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政府の偏見で見捨てられた子育て中のセックスワーカー

先だって、新型コロナウイルスの感染拡大による小学校などの一斉休校が話題になりました。

政府はこの一斉休校の影響で仕事を休まざるを得なくなった保護者の賃金を補償することを決定。


金額の多寡などについての議論はさておき、該当する人はみんな困っていたと思うので、これは素晴らしいなあと思っていました。


ところが

つい先日のこと、にわかに信じ難いツイートが流れてきました。


この支援金は、子育て中のセックスワーカーには支給されないというのです。


いやいやいや流石にそれは露骨すぎる差別だし、仮にも法治国家たる日本国の政府がそんなことをするわけが😅

誤報だろと思いつつ、念の為に厚生労働省の文章に目を通してみました。

そしたら、ガチだった。


バッチリ「風俗営業等関係者」が不支給要件として記載されており、しかも、暴力団員とか、破壊活動防止法が対象にしているヤバイ組織の構成員と同列で扱われているという。

そしてなぜか、そういった反社会的勢力を抑えて不支給要件の一番上にリストアップされているんですが、、、

政府の方々は何か風俗営業等関係者に恨みでもあるの…?


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出典:厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)支給要領


なんかもう、これをみた時は怒りとか悲しみとかよりも危機感を覚えました。

露骨な職業差別、というのもそうですが、より本質的には「何を根拠に!?」です。


毎日新聞の記事によれば、厚生労働省の担当者は当件について次のように回答したそうです。

「風営法上の許可を得ている事業者であっても、公金を使って助成するのはふさわしくないと判断した」


なお、加藤勝信厚労相はこう述べています。

「取り扱いを変える考えはない」



いち有権者として加藤大臣や担当の方に問いたいのは、どの法律を根拠に意思決定したのかということです。


国家が人を区別してなんらかの対応をとる時、そこには絶対にルール(=法律)が必要です。

政治家や官僚の個人の考えなんて関係ない。


例えば、今回の不支給要件の中に暴力団関係者や破防法が対象にしている組織の構成員が入っても問題にならないのは、根拠となる法律があるからです(※)。

※ : ただし、言うまでもないことですが、法律さえあれば人を無条件に差別していいわけではありません。ナチスドイツが合法的にユダヤ人を虐殺していた歴史を思い起こせば自明です。


では、セックスワーカーを含む風俗営業等関係者を区別できる法律がこの国にあるのか、ということなんですが、自分の調べた限りではそんなものはありませんでした。

(もしあったら教えてください)


これが意味するのは、現在の日本政府は担当者の趣味で困っている人を助けようかどうか決めちゃってるってことなんですよ。


こわっ!




加えて、どうしても許せないのが、今回の措置が子どものことを全く考えていないことです。

風俗業で働く人々を支援する当事者団体「SWASH」の2013年度の調査によれば、東京・埼玉・すすきののヘルス店に勤務していた女性セックスワーカーのうち、全体の20.7%が子どもを持つ親であり、13.3%がシングルマザーでした。

セックスワークなどの夜の仕事の多くは歩合制であり、客足が減ればダイレクトにお給料に影響します。

先だっての東京都の発表では「風俗店など接客を伴う飲食の場で感染を疑う事例が多発している」と具体的な指摘がありました。

風俗店の売り上げが大幅に減少するのは確実です。


これを放置するとどうなるか?

そこで働く親だけでなく、子どもにも悪影響があることは明らかです。

栄養状態、教育環境、QOLの悪化…

場合によっては親が追い詰められて、虐待に発展するケースだってあるかもしれない。

そうなったら、もう取り返しがつきません。


でも、助けないんですか?

親がセックスワーカーだから?


転職すりゃいいだろって言う人もいるかもしれないけど、それができるならとっくにやってる人もいるんじゃないでしょうか。

先ほどご紹介したSWASHの調査によれば、女性セックスワーカーが風俗店で働く理由の約40%が「生活・借金返済のため」です。






最後に、これだけはいいたい。

厚労大臣や担当者の方は支援金の対象範囲を狭めてお金を節約しているつもりなんでしょうが、これ、結果的に余計に高くつく可能性があります。


このことは、もう人類の歴史が証明しているんです。

名著「経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策」で詳しく書かれています。



本書の要点は極めてシンプル。

困っている人を助けることにお金を使った方が、経済的に圧倒的にお得。逆にそれをしないと、人が死ぬ。結果的に社会全体が衰退する、です。


例えば、コロナ被害でシングルマザーのセックスワーカーがお給料が稼げなくなり、自暴自棄になり、薬物に手を出したとします。

するとまともに働けなくなり、納税できなくなり、生活保護の対象者になります。薬物中毒で病院に運ばれることも。

家では子どもを虐待し、児童相談所や児童養護施設が動くことになりました。

虐待を受けた子どもは、心身ともに深い傷を追ってしまい、まともに社会生活を送れなくなってしまいました……


こうなった場合に社会全体にかかる損失は莫大であり、想像がつきません。


でも、彼女が初期に困っていた時に少し政府がサポートをしてあげてさえいれば、全く違った未来があるのです。


彼女は継続して働くことができ、借金を返済して、別の仕事に転職したかもしれない。

子どもは学校を卒業して、立派な社会人になっていたかもしれない。

もちろん、二人は納税者です。国も潤います。


そんな誰にとっても幸せな未来を、政治家の趣味で台無しにしているんです。この国は。

そう思うと、本当に悔しくてたまりません。


先だってご紹介したSWASHは、セックスワーカーを差別する不支給要件を見直すよう求める要望書を厚労省に提出したようです。

良識ある政治家/官僚各位は彼女たちの声にぜひとも耳を傾け、今からでも要件を修正していただきたいです。


また、東京都では小池百合子都知事が「影響を受ける飲食店など事業者や従業員への支援を国に求めるとともに都独自の対策も考える」としています。

この動きに期待しつつ、僕も超微力なりにできることをやっていきたいと思っています。


僕たちの国を、政治家の趣味が国民の運命を左右する国にしたくないから。



2020年4月6日追記

なんと、この件で寺田学議員が官房長官質疑で前向きな答弁引き出してくれました!!!

寺田議員、本当にありがとうございます!!


おかしいと思うことがあったら、まず声をあげてみる。

そうしたら、変えられることがある。

そのことを改めて実感できました!


そして


皆さま、国民のために働いてくれる議員は絶対に次の選挙で当選してもらわねばなりません。

選挙、行きましょうね!

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