見出し画像

「パートタイムソロ活」という新しい市場を見逃すな

「レジャー産業8月号」の特集にて、僕のインタビューが掲載されています。特集の内容は、[アウトドア][ソロ][オンライン]領域におけるコロナ後の反転攻勢に向けたアプローチというテーマです。

画像3


画像4

独身研究家としても仕事していますが、陰ながら本業?のマーケターとしてもいろいろ仕事をしています。守秘義務があるため明かせませんが、企業のマーケティングのコンサル的なこともしています。ご興味ある企業の社長さん、ぜひお声掛けくださいw

今回「レジャー産業」でお話したことは、ソロ活やソロ市場に対する誤解の払拭です。独身人口が増えているのは前提なのですが、ソロ市場を牽引するのは独身者だけではありません。

これは以前、出演したBSテレ東「日経プラス10」でもご紹介していますし、拙著でも何度かご説明しているソロ市場4象限の図です。 

画像2

縦軸が「独身」か「有配偶(既婚)」かを表しています。現在の日本人の有配偶率はおよそ6割といわれています。一方、横軸は「ソロ度」の高低を表します。わかりやすくいうと、ソロ度が高い人は「ひとりで行動できる人」、低い人は「ひとりで行動するのは寂しい、グループで行動したい人」となります。

つまり、独身者のなかにもソロ度が高い人と低い人がおり、それぞれ日本人の約20%ずついると推定されます。ソロ度が高い独身者である「ガチソロ」は、結婚への意欲が低くひとりの時間を大切にする傾向にあります。一方、ソロ度が低い単身者である「エセソロ」は、これまで機会に恵まれずに(あるいは何らかの理由で)結婚していませんが、いずれは結婚したいと考えている人たちです。

これまでビジネスで「ソロマーケット」を論じるとき、これら2つ、合計40%だけをターゲットとするケースが少なくありませんでした。しかし、有配偶(既婚)のなかにもソロ度が高い人がいます。それが「カゲソロ」というカテゴリーの人たちです。彼ら、彼女らは、結婚して家庭をもっていても、1人でお酒を飲みに行ったり、遊びに行くことを好みます。ソロマーケットの対象には、こういう人たちも含まれると私は考えます。特に、レジャーやサービスの分野では、「ガチソロ」「エセソロ」に「カゲソロ」を加えた60%を、「ソロマーケット」として考えるべきです。

ちなみに、別図において、ソロマーケットの外にいる40%の「ノンソロ」の人たちも、時を経てライフステージが変化すれば、「カゲソロ」に移行する可能性があります。特に女性の場合、お子さんが小さいうちはどうしても家庭が第一となり、ソロ活動できる機会はあまりありません。しかし、子どもが成長して独り立ちしたあとで、自分の時間をもつことができるようになると、ソロとして活動しはじめるケースはけっして少なくありません。

さらに、ソロ活に関する新たな可能性もあります。それは「パートタイムソロ」という考え方です。

旅行を例にとって説明します。従来のパック旅行では、たとえば夫婦で参加したら同じ旅館に宿泊し、決められた同じ観光スポットを2人で一緒に巡るパターンがほとんどでした。それに対して「パートタイムソロ」の考え方では、拠点となる宿泊旅館だけが共通で、それ以外の昼間の時間帯は別々に行動することになります。奥さんは話題の最新スポットを巡り、旦那さんは古刹巡りというようにそれぞれが「ソロ」で行動し、もちろんお互いの興味が一致する場所は2人で一緒に巡ります。

つまり、従来までの「フルタイムのグループ」「フルタイムのソロ」に続く、3つめのターゲットということになります。

「グループ」「ソロ」とターゲットを明確に分類するのではなく、これら2つのカテゴリーをシームレスに横断する「パートタイムソロ」のような存在を認識することも重要です。

事実、北海道では 「19年度調査より道外からの一人旅が12ポイント増の40%に増えた」そうです。

北海道のソロ旅はいいですよ。自分と向き合うきっかけにもなる。「ソロ旅なんて寂しいから嫌だ」という人に無理強いはしませんが、一度やってみると「たまにはいいな」と思うことてじょう。

ソロキャンプのブームが話題になりましたが、実際やっているのはメインが既婚男性だったりもします。


誰の中にも「一人でいたい」「一人になりたい」という気持ちはあります。ない人なんていない。別に誰かと一緒が苦というわけではないが、一人の時間が全然ないとストレスになる人はいると思います。

コロナ禍で在宅勤務となった家族の方の中には、「いつも家族と一緒でうれしい」 とか「通勤の満員電車に乗らなくていいから楽だ」なんて最初は思ったかもしれませんが、それが長く続いたことで理由不明のストレスを抱えた人、いるんじゃないでしょうか。

通勤の時間は、周りにたくさん人がいても「一人になれる貴重な時間」だったりしたわけです。スマホや読書や一人物思いにふける人もいたでしょう。1日の中で往復1~2時間の通勤は、そうした「一人になる」ことで心をリセットする大事な時間だったともいえます。

ソロ活市場というのは、独身や既婚という状態に関わらず、男女も関係なく、人間を集団派と個人派に区分けするものでもなく、時と場合により、誰もがソロ活を求める気持ちはあるし、そうしたニーズが潜在的にあるのだということです。

既にソロ活ニーズに対応している企業も多いですが、間違いなく5年以内にソロ活市場が家族市場を全体規模で上回ります。総務省は相変わらず世帯単位の「家計」を調べていますが、大事なのは「家計」ではなく「個計」です。ソロ活需要に対応できない企業は本当に負けていくと思います。

日経さんは以前から「ソロ社会」「ソロ活」に着目して頂いて、今までもたくさん取材やインタビュー、記事化していただいています。





特に、この記事は日経朝刊本紙の1面になったほどです。誉れですね。

画像1

繰り返しますが、人間は「一人が好きな人間」と「一人が嫌いな人間」の2種類がいるわけではない。そういうふうに、ある一面をもって人間を2分する考え方自体が愚かです。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。