先日、中国での誘拐事件をテクノロジーとAIが阻止している内容のnoteを書きました。

ところで誘拐事件って日本ではあまり馴染みないですよね。前も書きましたが、国連児童基金会の統計によると、毎年世界中で120万以上の児童が人身売買目的で誘拐されていて、中国でも誘拐はたくさん起きています。

女性と子供が狙われる

まずターゲット（被害者の方）ですが、中国での誘拐で最も多いのは子どもと女性です。中国警察の反誘拐の中心は「打击拐卖妇女儿童」といい、「女性と子供の誘拐犯罪の取締りと防止」となってます。ちなみに誘拐犯のことを「人贩子」（人を販売する人）と呼びます。

子どもと女性がターゲットになる理由はいくつかありますが、最も重要な原因は2つあると思います。

1つ目、買いたい人がいること

中国貧困の深い山の中の田舎では、嫁をもらえない人がいます。彼らの中には平気でお金で嫁を買う人がいます（皮肉なことに教育レベルが低いから違法行為だと思わない人もいる）。

また、例えば不妊の夫婦がどうしても子供が欲しい場合、都市部では施設の子を養子にすることができますが、農村は違います。農村部では嫁を買うように子供も買うのです。さらにそこには農作業や男尊女卑の思想がまだ残っていて、男の子が望まれるという現実があります。

もっと悪質な誘拐犯だと、子供の体を故意に傷付け、遠い都市で物乞いをさせるケースもあります。

2つ目、子供と女性は誘拐しやすい

子供に関しては言わずもがなですね。おいしいもの買ってあげます、一緒に買いに行きましょうとかです、力も弱いし簡単に誘拐されます。また誘拐どころか、拉致する場合もあります。

女性に関しては仕事の紹介などの口実で騙してド田舎に売ってしまえばなかなか脱出できないとのことです。

2018年の「中国統計年鑑」によると、公安部が2017年に受理した女性・子供の誘拐事件数は6668件であり、平均すると一日20名が中国のどこかで誘拐されてる計算になります。これは警察に届けて受理されたケースだけで、実際には届けていないのもあります。

悲しい事件の数々

子供の失踪は心痛む事件がいっぱいあります。

TVで紹介された60代のお年寄りは、息子が誘拐されたところで時計修理の屋台をやって子供の帰りを待っています。30年間待っています。。

他にも、街を歩いてたら物乞いの子から「母さん」と呼ばれてよく見たら我が子だった、のニュースもあります。

女性の失踪もそうですが、酷いことに、人生で一番良い時期に深い山に売られて、貧乏かつ教育レベルの低い相手と残りの人生を過ごさなければならないのです。場所によっては村民全体が誘拐で連れてきた女性の脱出を警戒する（村ぐるみで逃がさない）感じになっているそうです。お金払ったからと言っても違法で連れてきてるわけですから。。

嫁として売買された女性は、買主のところで長年生活して、子供を持つ人もたくさんいます。参考資料にある警察関係者の話によると、ここ何年間かで救出した2700名の女性のうち最終的に家に戻ることを選んだ人はわずか200数名です。その理由のほとんどは、子供と離れたくないとのこと。

こうした背景から、実話に基づく誘拐事件の映像作品もたくさんあります。ここでいくつかを紹介します。

「失孤」

香港のビッグスターAndy Lauが主演する映画で、子供を誘拐されてからバイクで14年間も探し続けた父親の物語です。

「亲爱的」

中国の実力演技派中心出演し、子供が誘拐された親たちと誘拐犯から子供を買った農村女性との物語です。

「盲山」

就職する時に山に誘拐され、そこから脱出した女性の物語です。

「打击拐卖妇女儿童」は近年来中国警察の重要な仕事の一つです。中国の刑法では「拐卖妇女儿童罪」という、女性と子供を誘拐・販売に関する罪名もあります。

根据《中华人民共和国刑法》第二百四十条规定， 拐卖妇女儿童罪是指以出卖为目的，拐骗、绑架、收买、贩卖、施诈、接送、中转妇女、儿童的行为。
根据《中华人民共和国刑法》拐卖妇女、儿童的，处5年以上10年以下有期徒刑，并处罚金，情节特别严重的，处死刑，并处没收财产。

知り合いの、北京に駐在してる日本人のパパさんが、子供を自分のドライバーに送り迎えさせていて「なんて過保護なんや...バスで通学させれば良いんじゃないの？」と思ったこともあったのですが、こういう事実を知った後だと、彼らの気持ちが良くわかりました。

別noteで書いたように、テクノロジーを使ってこういった犯罪が改善されて、不幸なことが少しでも減れば素晴らしいなぁと思います。

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（参考資料）