲間と辞めます→内閣総辞職
②不信任?議員のお前達はオレがダメというが、代議士のおまえらが間違ってんじゃないか?国民に直接聞いてシロクロつけようじゃねーか→解散総選挙
不信任決議⇒総辞職or解散⇒解散総選挙
これが、憲法69条に基づく解散というものです。
2. 「7条解散」 何?この裏技!
安倍内閣はしょっちゅう不思議な解散総選挙してたなあと思い調べてみたら別に憲法7条3号に基づく解散というのがありました。
解散は天皇の国事行為の一つですが、天皇は政治的権能を有しない(憲法4条)ため、内閣総理大臣が決定し天皇に助言し承認を得て解散します。
解散は内閣総理大臣の専権事項とされている根拠です。
但し、この憲法の条文は天皇の国事行為を定めたもので、この条文を根拠に解散することは違憲ではないかという指摘も実は憲法制定時には多かったようです。
3. 日本って「三憲分立」って機能してるの?
ここで、余談になりますが、日本って「三憲分立」って機能してるの?って話に展開します。
ええええー、司法が審査しないの???
アメリカでは、トランプ大統領の決定を、最高裁が覆すことは日常茶判事です。
なので、最高裁の人事が国民的関心事となります。つい先日高齢のため無くなったギンズバーグ判事の後任が大統領選挙の争点になっているのはこのためです。
アメリカの最高裁人事については、昨日篠田真貴子さんが詳しく解説くれているので、こちらを参考に。
4. 今は解散の内容とタイミングを国民が厳しくチェックするしかない
吉田茂って、戦後日本を決めたある種の天才政治家だなと思うくらい、今の日本の政治に影響を与える意思決定をしてると思います。(さすが麻生さんのおじいちゃん)
要するに、
・支持率が上がってきた今選挙をすると有利だから
・野党が選挙の準備をできていないから
という党利党略だけから、国会を任期半ばで解散し、経費と時間をかけて国民に選挙させるという判断が、総理単独で出来るわけです。
これってスポーツの世界でも、ゲームでもなんでも、片方だけが攻めるタイミングを一方的に決められるって相当アンフェアですよね。セットゲームでサーブ権が交代しないって。囲碁将棋で、強い方が毎回先手って。
安倍政権の衆院選挙で、今なら勝てそうという時に何か争点を作って信を問うという形で、解散総選挙するという風潮が当たり前になってしまいました。
国政選挙6連勝のうち、
これは政権交代の解散総選挙
次のこの解散総選挙の争点:アベノミクス、良くないですかー?消費税は上げるけど、でもタイミング先送りにしますけど、これって良くないですかー?女性もキラキラさせますけど、これって良くないですかー?
(⇒増税そのものじゃなくてその時期?って、オレたちに聞くの、細かくね?)
この解散総選挙の争点:北朝鮮ミサイル飛んでくる!国難ダー!!
(⇒ホントにミサイル飛んでくるの?そりゃ撃ち落としてよ、てかホントならむしろ今、選挙してていいの?)
消費税上げた分は、子育て支援とか教育の無償化とかに使うけど、これって良くないですかー?あと、少子高齢化とか気になるじゃないですかー、とか。
(⇒いや、借金返すのも大事だと思うけど、、、まあやってよ、誰も反対しないから、少子高齢化って、それは争点じゃなくて状況じゃ、、)
あ、あと憲法9条に自衛隊明記させるけど、|彡サッ
(⇒え?それは、普通に結構大事な争点じゃ。。)
国政選挙が、総理大臣がいつ解散の判断したら勝てるかの選挙テクニック論に矮小化されてきた訳ですが、なんとなく国民もマスコミも、そういうものと思考が慣らされてきた感があります。
国民の信を問うべきだ、国民の意見を聞く事は決して悪くない、議論を単純化した騙されやすいポリティクスです。
先の、違憲性の疑義もあった憲法7条をどうするのというと、司法が違憲判断しない今は、国民が憲法を改正をするしかないわけです。
もしくは、解散のタイミングとその説明される内容に大義があるのかと、厳しくチェックするしかないわけです。
例えば、7条解散で過去2回の政権交代は起きてます。そのレベルの解散総選挙なのか?
