没頭度:生き方のコペルニクス的転換
本日(3月3日)のNHKスペシャル「AIに聞いてみた」で仕事中の「没頭度」が大きく取りあげられました(我々が開発した名札型センサが、従業員の人たちの没頭度を計測するツールとして活用されました)。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586989/
行為に没頭できることが、我々の幸せの重要な要素であることが様々な研究から明らかになっています。チクセントミハイ教授の「フロー」という概念が有名です(上記の没頭の計測技術はチクセントミハイ教授との共同研究の結果です)。
これは実は、幸せに関するコペルニクス的な世界観の転換でもあるのです。我々は、今がつらくても、後で仕事が成功すれば、あるいはお金が得られれば、あるいは昇進すれば幸せになれるので、今は我慢して頑張ろう、と考えがちです。でも、仕事の成功や昇進の保証はまったくありません。むしろ現実にはうまくいかないことの方が多いでしょう。それでは、この世は情け容赦ない不幸の量産工場なのでしょうか。
違います。もし没頭が幸せだとすると、幸せになるには、成功するまで待つ必要はないことになります。今、没頭できるならば、成功や昇進に頼らずとも、今この時に幸せになれることになります。
しかも、今この時に没頭し、目の前のことに熱中するほど、結果として、無理に成功にしがみつくより、むしろ成功する確率も高くなるのではないでしょうか。
私は10年ほど前、チクセントミハイ教授との議論などを経て、これが腹に落ちたと瞬間がありました。それ以来、大げさに言うと世界が違って見えるようになった気がします。しかも、没頭を意識し始めると、没頭するための技術も徐々に向上し、10年も経つと以前とは比べられないレベルになりました。没頭は一種の技術で、練習で高められるのです。従って、幸せになれるかは一種の技術ともいえるのです。
没頭になるための基本的な条件などについては、M.チクセントミハイ著『グッドビジネス』をお勧めします。