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2020年はeスポーツが注目される3つの理由

YouTuberは、好きなことを仕事にできる職業として若者に夢を与えているが、もう一つ、ゲームを職業とすることも、現代では成り立つようになっている。もともと、YouTuberとゲーマーとの関係性は高く、ゲームの実況配信から視聴者を増やしていった動画チャンネルは多い。

海外では、ビデオゲームによる対戦がスポーツ競技(eスポーツ)として盛り上がっており、新たなコンテンツとしても注目されている。eMarketerのレポートによると、2018年の時点で、eスポーツのネット配信は世界で4億人の視聴者を集めており、8億500万ドル(約880億円)の市場が形成されている。

日本では、eスポーツの市場規模は48億円(2018年)と小さいが、2020年以降は、3つの要因によってビデオゲームの対戦が「仕事」としても注目されるようになってきそうだ。

【要因1:国内プロライセンス制度の導入】

日本では、景品表示法によって1000万円超の賞金を出すことには規制があるため、海外のような高額賞金のeスポーツ大会を開催することが難しく、それがプロゲーマーの収入を伸ばせない要因になっていた。 しかし、2017年には日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、経済産業省とも連携して、eスポーツを新たなコンテンツ産業として育てていく機運が高まっている。

具体的な取り組みとして、JeSU公認のプロライセンス制度が2018年から導入されている。JeSUが、ゲームタイトル毎の上位成績者にプロライセンスを発行した上で、JeSU公認の大会で高額賞金を得られるようにした。プロ認定を受けたゲーマーに対する賞金は、景品類ではなく「仕事の報酬」として扱える承諾を国から得ているため、景品表示法の規制問題はクリアーされたことになる。

日本eスポーツ連合(JeSU)

【要因2:若者を取り込む新産業としてのeスポーツ】

10~20代のテレビ離れやクルマ離れが進む中、eスポーツは若者が興味を示す希少な有望産業として期待されている。近年は、スマートフォンの普及に伴い、パソコンの販売台数が伸び悩んでいるが、eスポーツで使われるゲーミングPCは、平均価格帯で15~20万円、ハイスペックを追求した機種は50万円以上するため、PC本体や周辺機器のメーカーにとっても、ゲーマーは優良顧客のメインターゲットとなっている。

eスポーツの大規模な大会はリアルな会場で行われるため、スポーツイベントとして観光振興の経済効果もある。人気ゲームのチャンピオンシップを争う大会には、世界各国から数万人規模のプレイヤーと観客が集まり、本戦の他にも数日にわたり多様なファンイベントが開催されるため、開催地周辺のホテルや飲食店にも恩恵がある。

さらに、会場よりも数十倍の規模がいるオンライン視聴者に対しても広告宣伝ができるため、企業スポンサーが付きやすい。とえば、ドライブシミュレータゲームとして人気が高い「グランツーリスモSPORT」のトーナメント大会に対して、自動車メーカーやディーラーが協賛することは、クルマ好きのユーザー層を育成することに繋がる。

茨城国体の文化プログラムとして開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」の中でも、グランツーリスモSPORTは競技種目に採用されている。

【要因3:STEM教育としてのeスポーツ事業】

これまでの常識では、ビデオゲームは熱中しすぎて学業が疎かになる、暴力的な行動の原因になるなど、ネガティブな指摘がされてきたが、世の中がハイテク社会へと移行する中では、理数系の才能を引き出すプラスの効果がクローズアップされている。

米国の大学では、eスポーツチームを結成したり、eスポーツの教育課程を設ける動きが広がっているが、実際に、大学のeスポーツ大会で優秀な成績を収める者は、科学や数学を専攻している学生の割合が高い。そのため、「eスポーツ」は、プログラミング教室やロボット教室と並んで、STEM教育の有力事業として、米国政府や各州の自治体も推進しはじめている。

日本でも、政府が掲げる「未来投資戦略 2018」の中で、「新たな成長領域として注目される e-スポーツについて、健全な発展のための適切な環境整備に取り組む」という記載がされており、文部科学省の外局にあたるスポーツ庁でも、eスポーツを学校教育の中で採用することを検討しはじめている。野球やサッカーなどと同様に、eスポーツも部活動として取り組めるようになれば、学生チャンピオンからプロゲーマーへの道も拓けるようになる。

eスポーツの市場を盛り上げるには、YouTuberと同様に数億円規模の年収を稼げるスター選手が日本国内が登場してくることが必要だ。その存在に憧れを抱いたアマチュア選手層が広がってくれば、彼らを顧客ターゲットとしたいスポンサー企業も増えて、さらに賞金総額の大きな大会を開催できる、という相乗効果が生まれてくる。

近年では、若者が熱狂する新産業が育ちにくい状況になっていることから、官民が一丸となって、eスポーツ市場を育てていこうとする機運は急速に高まっている。それに伴い、eスポーツに関連した職業や新ビジネスも成り立つようになるだろう。

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