デジタル競争力の国際ランキング低下と主観的なDXの変化
どんどん下がる日本のデジタル競争力
スイスのビジネススクール IMD が公開しているデジタル競争力の国際ランキングが公開された。残念ながら、日本は過去最低の32位だという。
日本のデジタル競争力、過去最低32位 人材不足響く:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC288470Y3A121C2000000
韓国や台湾の好調と比べると、順位を下げている日本は厳しい評価だ。調査対象の64カ国中32位と真ん中に位置している。
一方で、この手の国際ランキングで日本の順位が振るわないのはおなじみになってきているところもある。生産性やダイバーシティ、エンゲージメントなど、近年、注目を集めている企業経営や競争力を測る調査での日本の評価は芳しくない。
主観では変化している日本のデジタル化
さて、順位を下げている日本だが、主観として変化が起きていないかと言うと、必ずしもそうは感じないのではなかろうか。電子決済サービスは広く普及し、ファミリーレストランでは配膳ロボットが稼働する、飲食店での注文もタブレットやQRコードを読み込んでオーダーする方式は珍しくはない。
海外と比べても、「日本って便利だな」と思う場面も少なくない。
仕事においても、クラウドストレージやメッセンジャーアプリ、スラックなどの協業アプリ、ZOOMをはじめとしたビデオ会議システムなど、多様なツールがここ数年で一気に広まった。もうデジタルツールがない時代には戻れない職場も多いだろう。
しかし、日本の国際的な評価は低いのだ。これは、変えやすいところを変えて、本格的な組織内の意思決定プロセスや効率の悪いアナログ業務の置き換えといった業務プロセスの改革が進んでいないことが原因の1つと考えられる。特に、行政や教育機関など、変えにくい場所やデジタル化への抵抗感を示しやすい組織で「急速な変化は混乱をもたらす」と乗り気ではない姿勢を示すことも珍しくない。
先日も、河野大臣が質疑中にスマホをみてしまい謝罪するという場面が世間を騒がせた。改革というと、変えやすいところだけを変えて、変えにくく、重要度の高いところは従来のままというケースが非常に多い。しかし、グローバル環境は目まぐるしく変化している。このまま、じりじりと真綿で首を締めるように衰退するようなことになってはいけない。