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「HOWの壁」と「WHYの壁」~ビジネスパーソンがぶつかる2種類の壁の話~

 Potage代表取締役 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。壁にぶつかっては逃げたりよけたりよじ登ったりな人生です。

 さてさて、僕はコーチングやファシリテーションがお仕事で、最近は、起業家さんや新規事業担当者さん、ビジネスパーソンへのメンタリング(1on1)の機会が増えています。いわゆる「壁打ち」というやつで、メンティーさんが壁を突破するための、対話を通じた「壁」役を引き受けているわけです。

 この壁打ちの対話は、組織や個人が壁にぶつかったときに、乗り越えるための大事なプロセスだと考えています。いろんな状況にがんじがらめになって、自分がどうしていいのかよくわからなくなったり、方向性を見失って迷子になってしまっているときに、大事なのは客観的な目線を入れることです。自分の状況を俯瞰しながら整理することで、今の状況でより最適な選択肢を探っていく効果が壁打ちにはあります。

 さて、ぼく自身も、ファシリテーションやメンタリングを個人や組織に対して提供しています。いわゆる「壁を超えるための壁打ち」を数多く行っているのですが、その過程で、実はこの壁をシンプルに分けるとしたら、2種類あるのでは?という気づきがありました。それが「HOWの壁」と「WHYの壁」です。以下、解説していきます。面白いな、参考になったな、と思った方がいらっしゃいましたら、ハートマークを「スキ!」としていただけると嬉しいです。

※当記事の下敷きになっているVoicyの放送です。ぜひ聞いてみて下さい!

https://voicy.jp/channel/2789/338676

1つ目の壁:HOWの壁

 HOWの壁は「実現したいことのゴールのイメージは明確だけど、ゴールに至る具体的な行動がかみあっていない状態」と定義しています。

 ざっくりいうと「目指したい方向性と、実際にやろうとしていることにズレが発生して壁にぶつかっている」ということです。

 多動的な人ほど、この「HOWの壁」にぶつかりやすい傾向があります。やりたいことがたくさん浮かびすぎて、どんどん興味の赴くまま、手あたり次第に行動するうちに「あれ?もともとどっちの方向に自分は向かっていたんだっけ?」という風に、方向性がぼやけてしまうのです。そのため、色々なことに手を出しているものの、いつまでたってもゴールにたどり着けず、疲弊して迷子になってしまうのです。

 この「HOWの壁」にぶつかっている方へのメンタリングで大事なのは、やることについて話すというよりは「やらないことを決める」という観点です。自分がゴールに向かっていくにあたり、どういう行動の優先度を上げればいいのか。そこを明確にする必要があります。今の行動を棚卸した上で、各行動とゴールのつながりを明らかにし、優先度を決めていくと、HOWの壁を乗り越える糸口となるのです。

2つ目の壁:WHYの壁

 WHYの壁は、自分自身が「なんで事業をやるのか」「なんで仕事をするのか」といった「なぜ〇〇するのか」がはっきり言語化されていないがゆえに、行動が続かなくなっている状態と定義しています。自己肯定感が低めの方が、この壁にぶち当たりやすい傾向があります。

 例えば「器用に色んな方からからきた仕事のオーダーを打ち返せる方」は、WHYの壁を感じやすいです。リアクション型で、与えられた仕事を器用にこなせてしまうタイプの方が多いのですが、こなすうちに「あれ?自分はなんでこういう仕事をしているんだっけ?」という疑問がわいてきて、どうしていいのか分からなくなってしまうのです。

 また「強いコンプレックスを持っている方」も「WHYの壁」にぶつかるケースが多いです。

 例えばお金に対するコンプレックスを持っている方が該当します。お金コンプレックスのある方々は「稼がなきゃ」という動機で仕事に邁進する傾向があります。もちろんそれは悪いことではないのですが、お金を稼ぐことに執着するあまりに、本質的には自分に合わない仕事を選んでしまい、結果的に「あれ?なんでこれをしているのだっけ?」という壁にぶつかる傾向があるのです。

