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高齢者の運転事故を減らすライドシェアリング解禁の世界動向

 ニュースでは、高齢者の運転による事故が連日のように報道されている。この問題を解決するには、事故を起こす前に自主的な免許返納者が増えるような流れを作るしかない。内閣府の交通安全白書によれば、75歳以上の運転免許保有者は平成29年の時点で 542万人で、75歳以上人口の3人に1人が免許を保有し続けている。さらに、今後も高齢ドライバーの数は増えていくことが予測されている。

しかし、円滑な運転免許の返上を促すには、代替となる移動手段を整備することが不可欠になる。東京都内を除けば、マイカー無しでも日常の買い物や外出に支障が生じない地域は少なく、ドア・ツー・ドアの移動手段にはタクシーを利用するしかない。しかし、日本のタクシー料金は世界で最も高く、毎日気軽に利用できるサービスにはなっていない。日本の旅客輸送手段は、自家用車(マイカー)の割合が全体の60%を占めており、タクシーの利用率は、わずか2.7%しかないのだ。

この状況からすれば、運転を引退する高齢者の移動手段として、新たな交通サービスを普及させていくことが不可欠になる。その筆頭候補に挙げられるのが、Uberのようなライドシェアリングである。

一般の個人ドライバーが乗客を有料で乗せるライドシェアリングは、安全性の問題から「禁止」としてきた国が多いものの、社会的な必要性が高まっていることは間違いないため、安全ルールを定めた上で、規制緩和が進められている。

たとえば、英国ロンドン市ではライドシェアリングを、従来のタクシーとは異なる「プライベートハイヤー」と位置付けて、ドライバーにはプライベートハイヤー用の免許取得を義務付けた上で、自家用車による旅客運送を認めている。他の国でも、新たな運転免許制度を設けた上で、ライドシェアリングを段階的に解禁していく動きがみられる。

近い将来には、既存のタクシーとライドシェアリングの自家用車が混在する形で、公共交通サービスが再構築されていくのが、世界的な流れとみられている。その中では、1つのアプリで必要な場所に、適切な車両を手配できる配車サービス(配車アプリ)が重要な役割を担うとみられており、トヨタ、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツなどの大手自動車メーカーも、世界で成長する配車アプリ業者に対して出資を行うことで、次世代のビジネスモデルを構築しようとしている。

シンガポールを拠点に、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、カンボジアの東南アジア8ヶ国で勢力を拡大している配車サービスの「Grab(グラブ)」は、2012年のサービス開始から2017年までに、5,500万人以上の利用者を獲得している。

アプリ上で、乗車場所と目的地を入力すると見積料金(定額料金)が表示されて、最も近い位置にいるタクシーを探すことができる。この方式では、目的地まで、ドライバーがどのルートを通っても、乗車前に提示された定額料金は変わらないのが特徴だ。新興国では、悪質なタクシードライバーが多いため、流しのタクシーを拾うよりも、事前に見積料金がわかる配車アプリが支持される土壌がある。運賃の支払いは「GrabPay」という、独自の電子決済機能によって行われため、ドライバーとの間で現金授受のトラブルが起きる不安もない。

このようなライドシェアリングの解禁、合法化を進めることにより、高齢者は安心して運転免許を返上できるようになり、痛ましい交通事故を減らすことができる。Grabに対しては、ソフトバンクとトヨタが出資をしており、政府がライドシェア解禁への舵を取れば、日本市場へ導入は難しくない。

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JNEWSはネット草創期の1996年から、海外・国内のビジネス事例を精力的に取材、会員向けレポート(JNEWS LETTER)として配信しています。詳細は公式サイトをご覧ください。世界で合法化されるライドシェアビジネスの動向については「JNEWS LETTER 2018.7.1号」で詳しく特集しています。



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JNEWS編集長(井指 賢)

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