という事を良く確認しないといけないのです。
5. 仕事師内閣は選挙は後で良いから仕事してよ
菅内閣は、「これから仕事する」と言ってて、そこを評価されている訳です。モリカケ、桜の会の再調査や何かより、
コロナ禍で国民に明らかになった日本のク○みたいな行政のIT問題、かなりヤバいコロナ禍での経済、米中と比べてダダ下がりの国際経済力、女性が結局全然活躍できてないじゃん問題、広がる格差と貧困、8月一気に増えた自殺者、、
今の日本は問題山積みな訳です。
それを、この秋田のいちご農家の長男、集団就職法政夜学の叩き上げはバリバリやってくれるんではと、期待してる訳です。僕は高い支持率は単なるご祝儀ではなく国民の切実な期待と思っています。
選挙に不安な自民党若手、単に与党の座にいたいだけで国民向いてない長老議員とかは、「今なら勝てる」とか「タイミングがー」とか言ってます。
政治部記者も、もっともらしく「政治日程から逆算して解散するとすれば年内」「専門家会議にコロナ沈静化宣言を出させてそのタイミングで一挙に」等、解説しています。
選挙に勝つ事が目的化しすぎてませんか?
国民は菅内閣に信任してるから早く仕事やれと言ってる訳です。国論を2分する争点もない。あるのは、「やるやる詐欺」の積み残しの仕事を早く「片付けてくれ」と言っているのです。
憲法改正、女性活躍、北方領土、待機児童、財政再建、全て先送り。
ついに親安倍政権の読売新聞まで先送りに苦言
僕は安倍政権の最大の負の遺産は、モリカケとかではなく、勝つ事だけを目的に、国民の信を問う解散総選挙の意義をゲームのようにチャラくした事だと思います。
北朝鮮ミサイルぅぅぅ国難ダー!!とか消費税増税のタイミングガー!?とか、教育の無償化ー!とか、選挙で国民に直接聞いてくれなくても、普通にやってよ、という論点か、女性キラキラ、1億キラキラみたいなスローガンで大義なき解散総選挙をやって、野党が不甲斐ないなかで安倍1強を作った訳です。
しかし1998年まで計18回の平均死票率は28.6%でしたが、1人区となった2001年以降(計7回)は46.1%にはね上がります。半数近い民意が当選者を支持していない訳で、必ずしも自民党が強く支持されてきた訳ではありません。
「6回も選挙に勝って国民の信を得た長期政権」ではなく
「6回も勝たせてチャンスあげたのに、結局なーんもせんかった政権」というのが国民の評価なわけです。(ご本人も色々忸怩たる思いはあると思いますし、そこは最後の記者会見で認めてます。)
だから、国民は、国民目線で仕事すると言ってるたたき上げの一見地味で暗いおじさん内閣を圧倒的に支持してる訳です。
野党の批判する負の遺産引き継いだ「安倍亜流内閣」というより、7条解散という裏技選挙にだけ強かった「キャッチコピー内閣」の負の遺産を引き継がない「安倍否定内閣」になりそうだ、と高く支持してる訳です。
国民の高い支持の本質を見誤って、「年内コロナ落ち着いたし今なら勝てる」と解散に出ても今の野党なら勝てるでしょう。
ただその時、菅政権は、本当に「安倍継承内閣」だったというレッテルが国民から貼られます。選挙のやり方まで真似たワンポイントリリーフだったのね、と。
そうではなくて堂々と1年今の内閣で仕事をやって道筋つけて、長期政権に向けて国民の信を問うべきだ、と思います。
今、もし年内に「憲法7条の内閣総理大臣専権条項に基づく解散総選挙」になったら、僕個人としては泣きながら、批判票として野党に入れます。
「ガースーよ、おまえもか」
と。