 承認欲求が強い方も同様です。周りの人たちの「こういうことをやってほしいんだよね、期待しているよ」という声にある種ふりまわされて、結果的に、自分が本来やりたかったことを見失ってしまう傾向があります。

 そういう方は、一見するとうまくいっているように見えますが、突然活動がぱたっと止まってしまい、仕事へのモチベーションが潰えてしまうこともあるのです。人や自分自身の期待値に振り回されたり、過剰に責任を背負ってしまって、自分自身を縛ってしまう傾向が強いからです。

 この「WHYの壁」にぶつかっている方へのメンタリングで大事なのは「自分にしかできないことは何か」「なんで今の仕事をやりたいのか」といったテーマについて考えるために、原体験や、感情の動きを掘り下げることです。丁寧に掘り下げていくと「これかな?」という言葉が見つかってきます。そこからちょっとずつ整理をしていくと、その人が大事にしている価値観が、言葉の奥から透けて見えてくるので、そこを抽出して組み合わせたり、「どう思う?」と問いかけを当ててみたりすることで「自分はこういう理由でこういうことをやろうとしていたんだ!」という答えに、メンティー自身が近づいていくのです。

 一度このような言葉を掘り当てると、WHYの壁にぶつかっている人たちは、スムーズに自身の壁を解消していく傾向があります。「そういうことだったのか!」という言葉と共に悩んでいる顔が一気に晴れたり、こんがらがった思考がほどけていって、結果的にいきいきとした言葉が出てきたりします。

 そこまでくると、具体的に自身のゴールにどのように近づくかという「HOW」のアイデアがメンティーからどんどん出てきますし、自分が既にやっている行動の一つ一つを組合わせていくことで、勝手に答えを見出す傾向が強いのです。

あたっている壁は「HOW」ですか?「WHY」ですか?

 壁にぶつかっているなと感じている方にお勧めしたいのは、その壁が「HOW」なのか「WHY」なのかを言語化することです。そうすることで、悩み方の方向性が見えてくるからです。

 ただ闇雲に悩むのと、方向性が見えた状態で悩むのとでは、ぜんぜんアウトプットの出来上がりや精度が変わってきます。悩みの方向性を見定めたうえで、壁打ちの相手をつかまえていったん悩みを相談しつつ、思考の整理と言語化を行うことをお勧めします。

 僕も「ナラティブインタビュー(自分インタビュー)」というメンタリング×ファシリテーションサービスを提供しています。

  1人では難しい「悩みの方向性」の特定や、言語化を支援することで、最適な行動を一緒に探していきます。また、どんな方向に進んでいきたいかを「パブリックナラティブ」という、ストーリーづくりのフレームを使って整理し、発信できる共感を生む物語を言葉にしていきます。詳細は以下のCOMEMO記事でもご説明しています。

 ナラティブインタビューは「WHYの壁」にぶつかっている方に特におすすめです。WHYの壁は、自分ひとりで考えていても、なかなか言語化が難しい傾向があります。どうしても思考がパターン化してしまっていて、ありきたりな回答しか生まれなかったり、目の前にみえていることしか考えられなくて、結果的に大事なものを見失ったりしている傾向があるのです。

 「ナラティブインタビュー」では、1対1の壁打ちセッションを通じて「将来どうありたいのか」「誰とどんなことを実現したいのか」を一緒に言語化して、コミュニティオーガナイズで活用されるストーリーづくりの型を元に「自身のコミュニティを形成するための自分だけのストーリー」を形にしていきます。興味ある方は上記のタイムチケットのページをぜひチェックしてみて下さい。

組織の壁打ちも実施しています。上記HPよりお問合せ下さい!

メンター、コーチ、ファシリテーターのスキルを身に着けたい方にはこれらの書籍がおすすめです!

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