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社会人博士課程学生の日常〜英語査読論文という壁について〜

 先日、ある尊敬するジャーナリストの方から、社会人博士課程学生に関する取材を受ける機会がありました。社会人の学び直しといえば、リカレント教育と、リスキリングがあります。下記の記事では、リカレント教育は個人手動で行うことが多く、リスキリングは会社主導のケースが多いことが記載されています。そして、リカレント教育は社会人が教育機関や社会人向け講座に戻り、学び直すことを指します。そして、このコラムを読んでいる人の多くがリカレント教育を受講するか迷い中なのではないかと思います。今回は、どういう人が社会人博士課程に進学することがオススメかや、何が博士号取得に必要かを記載していきます。

私が思う博士課程進学がおすすめの社会人タイプ

 社会人で大学院進学となると、修士課程で終わらせるか、さらに一歩進んで博士課程に進むかで迷うことがあります。これに関しては、相談を受けることが多々あります。一番良いのは、進学予定の先生に相談することだと思います。とはいえ、ある程度は論点を定めてから先生に相談したいと思う人が多いと思います。
 勝手ながら私の経験としては、「ビジネス現場の経験を汎用性のあるものに落とし込み、ビジネス現場の問題解決のための手掛かりにしたい」という方は修士課程がオススメです。一方で、「その道の専門家と名乗りたい、その分野の発展に貢献したい、新しい学術的知見を発見し研究が好き!」という方は、是非とも博士課程進学をおすすめします。海外で、その道の専門家と名乗る職業人(民間シンクタンクの方、政府関係者、企業の研究部門、データ分析担当者)と名刺交換をすると、私が出会ってきた方々はすべからく博士号取得者ばかりです。日本の場合は、博士号へのニーズが特殊なのと、博士号を取得しても給与UPに繋がりにくいという偏見もあってか、あまり見ませんが・・。ただし、この5年間で特定分野においては博士号ホルダーへの需要が劇的に変化していると肌で感じています。メルカリの事例を見ても思います。日本では博士号は意味がないという偏見ありきで進路を決めるのは、あまりにももったいないと感じます。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0870O0Y2A300C2000000/


博士号取得要件とは?

 そして、肝心の博士号取得要件ですが・・・これは、学校で千差万別です!かなり違います!これもまた、日本の特殊事情がありますが、多くの学校では博士論文を数本書かせて、一本以上は査読論文であることが求められます。これは、欧米の大学院ではあまり見られない制度なのだとか。
 そして、この査読論文を博士課程在籍中に仕上げるのが、本当に大変なのです。経済学やファイナンス分野だと、査読論文になるかどうかの審査に1年以上はかかります。そして、査読論文にも、日本の学術雑誌に投稿する日本語論文(英語の場合もある)と、海外の学術雑誌に投稿する英語論文が存在します。後者は、査読論文となるまでの過程が1年で済まないことも多々あります。
 私はお世話になっている先生方から言われたのは、研究者としてのビジネスキャリアも築きたいならば、英語査読論文の保有は絶対にマストということです。(もちろん、学術分野で濃淡はあります)私の行いたいことは、ファイナンスにおける学術分野の知見を、ビジネス世界に応用して、社会をより良くすることに貢献することです。なので、研究者としてのキャリア構築も全力で励んでいるところです。下記は、そのための論文の一つです。今年前半は、海外学会で初めての英語発表、英語論文投稿に全力投球してきました。結果が出るといいけど、さてどうなるか。

 辛くて嫌になることもありますが、やはり研究は楽しいですし、毎日が新しい発見です!興味がある方は、是非とも大学院進学を考えてみることをお勧めします!もちろん、家族との相談は必須ですよ〜!そして、研究の時間を作ることに理解を示してくれる家族と、指導してくださる先生方に感謝しかないです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
応援いつもありがとうございます!
崔 真淑(さいますみ)

(*画像は、崔真淑著『30年分の経済ニュースが1時間で学べる』(大和書房)のイラストです。無断転載はお控えくださいね♪)


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