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働くことの楽しさを教える会社員先生

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 日経COMEMOの投稿募集企画「#会社員先生ができること」のテーマへの寄稿です。

今回は副(複)業で教える会社員先生についてのお話です。最近では変化も見られますが、官公庁や学校は外部の人材やノウハウをうまく活用できていないと言われています。しかし、労働人口が減少するにつれて適切な人材の確保は難易度が増すばかりで、そのことが社会全体で複業を後押しする流れを加速させています。

特に不足しているのが情報技術系のIT人材です。比較的新しい分野であることから学校には既存の人材が極めて少ないですし、民間でも転職求人倍率が5~10倍(通信・IT技術系。doda転職求人倍率レポートを参考)と熾烈な獲得合戦が続いています。

多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現する「GIGAスクール構想」。実現と効果的な運用のためには専門人材が欠かせません。そのための人材を複業限定で一般公募する自治体も出てきました。

2017年公表の文科省の計画は、日常的に教員をサポートする「ICT支援員」を4校に1人配置する目標を掲げている。国は学校の環境整備の初期対応を担う「GIGAスクールサポーター」などの専門人材や派遣する事業者をホームページで紹介し後押しする。

自治体も準備を急いでおり、さいたま市は7月、兼業・副業限定で一般からIT分野の専門職を公募。授業や自宅学習で使えるコンテンツづくりや教職員に向けた研修など4分野で600人以上から応募があった。

このように会社員先生は、学校に不足している専門人材を埋める即戦力として活躍するでしょう。

わたしが会社員先生に期待することは、実は別のところにあります。それは「働くことの楽しさをリアルに伝える伝道師」としての役割です。

これからジョブ型雇用が広がり、自分で自分のキャリアを主体的に形成していくというキャリア自律が求められます。と言われても、実際仕事で何をしているのか、どんな仕事があるのかという情報に触れる機会があまりないのが現状です。就活をはじめるにあたってバタバタと断片的な情報を入手するものの、現場で働いている方の生の声を聞く機会もない。特にIT人材については傍目にはどの職種もパソコンに向かって何かをしている、ということしかわかりません。

前職ではオープンイノベーションの一貫として大規模なハッカソン「HackDay」を企画・運営していたのですが、学生向けの「Hack U」というもの実施していました。Webサービスをつくる楽しさを伝え、長期的な目線でIT業界を志す学生を増やしたいという思いからです。

1ヶ月ある開発期間の中では、ヤフー現役エンジニアによるサポートが得られるようにしていました。学生との会話は技術的な相談がメインですが、こぼれ話的にいろいろな話をしていたようです。なぜエンジニアになったのか、いま担当しているサービスはなにか、それがどのように社会に役立っているのか等々、そこには現役社員ならではの生の声がありました。

学生からは「中ではそんなことをしていたのか!」という驚きの声と共に、仕事自体に興味を持ってもらうことも多くありました。担当した社員先生の方も学生の反応を得ることで仕事に自信を深め、より活き活きとしてきました。

私も学校から講師として呼んでいただくこともありますが、これまでのキャリアの話は興味深いようで質疑応答も大盛りあがりすることが多いです。日経電子版で連載されていた『ネット興亡記』は大きな反響がありましたが、いま使われているサービスの裏側のリアルな話はやはり面白いのだと思います。

2021年4月からは武蔵野大学に新しく開設されるアントレプレナーシップ学部において客員教員に就任予定です。実際に #会社員先生 を務めることになりますので、担当教科を通じて「働くことの楽しさ」を未来の同僚に向けてしっかりと伝えていきたいなと思います。


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タイトル画像提供:tomwang / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI  #会社員先生ができること

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