真実は人の数だけある。よって絶対的な真実なんてどこにもない。

男女の恋愛観の違いについてはいろいろ本や記事があふれていますが、結婚できた女性と未婚女性の恋愛観の違いについて考察したものはあまり見かけません。調べてみると、両者の間には男女差以上に大きな違いがあります。

特に、専業主婦志向や男女性別規範(男は男らしく・女は女らしく)は、なんとなく既婚女性の方が高いイメージありますが、案外そうではありません。

マイナビウーマン連載「知らないと困る 結婚の数字」更新しました。まずはぜひお読みください。

さて、僕は、「結婚したいけどできない」というアラサー年代のソロ女の座談会を定期的に実施していて、かれこれ延べ100人以上のソロ女のお話を聞いてきました。

「結婚したいけどできない」というのはあくまでご本人の自己申告なので、もしかしたら本心では「別に結婚したい思わない」という方も紛れ込んでいたと思いますが、「結婚したいけどできない」女性と聞くと、どういうイメージをお持ちになるでしょうか?

実は、みなさん、ルックスも良く、大部分は聞けば誰もが知っているような企業にお勤めだったり、手に職を持って自立していたりします。年収は下手な男より稼いでいます。自分の意見を持ち、コミュ力も高いし、決して友達が少ないどころか多いくらいです。

多分、合コンにいらっしゃれば、必ず皆さん声を掛けられるタイプだと思います。

それなのに「結婚できない」と言います。

なぜでしょう?

実は、皆さんに共通している特長があります。それは「男らしい」のです。

ここでいう「男らしさ」とは、「自立すべきである」「仕事などで社会的役割を果たすべきである」「プロセスより結果にこだわる」「負けず嫌いである」などのような一般的には男性が高いといわれる項目が、男性同様高いという傾向があります。

一方で、既婚女性に高い「社会や周りの人との調和を大切にしたい」「他人の気持ちを察することができる」という項目は、男性同様低いことがわかりました。

ある意味では、バリバリ仕事をこなし、男性に負けないように対等に仕事する中で、無意識のうちに、自己を強く律してしまう性質を身に着けてしまったのかもしれません。それを「男らしい」と定義しました。

※勿論、全員がそうだということではなく、そういう傾向の人が多いということです。

「男らしい」ソロ女は、さぞ「男らしい」価値観で「男らしい」行動をすると考えがちですが、逆です。自分自身が「男らしい」を身に着けているがゆえに、男に対しては「お前に男らしさがあるのか?」という目が非常に厳しくなります。

ソロ女ほど「男はデートで奢るべき」と考えています。それは、決して自分が奢られたいのではなく、自分が認識している「男らしさ」とは「女性を行動面でも経済面でもリードするもの」という定義に縛られているからです。

女に奢れないような男は、男ではないのです。

同様に年収が低いのも「男らしく」ないという判断になります。

実は、これは自分が勝手に定めてしまった絶対的指標の呪いにかかっていて、そもそも見ているのは指標だけで相手を一切見ようとしない。これでは、男の側からすると品定めをされているようでちっとも落ち着きません。なんだか仕事上のパートナー選びや就職の面接をされている気分になります。

もちろんこれだけが理由ではないですが、結婚相手を「選択する」という概念で考えているうちは、多分結婚なんてできないのだろうと思うわけです。誰かとの比較や基準や指標をクリヤしているかどうかを考えているうちは、それは数字を見ているのであり、相手の人間をまったく見ようとしていないし、ひいては人間としての自分をもまったく晒していないことになります。

こういうことを言うと「それの何がいけないの?」と言われてしまうので、それ以上話は続かないのですが、厳しいことは言わせてもらうと、他者を人間として見られないということは、とても怖いことです。そして、それは、自分自身とも向き合えていないことに等しいのです。 

そして、これはソロ女だけではなく、そのまま結婚できないソロ男にも当てはまります。ソロ男もまた「女らしさ」に囚われています。

恋愛マンガや恋愛ゲームの中にある「男らしさ」も「女らしさ」も、あれは現実ではなく虚構です。

虚構はそれを信じる者の中では真実になる場合もありますが、あなたの中だけの真実が世の中の事実にはなりません。

事実と真実は違うもの。事実は「誰から見ても不変の、実際に起きた出来事」、真実は「事実に対して人それぞれの考えや解釈」を表します。

事実は客観、真実は主観。だからこそ事実は一つですが、真実は人の数だけ存在します。人の数だけあるのですから、絶対的な真実なんて存在しない。

それに気付けないと、いつまでも変わらないのだと思います。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。