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価格転嫁という表現は辞めないか?

ビジネス、ニュースのあらゆる場面で「価格転嫁」という言葉を耳にすることが増えました。

石破首相の所信表明でも登場しています。

地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにします。

日本経済新聞 石破茂首相の所信表明演説の全文

もちろん、企業が調達コストや原材料価格の高騰に直面し、それを販売価格に反映させざるを得ない状況は理解しています。

一方で、語感が悪くないでしょうか。

価格転嫁は、企業都合

改めて「転嫁」という言葉の意味を調べました。

「自分の罪・責任などを他になすりつけること」

Appleのユーザー辞書で出てくる転嫁の意味

このニュアンスをそのまま受け取ると、「価格転嫁」とは、企業が顧客にコストを押し付ける行為を示唆しているようにも感じられます。

価格は顧客視点で決めるもの

改めて、価格との向き合い方を整理してみます。

マーケティングの世界では、顧客の支払い意欲(Willingness to pay)を高めることが大切だと言われます。

図解します。

顧客の支払い意欲(Willingness to pay)を高めると利益が生まれる

価格は、顧客の価値認識とセットで動くものと捉えます。

価値が上がらず、価格転嫁すると
「高すぎ」(右下)の認識になってしまう

「価値」の意味を捉え直す

価値という意味を調べ直してみました。

どれくらい大切か、またどれくらい役に立つかという程度。またその大切さ。ねうち。

価値の意味

価格転嫁の反対は何かと考えると、価値創造なのではないでしょうか。

価値創造
=顧客の役に立ち、大切さを感じてもらえる状態をつくること

このように使う言葉を変えると、思考や行動も変わるのではないでしょうか?

価格戦略を考える視点は、この3つに分けて整理できます。

マーケティングのプロジェクトで使う価格の分類3セット

コストベースで考えるようになると、顧客や市場や社会が見えなくなってしまいます。

まずは言葉の使い方を疑ってみる、使う言葉を変えてみませんか。

価値転嫁という言葉を使う頻度を少なくし、
価値創造という言葉を使う
と同時に、その本質を考える習慣を組織・社会に根付かせることが大切ではないでしょうか。

皆さん、どのように考えられますか?